マジック

ミニライブ&ワークショップ

ミニライブ&ワークショップを開催します。

よほどのモノ好きで、奇特で、寛大な心をお持ちの皆様の参加をお待ち
しております。

詳細は…コチラ

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BUNNY HIP 出演情報

現在、世界中のコンベンションから引っ張りだこの美少女マジシャン
Hannahを擁する女性イリュージョンチーム BUNNY HIPが、第27回
フィネスマジシャンズクラブの発表会にゲスト出演します。
この機会にぜひご覧下さい。

日時:2017年7月2日(日) 12:30開場 13:00開演
場所:アクロス福岡1F円形ホール

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レクチャーのご案内

プロフェッサー・サコー レクチャー イン 福岡

詳細は…コチラ

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先延ばしの罠

1月は新年会が続いたものの、筋トレとルームウォーカーの効果なのか、
なんとか体重は現状維持。
1月最後の日曜日はマジシャン仲間達と焼肉パーティー。(日曜日なら
マジックバー関係者も参加しやすいですからね)
近況報告や今後の展望等、盛り上がる話題には事欠きませんでした。

早くも2月になってしまいましたが、新年を迎えた時、多くの人が今年
一年の抱負や目標を掲げたりすることでしょう。
そしてそれを公に宣言することによって自らを追い込んで成就させる人も
いれば、心の内に秘めたまま気宇壮大に邁進する人もいることでしょう。
私も本年最初のエントリーでは、今年は人生を謳歌するために適度に欲深
く健康に留意しながら頑張るつもりだと「ざっくり」書きましたが、何を
どう頑張るのかを吐露するのは照れもあったり、隠匿すべきこともあるの
で(3つの目標を立てましたが)、なかなか公にはできないもので…。

年頭には目標に向かって一瀉千里で突き進む決心をしても、そこは人間、
つい先延ばししがち。
ただ、この歳で無理な目標を掲げて繰り返し先延ばしという陥穽にはまる
と、若い頃には感じなかった残された時間の少なさから来る焦りと、己の
意志の弱さによる自己嫌悪とも相まって、何もかも諦めてしまうのではと
過剰に心配してしまうのですよ。
結局、先延ばしの罠を避けるには、将来の自分を過信しないことに尽きる
んですね。
何事も(マジックにおける課題も)将来の自分がきちんと解決してくれる
であろうと信頼していると、あにはからんや将来の自分も今の自分と大差
ないわけです。
むしろ先になるほど問題が肥大化かつ深刻化する上に、時間がなくなって
いるだけに本来の力を発揮することもできず、解決の道が閉ざされて手遅
れとなるのは自明の理。

以前のエントリーにも書きましたが、私の場合、マジックも車も本音では
「時代に抗う」ものが好みなのですが、近年のマジックを取り巻く環境は
テレビスタジオでは火気や動物がNGだったり、結婚式場等においてショー
で使用するBGMの著作権問題等、面倒なコンプライアンスが厳しくなる
一方のご時世にあっては、各々が諸問題に即した対策を先延ばしすること
なく準備することが焦眉の急であることは論を俟ちません。

少し脱線しますが、私はマジックをクロースアップやサロンやステージと
いった所謂「規模」で区別することには、昔から違和感を覚えている一人
です。(ただ説明の都合上、使うことはありますが)
例えば、あるマジシャンにちょっと規模の大きなイベントの出演を依頼し
た時、「いやあ、僕はクロースアップ専門なのでちょっと…」と断られたと
したら、依頼した側が「はぁ?」となっても無理はないのですよ。
一般人のイメージでは、クロースアップマジシャンもイリュージョニストも
メンタリストも区別なく、み〜んな「マジシャン」なのですから。

飛行機の中でCAが「急病の方がいらっしゃいます! お客様の中でお医者
様はいませんか!」と叫ぶ緊迫した場面がありますが、この場合の「医者」
も内科だの精神科だの眼科だのと関係ないわけです。(もし私が乗り合わ
せていたとしたら、「お医者様の中でお客様はいませんか!」と呼びかけ
られた時だけ躊躇なく手を挙げますけどね…あ、不謹慎でごめんなさい)
医者でも専門外の疾患については自信がないように、マジシャンの場合も
自分が売りにしている演目ができない上に、慣れていないものを演じなけ
ればならない状況は不安にもなるし、納得できないパフォーマンスでは
堂々とギャラを受け取りづらい気持ちになるのも無理はありません。

