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2025年4月

変化を恐れない 2

自ら変化しようとする場合もあれば、変化を望んでいなくても変化せざるを
得ない状況もあるわけで、いずれの場合でも「備えあれば憂いなし」…新しい
環境に適応するには周到な準備と覚悟が必要であることは論を俟ちません。
その後の生活のクオリティは助走で決まると言ってもいいでしょう。

「昔取った杵柄」…餅つきの技になぞらえて、若い時に身につけた技術は年齢を
重ねても通用するという意味です。
一定のキャリアのあるベテランマジシャンならば、現在仕事で駆使している
テクニックの多くが
若い頃に身につけたものであることを自覚しているはず
です。

一般的には、このことわざ通り、人生の後半戦に経験の技が活かせる場面も
あるに違いありません。
しかし現代社会においては、しばしば自分の杵柄(スキル)を駆使しても全く
役に立たないという事態が生じます。
わざわざ餅をつかなくても美味しい切り餅が売られているし、近い将来には
誰も餅を食べなくなる時代が来るかもしれません。
全てが自動運転の時代になったら、二種免許はおろか普通免許を持つメリット
すら無くなって、免許証は単なる身分証明書になるのかもしれません。

ただマジックに関しては、その醍醐味は、やはり長年の修練によって身に付く
アナログ的なテクニックにあるのであって、科学技術の発達によって生まれた
最新のデバイスやスマホのアプリを使ったマジックは、総じて一時的に流行る
だけですぐに陳腐化し、そこに拘泥しても永遠に演じ続けられるものではあり
ません。
観客も一応は驚きはするものの、心のどこかでは「このマジシャンは他力本願の
マジックをやっている」と感じているに違いありません。
観客はタネは見破れなくても、そのマジシャンが醸し出すアナログの「凄味」は
敏感に感じ取ります。

先日、20代のホッピングマジシャンのマジックを見る機会が何度かありました
が、やはり横並びで似たり寄ったりの演目が多く、レパートリーのストックの
少なさが垣間見えました。
そこそこ食べていけるからこれでいいのだ…というワンパターンで抑揚の無い
生き方をしていても面白くないはずです。
できれば毎回出演記録ノートを書き留めて、変化を恐れずにアップデートする
ことが肝要です。

参照:2009年12月27日のコラム「出演記録ノート」…コチラ

還暦を過ぎた私でさえ「あなた自身が最高の演技と思うのはいつ、どこのステージ
でしたか?」という質問をされたなら、こう答えるようにしています…「たぶん次の
ステージ」

次回3に続く…

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変化を恐れない 1

私達は変化を恐れるあまり、やらない理由やできない理由をつい探してしまう
ことがあります。
重い腰を上げて、何かの行動を開始する決め手は、人それぞれです。

民族のタイプを7種類に分類した「沈没船の小話」というのがあります。
これは沈没しかけた船の船長が、乗客に対して海に飛び込むように説得する
際に、民族ごとに次のように使い分ける、というジョークです。

アメリカ人には、「飛び込めばあなたはヒーローになれますよ」と告げる
イギリス人には、「飛び込めばあなたは紳士と認められますよ」と告げる
イタリア人には、「さっき凄い美女が飛び込みましたよ」と告げる
ロシア人には、「ウォッカのビンが流れてましたよ」と告げる
ドイツ人には、「飛び込むのはルールです」と告げる
フランス人には、「飛び込まないでください」と告げる
日本人には、「皆さん飛び込んでますよ」と告げる

よく分析すると「理屈」に基づいて論理的に行動したのはドイツ人とフランス人
だけで、他は「感情」に基づいて飛び込んでいます。
つまり、アメリカ人、イギリス人、イタリア人、ロシア人は「快楽を得たい」から
行動したとも言えますが、これは不安遺伝子「SS型」が少なくて「幸せホルモン」
が多いからだという説が一般的です。
翻って日本人は世界で一番不安遺伝子が多い慎重な民族なので、変化を好ま
ない上に、横並びの行動をとりがちなのです。

