人はどうしても自分と他人を比べてしまうものです。
近年、インスタ等で日々の生活の充実ぶりをアピールすることに勤しむ人が
多いせいか、それらの影響で特に自分に近い境遇の人や同じ職業の人と比較
して焦る人は多いようです。
その中でも「親ガチャ」などは最たる例でしょう。
「こんな家に産まれた子どもは運がいいね。不平等だな」、「いや、社会で成功
できるかどうかは本人次第だと思う」…豪邸の前を通りかかった2人の高校生の
対話が、近年の大学入試共通テストの「倫理」で出題されたそうです。
(倫理に正解ってあるのかな?)
成功のカギは出自という運命か、それとも努力なのか…まあ出自に恵まれて
いるに越したことはありませんが、そのアドバンテージを利用するセンスと
努力は絶対に必要でしょうね。
大排気量のスーパーカーに乗っても、運転が未熟なままぶっ飛ばせば事故る
可能性は高いし、二代目社長が会社を潰したり宝くじの当選者が悲惨な末路
を辿った例は枚挙に暇がありません。
逆に経済的に恵まれなかったコンプレックスをバネに大成する人の逸話も多く
存在します。
ただし、親からの虐待や極度の貧困など、本人の努力ではいかんともし難い
例もありますが…。
マジシャンの世界でも天性のセンスの差、性格に基づくエンターテインメント
性の優劣、クリエイティブな才能の有無…これらの他にもビジュアルや手の大
きさの差などで劣等感に苛まれることさえあるはずです。
個人的には特に天性のセンスの差は努力では解決できないものだと思います。
私の場合、演目の選択や演出におけるセンスにおいて、マリックさんに圧倒
された記憶しかありません。
先日の新聞に、建築家を目指して諦めたという人の記事を見つけました…
その人が建築家を目指していた学生時代、あるコンペのために徹夜で描き上
げた10種類以上の企画案は一つも通らなかったのに、才能ある友人が学食で
カツカレーを食べながらササッと描いたものが一発で採用されたのをきっかけ
に建築家の道を諦めたというもので、記事の本人は他の道で成功を収め、才能
ある友人はやはり有名建築家として成功し、最近の同窓会で旧交を温めたと
いう記事でした。
翻ってマジシャンの場合、自分がマジックに向いてないと感じたとしたとて、
諦めきれる人は少ないのではないでしょうか。
(それだけマジックという麻薬からの離脱は難しいのでしょうね)
あいつより成功したのか、稼いだのか、充実した人生なのか…よく「自分は自分、
他人は他人なのだから気にせず生きていこう!」などと鼓舞する啓発本やブログ
なども散見しますが、その著者だって類似本との売れ行きを比べて気にして
いるはずだし、マジシャンだって比べることの典型例であるコンテストが大
好きという矛盾を内包しているのです。
ところで、私は還暦を過ぎてからは他人と比べずに済む考え方ができるように
なりました。
それはこんなことを想像するのです…未来を見通せずに、不安だらけの若い頃
の自分がタイムマシンに乗って現代にやって来て、物陰からこっそりと将来の
自分…つまり今の私の生き様や暮らしぶりを観察した結果、安心してその時代
に戻ってくれるのであれば成功している人生ではないのか…と考えるようにな
りました。
今も、未成年の自分が不安げにどこかから私を観察していると思うだけで、
彼をガッカリさせないように今日一日頑張れるのですよ。
そういえばこのコラムを書いている最中に、昔の日産フェアレディZのCMの
キャッチコピーを思い出しました。
それは「比べることの無意味さを教えてあげよう」…学生時代、あまりのカッコ
良さに痺れた記憶があります。
そのCMは…コチラ
マジシャンとしても堂々とこのキャッチコピーを標榜できたら最強でしょうね。
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