閑話休題。
そういうことで私自身の話に戻れば、時代や環境に左右されず、何よりも
自分のキャラクターに合うサロンマジック(あえて規模で表現すれば)を
さらに充実させることが今年の3つの目標の中の1つです。

1月半ばの新年会のショーは、あるレストランの広めの個室に長テーブル
が二列に置かれて40名が着席、演技スペースの背景は壁一面鏡張りで背後
は丸見え、照明音響設備は無しという決して演技し易い環境ではなかった
ものの、この規模や環境でのショーを前提にずっと研究と準備をしてきた
ので、その場にマッチしたごくシンプルな演目を問題なく演じることがで
きて、やっとそれなりの手応えを感じ始めています。
昔の自分なら善かれと思って(あるいは絶対に必要という理由で)、自前の
音響セットやスパイダーカーテン等を持ち込み、場違いで過剰気味な演技
をしていたかもしれませんね。
そうすると感謝されるどころか、客からも店側からも迷惑がられることも
あるものです。
出番の後の道具や機材は邪魔になるし、観客全員が会場を出るまで撤収も
できませんしね。

そんなこんなで様々な制限がある現場でも、過去演じてきた大味なステー
ジマジックの不思議のエキスを抽出してコンパクトに演じたり、たった
一人を相手に演じてきたクロースアップマジックを、なんとか観客全員が
理解して不思議が伝わるように本能的にアレンジできているのは、若い頃
から多くのマジックを演じてきたことが昇華されつつあるのかなと…。
冷蔵庫の残り物でも、ある程度見栄えの良い料理が作れたという感じです
かね。

自分の年齢、取り巻く環境や時勢を考えると、今後の主戦場は高級クラブ
のテーブルホッピングでもなければホテルや劇場でのイリュージョンでも
なく、あくまでもスキミング戦略に基づいたこのサイズの現場のサロンマジ
ックに否応なく収れんしていくであろうと予想しているし、またそうある
べきだと思っています。
そうであれば尚更、この歳で様々な課題を先延ばしにするわけにはいかな
いなと意を強くしている次第。

ある調査で報告された事象です…
3つの課題があって、1週間ごとに1課題を終えなくてはならない場合と
3週間後にまとめて3課題の成果を提出するという場合を比べると、明ら
かに前者の方が成果が上がることがわかっているようです。

レンタルDVDは期日までにきちんと返却するのに、時間がある時に観よう
とハードディスクに録り溜めた映画はなかなか観ないもの。(有料か無料か
の差もありますが)…ことほど左様に、人間は締め切りがなく時間がある
時ほど先延ばしの陥穽にはまりやすい傾向があることを、時々は自戒を込
めて思い出しながら日々過ごすことが重要でしょうね。

私はいまだに、練習を先延ばししてコンテスト当日を迎えてしまうという
学生時代の悪夢を見て目が覚めることがあります。

さて、今月は久しぶりに多くのマジシャンが集うイベントに顔を出す予定
です。


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鳥の話のPDF化

足掛け3年に渡って書き下ろした「鳥の話」全23話が、マジックランド
のダウンロードコンテンツとなりました。

バードマジックの裏側に興味がある方はぜひお読み下さい。

こちらをクリック…Dr.ZUMA「鳥の話」

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メイド イン チャイナ ?