さて、これをプロマジシャンに置き換えたならば、理想的なのはアメリカ人型
でなないででしょうか。
ヒーローになるためには変化を恐れずに行動して、オンリーワンのマジシャン
を目指すということです。
モテたいという動機でマジックをやっているアマチュアは、イタリア人型と言
えるでしょう。

日本のマジック界においては、全国津々浦々、似たようなマジックを演じる
営業マジシャンがほとんどで、まさに日本人型のマジック村を創り上げている
と言っても過言ではありません。
船長からどのような声をかけられたのかを知る由もありませんが、若い方々が
レッドオーシャンと化したマジック界に横一列で飛び込んでいく姿は、世代的
に逃げ切ろうとしている私から見たら、他人事ながら不安になってしまいます。

まあ資格不要な職業だし、昔と比較すると情報も多くてプロマジシャンになる
ためのハードルが下がっているのであれば、それは大きなチャンスであり、スタ
ンダードからの脱皮をして他のマジシャンを出し抜こうと企んで、変化を恐れる
必要はないと思うのですが、日本人の気質としては横並びは仕方がないのかも
知れませんね。

次回2へ続く

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雑感 その29

・ 株全面安での「サーキットブレーカー発動」も聴き慣れてしまった感がある
・ 毎週月曜日BSテレ東の「マネーのまなび」は分かり易くて勉強になるねえ
・ 金利のある時代…住宅ローンが変動金利の人は戦々恐々だろうな
・ 「早起きは三文の徳」…確かに午前中で大抵の課題が片付くことが多い
・ うちのオウムが新しいダイソンの掃除機を見ると威嚇する…謎
・ うちには植栽が一本も無いのに近隣からの落ち葉が散らかるのは理不尽
・ 便器をLIXILサティスのノーブルブラックに交換…最新のトイレは超快適
・ 最近のトイレットペーパーは径がデカいのでホルダーを交換…いい感じ
・ ミューズの自動ディスペンサー…ブラックモデルは何気にカッコいい
・ 毎日使う物とマジック道具だけは妥協しない方がいい
・ 昭和のイジリは令和のハラスメント…マジックにおいても同様
・ 30代、40代、50代…それなりに充実していたが戻りたいとは思わない
・ ほぼマジックしかインプットしなかった10~20代には特に戻りたくない
・ いまだに入試や国試の夢で目が覚める…あの頃には絶対に戻りたくない
・ 老後にやりたいことがあるって人…その時にはできないことに気付かない
・ 学ぶ時間がないと言い訳する人…時間があっても絶対に学ばない
・ 「暇有るを待ちて書を読まば、必ず書を読むの時無けん」…その通り!
・ オンとオフの時間の使い分けをしない方が色々と紐付けられて無駄が無い
・ つまらぬ会合や法事などの義理を欠く…そんな確信的な生き方が理想
・ 生産性のない惰性の人付き合いは時間を浪費する元凶
・ 「やるべきこと」と「やりたいこと」が一致するのが上質な人生だと思う
・ ファーストクラスやグリーン車に乗れることが勝ち組ではない
・ ファーストクラスやグリーン車のチケットを贈る側こそが勝ち組
・ 日本の芸能人は7万人、特等席は500席とか…椅子取りゲームは壮絶
・ ショービジネスで肝要なのは、ゴールを設定せずに走り続けること
・ 全てのマジシャンを「芸人」という括りでまとめることに違和感がある
・ 「芸人」だと定義すると「末路哀れは覚悟の前」という諦観が生じる
・ 芸人とは職業ではなく、生き方そのものではないだろうか
・ 誰もが「芸術家」「表現者」であろうとする世界では芸が開花することはない
・ これを読まずして芸を語るなかれ…「芸 秘伝伝授の世界」 西山松之助 著

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ビデオテープ 2025年問題

昨年来、VHSテープなどの磁気テープの寿命が近づき、早めにデジタル化して
おかないと、自宅に保管してある思い出の映像が永遠に観られなくなるかも
しれない由々しき事態となりつつある…と云われています。
これは2019年にユネスコが「2025年問題」として警告を出したことが発端です。
  
