経済・政治・国際

損得勘定の縮図

ここでは政治的なこと、特に政治信条などは書くつもりはないので、昨今の
世界情勢の客観的な考察を…。

米国のペロシ下院議長を始め、相次ぐ高官の台湾訪問が続いて米中の緊張
が高まっていますね。
米国が台湾支援を急ぐのは、ロシアのウクライナ侵攻によって、対中警戒が
一段と増していることが一因なのは明らかでしょう。

その間隙をついて「中立」の国家群の台頭が目立ちます。
つまり米中のどちらにもくみせず、国益に応じて(損得勘定で)組む相手を
変える国家群です。
世界は米欧日などの「西側陣営」と「中ロ陣営」の2極に「中立陣営」を加えた
3極体制に移ったということでしょう。
中立の主な顔ぶれはトルコやインド、南アフリカ、サウジアラビア、ブラジル等
近年国力を伸ばしてきた新興国が多いのですが、その行動基準は民主主義
の価値よりも自国にとって損か得かだけのように見えます。

特にトルコのエルドアン大統領の魑魅魍魎ぶりは突出していますよねえ…
「クルド人テロリストを匿っている」との理由でスウェーデンとフィンランドの
NATO加盟に難癖をつけるわ、自身はNATOのメンバーなのに対ロ制裁に加わ
らないわ、プーチン大統領と経済協力で合意したかと思えば裏ではウクライナ
に軍用ドローンを売るわ、国連と協力して黒海封鎖問題の解決に一役買うわ…
まるで自分が1つの「極」であるかのような振る舞いです。

インドのモディ首相もしたたかですねえ…
インドは中国軍の覇権的な行動を批判して「クアッド」の枠組みで米日豪と
結束しながらも、対ロ制裁には応じずに、ロシアとは友好関係を保とうと
しています。
制裁で輸出先を失ったロシアから安価に資源を輸入できることに加え、国境
で中国と紛争を抱えているために、ここでロシアまで敵に回すわけにはいか
ないからのようです。

中立国は西側と中ロを両天秤にかけて、双方から実利を引き出そうとしている
わけですが、西側としては各国の損得勘定を冷静に読み解いて、なんとしても
世界の秩序維持への支持を得なければならないと思うのですが、難しい状況
ですね。

スケールをうんと小さくすれば、我々の身近な人間関係も似たようなもので、
損得勘定の縮図であることに気づきます…
あいつの考え方や人間性は好きになれないけど、たまに得することもあるし、
このままの距離感でつき合っていこうかなあ…とか、どちらとも等距離を保ち
たいのに、「あいつと俺のどっちにつくんだ?」と二者択一を迫られたら困る
なあ…とか、あの情報を得るまでは揉み手でもしてヨイショを続けるか…とか。

本人は上手く立ち回って実利を得ることにご満悦かもしれませんが、せめて
トルコやインド並みのポリティカルパワーを持った上での振る舞いでないと、
陥穽にはまって、蝙蝠や風見鶏のような人間は、いずれ誰からも相手にされ
なくなるというのは容易に想像がつきます。

国際社会といえども業の深い人間の集合体であることを考えれば、損得勘定
で動いてしまうのは一つの真理なのでしょうね。

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