前回エントリーのアンバサダー(マジシャン編)の中で、中国製のコピーが
目に余るという話題に触れましたが、今回はその事象について考察したい
と思います。
マジック用品のコピーに関しては、パフォーマーである私よりは日々製作
したり輸入販売しているディーラーの方々の方が遥かに詳しいはずなので
すが健全なディーラーが頑張っている一方、コピーと知りながら輸入したり
自らもコピーを製作するという脛に傷を持つディーラーも存在しているなど、
この伏魔殿の全貌を把握するのは困難ですので、私の知る史実のみを述懐
します。

コピー、特に中国製の勢いたるやアメリカのオリジナルメーカーが廃業する
ほどのようです。
自戒を込めて告白しますが私自身の黒歴史として、情報も知識も予算も
無かった若い頃にヨーロッパのコンベンションで購入してしまったコピーイリ
ュージョンが数台ありましたが、オリジナルビルダーが判明した時点で全てを
オリジナルに切り替えていきました。
少しずつテレビ出演のオファーが舞い込むようになると、コピーを使って
メディアに露出するのも気が引けるし何より本物を知ってしまった以上、
妥協という言葉で自分を騙すのが嫌でしたね。
ショーで用いる道具全体をトータルコーディネートに置き換えたならば、
せっかくそれなりのジャケットや靴で統一しているのに、腕時計だけが紛
い物を着けているような気持ち悪さです。(全体が紛い物ならば、それは
それで完璧なセットアップなのでしょうが…)

だからこそ背伸びをしてでも本物の道具をまず一つ手に入れて、そのレベ
ルの道具を基準にショー全体をコーディネートする習慣を身に付けないと
ずっと安っぽい佇まいのままになってしまうのですよ。(ビジュアルはもち
ろん、恐ろしいことにメンタルまでも)
道具以前に稽古を重ねて芸そのものを磨きあげることが大前提であること
は論を俟ちませんが、ギャラをアップしたいのにいつまでも安っぽいコピー
の道具を使いながらパフォーマンスまでもメジャーマジシャンのコピーを
続ければ、「これだけの努力と投資をしたのだから、これだけの報酬を貰
うのが当然」という考えには永遠に至らないのです。

結局は個々人の矜持の問題に行き着くのでしょうが、アマチュアならまだ
しもギャラを頂戴する自称プロであれば本物を使うべきでしょう。
「蟹かま」を「蟹」と偽って販売するわけにはいかないでしょう。

かなり前に輸入した以下の3種類のアイテムも近年は中国製コピーが出回
っているようですが、当時のオリジナルを輸入した経緯を紹介しましょう。

ボックスの中の透明筒から予言が出て来るMaster Prediction System…
これは1990年頃のマジック専門誌において、ディック・ジマーマンが考案
してビル・スミスが製作した優れたシステムの予言の道具があるとの広告
が記憶に残っていたので、2001年にラスベガスの工房を訪れた際にビルに
製作を打診したところ、私の目の前でビルがディックに電話をして承諾を
得て製作が決定、そして翌年のTBSの特番でマリック氏がテレビ初公開し
て話題になりました。
その後ダグ・マロイとウェリングトンも正規ビルダーとしての権利を得て
製品を発表したという経緯があるのですが、どうやら中国製のはこの2社
の模倣(価格は1/10くらいでしょうか)のようです。
しかしマリック氏が使用しているのは秀逸ですよ…高級なオーク材を使用
して、何より怪しげな金属の縁取りがありませんから。(おっと、詳しく書き
過ぎました)
マリック氏の影響なのでしょう…それ以降日本を含むアジア圏でこの道具
のコピーが急速に広まると同時に、お手軽に演じるマジシャンも急増しま
した。(ただし演出面では誰一人追いついてはいませんね)
そういう事情もあって私は全く違うシステムの予言マジックを演じるよう
にしたのですが、2006年に関西テレビで内田貴光氏と、2007年にNHKで
ふじいあきら氏と共演した際に演じたところ、手の平サイズの透明小箱を
使用したせいか、かなり不思議だったという反響を頂きました。(これも
そのうちコピーが出るのですかねえ? いやすでに出ているかも…)

