抱き合わせ商法
エルメスの人気バッグ「バーキン」…小さいモデルでも100万円を超えるとされ、
富裕層のステータスとなっており、中古市場での値上がりも続いています。
今年3月、米カリフォルニア州で消費者がエルメスに対して集団訴訟を起こ
したとの記事を読みました。
バーキンの販売をスカーフや革製品等の他の商品の購入に結び付けていると
して、独占禁止法が禁じる「抱き合わせ」にあたると主張しています。
バーキンはオンライン販売はもちろん店頭陳列もされておらず、十分な購入
履歴がある「お得意様」だけが別室でバーキンを案内してもらえることなどを
「不公正な販売」だと訴えています。
実は販売員はバーキンを売ってもインセンティブを受け取れませんが、他の
製品だと1.5~3%の歩合をもらえる給与制度で、この仕組みが消費者に他の
商品の購買を強いていると指摘されています。
独禁法に詳しい弁護士は「米国ではライバル企業の商品を排除していると認めら
れなければ独禁法違反とはならない場合が多く、原告が勝つのは難しい」とコメ
ントしていますが、今後の裁判の行方が気になるところです。
ちなみに昨年、ロレックスは10年以上に渡って正規代理店にオンライン販売
を禁止していたことが競争の制限にあたるとして、フランス競争委員会から
155億円もの罰金を科せられています。
まあ、エルメスやロレックスに限らずプレミアムブランドは高い価格設定に
よって憧れを生み出し、入手の困難さが加わればさらに希少価値が高まると
いう戦略を採るので、購入実績のあるお得意様と一見客との間にはサービス
に明確な差を付けるのは当然のことです。
高級腕時計店やブティックでは、お得意様が顔を出せば、購買の有無に関わ
らず応接室でのドリンク提供等は当然のサービスとして行われています。
もし一見客と同レベルの接客サービスであれば特別感を求めるお得意様は離
れるでしょう。
例えばフェラーリの通常モデルは一見客であっても購入できますが、世界限定
モデルや記念モデルは過去に何台も購入したお得意様が優先されるのは仕方が
ない…というよりも、誰もが納得せざる得ないでしょう。
ただ、上から目線で有名な銀座の某時計店がやっているような「あの人気モデル
が欲しいなら、とりあえずこれとこれを購入して実績を作っていただいたなら、
数年後には入手できるように手配します」といった露骨に不人気モデルを売りつ
けようとする抱き合わせ商法は実に不愉快です。
入手できた暁にも、すぐに転売できないようにという理由で保証書を1~2年も
渡さないということまでやっています。
今回の記事も消費者が訴訟まで起こした動機の一つは、バーキン以外の商品を
売って歩合を付与する給与制度の不愉快さにあることは間違いないでしょう。
そういえば先日のテレビ番組でふと思いましたが、同じ事務所だからなのか、
明らかに有名タレントとの抱き合わせで出演している人を観ていると少し複雑
な気持ちになりました。
でも昔から最も抱き合わせ商法が横行しているのは芸能界なのかもしれません。
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