ブーメラン
そもそも「ブーメラン」というのは、投げると回転しながら弧を描いて飛んで
自分の手元に戻って来るオーストラリアの先住民発祥の道具のことですが、
近年では、相手に投げかけた発言が自分に返って来るために、スラングの
「ブーメラン」や「特大ブーメラン」という表現で広く使用されるようになって
います。
今年の代表例としては、福島原発の「ALPS処理水」のことを中国政府が政治
利用の思惑から「核汚染水」と呼んで日本からの海産物の輸入を全面的に禁止
して恐怖心を煽ったために、中国の消費者が中国産も含めた海産物を敬遠、
回り回って、中国の漁業関係者が苦しむ事態となってしまいました。
特大ブーメランのお手本のような事象です。
中国の原発は福島原発よりもはるかに多いトリチウムを放出しているのに、
中国政府はその事実を隠微、ネット上の情報も遮断して自国民の多くは事実
を知らされないままなので、街頭インタビューでは日本批判を繰り返してい
ます。
そのくせ海外旅行先としては日本が最も人気があり、インバウンドで押し寄
せた中国人観光客は、日本の寿司を喜んで食べています。
中国の漁船は日本の領海内で違法操業を繰り返し、中国の港で水揚げしたも
のは中国産だと言い張って安全性を強調する始末。
日本政府には中国政府に対して、この矛盾を説明するように、声を大にして
抗議してもらいたいものです。
また、某お笑い芸人が当て逃げ事故を起こして当面の間は活動自粛となりま
したが、7年前に別の芸人が当て逃げで書類送検された時にコメントを求め
られた際には、「なんで車から降りて謝罪せえへんかったんやろ。しっかりと
反省してほしいですね」と発言していました。
今回はその発言主が当て逃げ事故を起こしたということで、ネット上では
この時の発言がブーメランになったと呆れられています。
ところでマジシャンとして仕事をしていると、クライアント側からそのイベ
ントの主旨にちなんだ演出や出し物をリクエストされることがあります。
例えば、誕生日パーティーでマジックでケーキを出して欲しいとか、20周年
のパーティーなので20という数字を使ったマジックをやって欲しいとか、
特定の衣装やコスプレでサプライズな演出をして欲しいとか…マジシャン
あるあるではないでしょうか?
これらは、プロフェッショナルだからこそ実現させてくれるのではないか…
という期待感とリスペクトがあってこそのオファーなので、プロとしては
誇るべき仕事のはずです。
ところが10年ほど前でしょうか、あるマジシャンがこんな主張(豪語)をして
いました…「イベントの主旨に合わせたウケ狙いのメッセージを出したり、
クリスマスだからサンタのコスプレでマジックをするなんてのは素人臭い。
それは媚びているだけだ。つまり本物の芸がない証拠だ」
自分も含めてプロマジシャンというのは各々の戦略があるので、どのような
条件の仕事を受諾しようが断ろうが自由であって、そこに関しては芸の云々
は関係ないはず。
それにしてもこの主張は、多くの同業者の生き様を否定するあまりにも歪な
考えだし、当人はどれだけ立派な生き様を晒しているのだろうと感じたので
記憶に残っていたのですが、どういう風の吹き回しか、そのマジシャンが
誰かに媚びたのか…イベントの主旨に合わせたコスプレで嬉々として舞台に
立っていたという情報が入りました。
他人に厳しく自分に甘い…そんな厚顔無恥なショーを観たいとは思いませんが、
きっと媚びた笑顔を振りまいていたであろうことは容易に想像がつきます。
もうすぐクリスマスですが、そのマジシャンが臆面もなくサンタのコスプレ
をしたとしても、もはや違和感はありませんね。(生活のために意に反しての
忸怩たる想いでのコスプレであるなら、憐憫の情を抱かざる得ませんが…)
機会があれば、ぜひ特大のブーメランが頭に刺さったコスプレを期待したい
ところです。
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