カパーフィールドが暫く演技権を独占していたと云われる腕が三分割され
るイリュージョンTri-Section(考案:ラリー・ホワイト 正規ビルダー:
ウェリングトン)は、先にアメリカのある業者がUNARMEDの名称で発売
したものを輸入して演じていたのですが、これが非正規品と判明した直後
にウェリングトンから正規品製作開始との連絡が入ったので、すぐにニュ
ーヨークのウェリングトンの工房まで出向いて身長や腕の長さに合わせて
製作してもらい、何度かテレビでも演じた思い出の道具です。
しかしこれも中国製コピーが出回り、それを購入して嬉々として演じてい
る後輩マジシャンがいると知った時は、自分の体験談まで話してオリジナ
ルをリスペクトしようとアドバイスしたことが彼の心にはなーんにも響い
ていなかったんだなと思うと虚しいやら情けないやら…営業欲しさに芸能
プロダクションにペコペコ&感謝感謝しながら、コピーイリュージョンを
手作り販売までして…生きていくのって大変なんだなあと、ある意味同情
するしかありません。

透明アクリルボックスに突然大量の紙幣が出現するオーウェンマジックの
Crystal Money Chest…発表された1992年に日本に最初に輸入して
以来24年、テレビにライヴにと何度も使用してきました。
これも90年代後半から日本製を含めて多くのコピーが出回っています。
ただこれに関しては「一事が万事」とはよく言ったもので、コピーを使って
いるマジシャンは出現する紙幣も必ず偽札を使っているという現実を見る
と、その判断を下した生き様をわざわざスポットライトの下で曝してまで
演りたいのかなあとも思うのですが…。
言うなれば「偽マジシャンが偽ボックスから偽札を出す」という滑稽な三重
奏はブラックジョークにもならないし、そもそも「本物は高いからコピーで
いいや」という思考回路がセコい方に向かうマジシャンが、したり顔で最も
演じてはならない代表演目が「紙幣プロダクション」なのでは?
さらに演じる環境も重要です…お世辞にも予算があるとは思えないイベント
やマジックバーのショータイム等で演じれば、たとえ本物を使っていたと
しても偽物に見えてしまうという、実は厄介な演目なのです。

ある若手から聞きましたが、彼の周囲も現象が同じで見た目も遜色ないの
であればコピーで構わないという考えのマジシャン達が多いらしく、フロ
ーティングテーブルに至ってはオリジナルのロザンダー製を使っている方
が圧倒的に少ないのでは、とのこと。

先日のNHK「クローズアップ現代+」でも中国製コピーの問題が特集されて
いました。
長くアップル社のコピーばかり作っていた会社が、このままコピーを作り
続けても未来はないと悟り、一念発起してオリジナルデバイスを開発して
いく過程の他に、中国のベンチャー企業が社運を賭けて開発・発売した
商品があっという間に他の中国企業にコピーされて市場を席巻されてしま
って、経営者が頭を抱える様子が赤裸々に放送されていました。
いよいよ中国人という身内からコピーされるという初の経験をすることで、
それまで自分達がどれだけ外国企業に損害を与えてきたのかと自国の病理
の根深さを中国人自らが思い知ったという画期的な内容でした。
そして番組の括りでは、このままでは中国人がベンチャー企業を興しても
すぐに身内からコピーされて会社が傾く危険性があるのなら、今まで通り
横並びで外国製品のコピーを作り続けた方が無難だし、こういう事象が続
けば中国においては今後の起業の機運は一気にしぼむであろうというもの
でした。

ところで、マジック界のある中国コピー業者の社長の座右の銘は…「誠」
だそうです。(爆笑!)

南シナ海や尖閣諸島における報道に象徴されるように、たとえGDPが日本
を抜いて世界2位になろうとも、傍若無人で迷惑至極な振る舞いをする
このジャイアンのような国に「衣食足りて礼節を知る」を求めるのは、もはや
無駄な気がします。

でもまあ中国のコピー道具以上に鳥肌が立つのは、超魔術やストリート
マジック等その時々のブームに乗っかって、節操もなくキャラクターや
風貌を変える二番手三番手のコピーマジシャンですけどね。
「蟹かま」は永遠に「蟹」にはなれないもの…私はDrとして、医学的には
ジェネリックマジシャンと名付けていますが…。

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アンバサダー (マジシャン編)