通常磁気テープの耐用年数は20~30年とされているし、再生するビデオデッキ
自体も製造終了して久しく、壊れたら修理不能な場合もあるとのこと。
最近のニュースによると、ダビング業者には大量のテープが持ち込まれて、ダビ
ング機器は連日フル稼働しているようです。
(倍速ダビングなどできませんから時間はかかるでしょうね)

人は災害時に避難する際、咄嗟に持ち出す物は金融資産とアルバム等の思い出
の品と云われていますから、二度と観れないものや手に入らないものは本能的
に守ろうとするのでしょう。

私は高校生の頃からマジック関連のビデオテープを蒐集し始め、最終的にはVHS
テープと8mmビデオテープを合わせて700~800本も保有していました。
2000年代初頭、DVDレコーダー購入と同時に、自身の記録映像を優先してDVD
へのダビングをスタートしたのですが、何しろこの量なので未だダビングが
終わっていないテープも大量にあるのです。

たとえDVDにダビングしたとて安心できるわけではありません。
時間の経過と共にデータが消えたり、新しいレコーダーと相性が悪いと読み込
めなかったり…。
現に23歳の時、アメリカ・ミシガン州の大会やカナダCTV放送に出演した映像
が消えてしまいました。
セントルイスの大会で優勝した映像が録画されたVHSテープは見つかったので、
DVDにダビングしてみようと思います。

こうなると、一体どうすれば確実に保存できるのでしょう?
結局今の世の中ではネットに動画をアップロードして残しておくのが一番確実
なのではないでしょうか。(もちろんそれが黒歴史になる危険性はありますが…)

そこで今回、自身の備忘録として24~33歳当時の演技映像をアップしました。
(一部は弟子のRintaroが自身のチャンネルでアップしてくれています)

久しぶりに俯瞰で観ると、自分のことながら「若いって勢いあるなあ、よくも
まあこんな面倒臭いことやってるよなあ」とか「この時代はステージ上にタバコ
を捨ててもお咎めなしだったんだ…寛容な時代だなあ」と感心したり呆れたり…
黒歴史かも知れませんが、お時間のある時にでも観て笑って呆れてもらえれば
幸甚です。

・ 1986年 IBM コンベンション

・ 1993年 ワールドマジックサミット

・ 1995年 福岡ドーム内 イリーガルモーション 

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またもや一歳…

今日まで生きていたから当然ですが、今年も誕生日を迎えました。
誕生日を迎えて最初に思ったのは、後輩マジシャン達が集まって私の還暦祝い
の宴を開催してくれてから、もう3年も経ったのかということ。

若い頃は自分の還暦過ぎなんて想像もしていませんでした。
マジックの練習と受験勉強に明け暮れた10代、コンテストを目指してアクトの
完成に傾注した20代、芸名を得てバードアクトやイリュージョンで全国を駆け
回った30代、30代に築いた経験値と知見が結実して仕事を選べるようになった
40代、将来を見越してマルチワーカーとして動き始めた50代…さて60代は3年が
経過した今日でもどんな人生になるのか予想はできませんが、健康で充実した
70代を迎えるための礎になればいいですね。
マジシャンとして、一人の人間として、価値が落ちて雑に扱われる中古車よりも、
価値あるクラシックカーになれるように、歳を重ねていこうと決意を新たにした
次第。

ところで、4月というのは自身の誕生日の月であると同時に、世間では新年度の
始まりです。
つまり、新入生や新社会人が誕生して、引っ越し等で多くの人の生活がリセット
されて、新生活が始まる時期でもあります。
私自身、これまで誕生日を迎える度に過去を振り返りがちだったのですが、もう
そろそろ10年後や15年後をどうするのか、そして終活までも視野に入れておか
なければならない、いや見て見ぬふりはできないと思い始めています。

そこで、この春からは私生活や仕事のリズムも改め、身体を労わるために出張や
移動をなるべく減らし、自身を見つめ直して様々なもの(特にマジック道具や書籍)
を整理する時間を増やしたいと思います。
それに伴って、当コラムの更新頻度も落ちるかも知れませんが…。


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