前回は腕時計のアンバサダーを務める世界的アスリートについて書きまし
たが、今回はマジック界について…。
なにしろマジック界最大の大会ですら世間での知名度は無きに等しいため
に「マジック界のオリンピックのようなもの」と注釈をつけてオリンピック
に乗っからせてもらうほどにスポーツ業界とマジック業界のスケールが違
い過ぎて比べることすら無理があると思うのですが、それを承知の上での
エントリーです。

仮にあるマジック用品メーカーのアンバサダーとして、そこのオリジナル
の道具を使ってコンテストに挑むマジシャンがいたとしたらその重圧たる
や…なーんにもなさそうですね。
「うちのビリヤードボールやファンカードを使ってコンテストで勝てない
なら二度と使うな!」…なーんて無茶を言うメーカーもまずないでしょう
からね。
だってスポーツ用品メーカーが契約アスリートにやっているように、マジ
ック用品メーカーが特定のマジシャンの生活全ての面倒をみるレベルの
スポンサーになるなんて有り得ませんから…。

ただ昔の映像を確認すると、アメリカのメジャーなイリュージョニスト達
は、一時期は特定のイリュージョンビルダーが製作した道具を中心に使
っていたので、ある意味アンバサダーに近かったのかもしれません。
例えば初期のダグ・ヘニングはウェリングトン、スターダストホテル時代
のシークフリード&ロイはオーウェンマジック、テレビ特番絶頂期のカパ
ーフィールドはジョン・ゴーンやメンドーザ、モンテカルロホテル時代の
ランス・バートンはビル・スミス、バーリーズ時代のダーク・アーサーは
ウィリアム・ケネディ…といった具合。

もっと詳述すると、マーク・ウィルソンや息子のグレッグ・ウィルソンが
十八番にしているほとんどのイリュージョン…例えばDIVIDED IN FOUR
EXCALIBURは、アラン・ウェイクリングが考案してジョン・ゴーンが
製作したもの。(参考文献:「THE MAGIC OF ALAN WAKELING
ジム・ステインメイヤー著)
ちなみにグレッグが演じるビリヤードボールも、この本に掲載されている
アランの手順そのものですから、ウィルソン親子はアイデアはアランに、
道具はジョンにと全面的にお世話になりながらテレビからお金を引っ張っ
てきたり、世界中のコンベンションで彼等の宣伝をしてきたとも言えるわ
けです。(所謂ウィンウィンの関係です)
反対にアンバサダー的な立場であったブレッド・ダニエルズとスポンサー
的な立場であったオーウェンマジックのように人体浮揚のイリュージョン
ASCENDING GODDES に関して裁判沙汰になるようなトラブルもあり
ます。(私はブレッド本人とオーウェンのメインビルダーであるアラン・
ザゴルスキーの双方からこのトラブルの経緯を聞いたことがありますが、
まあ言い分はどっちもどっちでしたね)

つまりイリュージョンビルダーにとっては、売れっ子マジシャンが自社の
道具をテレビやラスベガスのメジャーホテルでバンバン使ってくれれば、
それを観て憧れた世界中のマジシャン達からオーダーが入るわけですから
まさにアンバサダーのようなものです。(日本のみならず世界中に劣化版
カパーフィールドが蔓延したのはその証左ですね)

以前、ジョニー広瀬氏と一緒にジョン・ゴーンの工房を訪れた時、ダグ・
ヘニングやカパーフィールドの影響で大流行中のオリガミイリュージョン
が10台以上も製作中だったのを目にして驚くと同時にうんざりというか
嫌気がさして所有していたオリガミ(ウェリングトン製)を手放すきっか
けとなりました。
マリック氏と一緒にウィリアム・ケネディの工房を訪れた時も、ダーク・
アーサーが演じたアピアリングヘリコプターを他のマジシャンのオーダー
で製作中でした。

いつぞや、ラスベガスのコンベンションのディーラーブースでオーウェン
マジック専用ルームに入った時、オーウェン製のイリュージョンを演じて
いる私の宣材写真が額縁入りで壁に飾られているのを見て、ビルダーの
アラン・ザゴルスキーに謝意を伝えたところ、「ZUMAは当社の道具の
多くを日本のテレビで使ってくれているし、アンバサダーのような存在だ
から」と言われた時は嬉しかったですね。(私が初めてオーウェンの工房
を訪れた時は門前払いだっただけに、待遇には隔世の感がありました)
その思い出のイリュージョンGirl in the Diamondはマーヴィン・ロイ
&キャロルが権利を手放した後、私が真っ先に発注してNHK-BSの特番や
関西テレビで公開したものなのですが、既に中国製のコピーが売られてい
るとか…良い思い出にも水を差される嫌な時代になったものですなあ。

この目に余る中国製コピー問題…本来なら商品情報に詳しいディーラーや
ショップ関係者が問題提起して声を大にして発信するべきだと思うのです
が、近年は諦め気味なのかコピー販売の片棒を担ぐショップが増えている
ために自らの脛の傷を気にしているのか…あまり聞こえてきません。
(もちろん私の脛にも若手の頃の傷がありますよ)
近々これをテーマに私が昔輸入した道具の事例を示しながら考察してみた
いと思います。

閑話休題、アンバサダーの話に戻しましょう。(これ、私も勘違いしていた
のですが、閑話休題とは「ちょっと話題を変えて」とか「ところで」という
意味ではなく「話題を本題に戻す」という意味なのだそうです)

マリック氏がライヴ会場で観客全員にスプーンを配って会場一体となって
スプーン曲げを演じ始めた頃、当時ゲスト出演の立場でステージ袖にいた
私がスプーンをふと手に取って驚いたのは…スプーンの柄にMr.マリックと
刻印された特注品であったこと。(それまではカードを特注するマジシャン
はいましたが、スプーンとは…)
これはもうそのスプーンメーカーの立派なアンバサダーだなと思いました
が、よく考えるとそのスプーン…曲げられたり切断されたりする運命なの
で製作者の心情としては少し複雑ですよねとマリック氏に尋ねたところ、
「いや、一万本単位で発注しているからメーカーも大喜びなんだよ」です
って…こちらもウィンウィンなんですねぇ。

ああ、ペットショップの鳥のアンバサダーになれないかなあ…。
こんぱまるさん、お願いしますよ。

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幻の映像

チップ論5の中で紹介した「初代天功氏と伊藤一葉氏の共演」と「サコー
氏プロデビュー」の二つの映像…どうしても観たいという方が多数いらっ
しゃいました。下記をクリックすればご覧になれます。

45歳で鬼籍に入った大物マジシャンの最初で最後の夢の共演です。
初代天功&伊藤一葉

IBM、PCAM、TAOMで優勝、世界奇術大賞銅賞の実績を引っさげての
プロデビュー…28歳とは思えない貫禄です。
プロフェッサー・サコー プロデビュー

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チップ論のPDF化

先日書きおろした「チップ論」ですが、マジックランドのダウンロード
コンテンツとして出ましたので案内致します。
私も見ましたが、ブログ画面よりもはるかに読みやすく構成されており
ますのでご確認ください。

こちらをクリック…Dr.ZUMA「チップ論」

また発表以来、様々な反応が耳に入っておりますが、ご意見ご感想また
今後のご要望等がございましたら下記アドレスまでお願い致します。

drzuma@mac.com

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チップ論 5

チップ論も最終回となりました。(勢いで少々苛烈かつ辛辣なことを書い
たかもしれません)
本当に細かいエピソードまで書けばもっと長い連載にはなるのですが、
あまりにも生々しくなりそうなので今回で完結します。

まず、奇しくも同じ年(1934年)に生まれ、同じ年(1979年)に鬼籍に
入った二人の大物マジシャン(伊藤一葉と初代引田天功)のチップにまつ
わる因縁のエピソードを紹介しましょう。

まだ売れる前の一葉氏が地方のキャバレー出演をしていた時に、当時すで
に大スターで偶然にも同じ町で公演を終えた天功氏が多くの取り巻きを連
れて来店、何十万も使って豪遊し、一葉氏に一万円のチップを出したそう
です…当時一晩数千円のギャラの貧困生活で惨めな生活をさせている妻子
のことを思えば喉から手が出るほど欲しかったチップですが、格差はあれど
同業者それも同期のマジシャンからのチップを受け取れば自分自身が崩れ
てしまうと断腸の思いで拒否し、一葉氏は自尊心だけで成り立っている今の
自分の惨めさを自覚したあまり、楽屋で男泣きしたとか…。
そしてこの出来事がきっかけで、絶対に売れてみせると決意したそうです。   (参考文献:「タネも仕掛けもございません 昭和の奇術師たち」 藤山新太郎
著 角川選書)

現在でも若手バーマジシャンにセコい額のチップを渡して先輩風を吹かす
ベテランマジシャンもいるようですが、こういうエピソードを知ると同業者
同士のチップのやり取りは危険物取扱い並みの注意が必要でしょうね。
(まあ、人生の転機で借金したり口利きしてもらった過去があれば、その
負い目も永遠に消えることはありませんからね)

しかし、あれだけの大物が二人共同じ1979年に45歳の若さで鬼籍に入る
とは…死因は一葉氏が胃癌、天功氏が心筋梗塞と記憶していますが、当時
私は高校2年生で、その一年前の1978年にホテルオークラで開催された
「世界奇術大賞」において、初対面のお二人から直筆のサイン色紙を貰った
ばかりだったので、連続の訃報は大変なショックでした。
特に天功氏の訃報は大晦日だったので、どんよりとした気分で正月を迎え
た記憶があります。
私の映像ライブラリーには、お二人が亡くなる一年前に共演した貴重な映
像が残されていました。
このエピソードを知った上で映像を観た時、お互いにどんな感情で共演し
ているのかと思うと…すでにお二人共売れていたからこその余裕というか
まさに大人の立ち振る舞いなのですよ。

そしてこの番組は、私が現在に至るまで影響を受け続けてきたプロフェッ
サー・サコー氏のプロとしてのテレビ初登場の時でもありました。
桂三枝師匠(当時)と共に司会を兼ねた天功氏の「私は彼に非常に期待し
ています!」との紹介で、スモークの中からサコー氏が登場するシーンを
観ると今でも鳥肌が立ちます。
今回の一連のチップ論を書いている最中、何度か電話でMr.マリック氏と
史実の確認をし合いました…ここでは割愛しますが、マリック氏自身も
売れる前は酒席において壮絶な体験をしてきたであろうことは想像に難く
ありません。
マリック氏はもちろん、現在のマジック界の屋台骨を支えているマジシャン
達…ふじいあきら氏、RYOTA氏等、多くがチップという魔物と闘ってき
たのです。

酒席で働いた経験があるほとんどのマジシャンは、チップを貰ったことが
あるのではないでしょうか。
私は現在に至るまで常に「アウェー」を主戦場として、「マジックバーと
いうホーム」でレギュラー出演をしたことがないので、現在の相場を推し
量ることに確信はありませんが、店からの報酬はおそらく一晩1〜2万円
といったところではないでしょうか。
地方の店であればもっと安いかもしれないし、時給計算の店もあれば交通
費支給の有無があったりで待遇は様々でしょうが、失礼ながら昔も今も決
して不安が解消されるレベルではないはずです。

そんな現状であれば客から1万円のチップを貰えば、「ちょっと美味しい
ものでも食べて知り合いのバーに寄って帰ろうかな」とか「電車の始発ま
で待たずにタクシーで帰っちゃおうかな」というプチ贅沢に心が傾くほど
有難いものなのです。
マジックバーの一部には、マジシャン個人が貰ったチップを経営者に上納
させるという酷い店もあるやと聞いていますが、そこで飼い殺しになるの
か否かを決めるのも雇われる側の自尊心の問題ですね。

自戒を込めて告白しますが、セコいマジシャンが思いがけなくチップを貰
った時、ついやりがちなのが…「ありがとうございます! ではせっかく頂い
たお札を使ってもう一つだけお見せしましょう!」…ああ、思い出すだけ
でこっぱずかしい!
勘違いしてはいけません…これ、「もういいから消えて」ってサインです
から…。

弟子のRintaroが銀座のクラブ(米倉涼子主演ドラマ「黒革の手帖」の舞台
となった超高級クラブ)で体験したエピソードです。
彼がある卓に着いた途端、まだマジックをやっていないのに客がいきなり
チップを出して「ほら、これあげるから向こうへ行け!」と言ったそうです。
つまり、毎度大枚叩いて高級クラブに通い続ける客の目的は決してマジッ
クを観たいわけではなく、美しいホステスとの会話であり、ずっと狙って
たホステスを今夜こそはと口説きに来たのかもしれない客の貴重な時間を、
空気が読めないマジシャンがむやみに削り取らないように注意しましょう
ってことですよ。

高級クラブにおいては小一時間の滞在で一人でも最低数万円、豪遊する
客であれば数十万を払うわけですから、その中でマジシャンに奪われる10
分弱の時間(それもチップを払って)が客にとってはどれだけの「価値」が
あるのか、はたまたどれだけの「無駄」なのかを客の立場で推測するスペ
ックがこういう現場を主戦場とするマジシャンにとっては必須なのです。
私が客の立場の時でも、せっかく連れやホステスさん達と盛り上がってい
るのにマジシャンが割り込んで来たりショータイムの生演奏が始まると、
邪魔だなあと感じたことがありますから。
ほら、レストランでコース料理を頼んだ時、会食相手と大切な話をしてい
る中に無粋にも割り込んで一方的に料理の説明を始めてしまうスタッフが
いますよね…まさにあんな感じですよ。(そんなスタッフに限って、逆に
質問すると何も知らないことが多いもので…)

マジックバーであれば、幸いなことに客の来店動機の優先順位は、まずは
マジック、続いて酒なのでしょうがクラブの場合は圧倒的にまずホステス
続いて酒…最後にマジックなのですよ(マジックはステーキの横のポテト
かコーンみたいなものです)
クラブの客の中には「マジックは演らなくていいから、マジシャンも座って
飲めよ」と言う人も結構います。
そんな時マジック以外の話題がさっぱりだと、あっという間に薄っぺらな
生き様が暴露されてしまいがち。
マジックを生業としてしまった職業マジシャンが特別なだけで、たまたま
店で出会ったに過ぎない一般人はそれほどマジックに興味を持ってはいな
いのですから、マジックという武器をあまり過信せず、マジック抜きでも
客と丁々発止やりあえるくらいの社会勉強はしておくべきでしょうね。

それとこれは重要なことですが…客の社交辞令をまともに信じないこと。

「それだけマジックができたらモテるでしょ?」…これ、大半がモテそうに
ないオジさんからの質問で、どう見てもモテる美女が質問することは
まずありません。
モテるわけがないことはマジシャン自身がよ〜く実感しているはず。
生活が不安定な上に社会性が欠如して、カードをこねくり回してばかりで
マジック以外の会話はからっきしダメなのにチップには過敏に反応する…
しっかり人間観察しているホステスさん達からはきっと蔑まれてますよ。

「えーっ、凄い!なんで?今夜は眠れない!!!」…心配しなくても客は絶対
に眠ります。
眠れないのは将来が不安なマジシャンの方ですから…。

思い出しましたが1993年頃でしたか、紙幣にペンを突き刺すネタ(ジョン
・コーネリアスのペンスルーエニシング)が発表されて、私は「チップ製
造機」と名付けて(今風だと「チップを産む神ネタ」と言うのでしょうか)
毎夜活用していました。
借りて穴を開けた紙幣を復活させると、もうそのまま自動的にチップで貰
える場合がほとんどでしたから…ホント、チップ狂想曲に翻弄された時代
でした。

最後に余計なお世話かもしれませんが、酒席で働く若きマジシャンの方々
に自戒を込めてのアドバイスを…客は見抜いていますよ! セコいマジシャン
がチップ欲しさにわざと紙幣を借りようとしていることを…。

チップとは、出す側も受け取る側も己の人間性を映し出す鏡(魔物)なの
です。
皆さん、お気を確かに!!…完。 

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