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収益効率 6 [ブランディング]

前回からの続きです…

収益効率を世界の自動車メーカーの「株式時価総額」の順位づけから考察して
みましょう。

テスラの1位とトヨタの2位は不動なのですが、面白いのは7位と8位を行きつ
戻りつしているのがホンダで、競い合いの相手はなんとフェラーリなのです。
年間販売台数が1万台強しかなく、しかもトレンドであるEVを売っていない
のにフェラーリの評判が高いのは何故なのでしょう?

2022年度のデータでは、出荷台数はトヨタの800分の1なのに、1台あたりの
利益率は53倍もあるのですから、もの凄い収益効率です。(マジックで例えたら
トランプ1組でトラック1台分のイリュージョンショーに匹敵するイメージです)
世界的なEV化の流れは今後も変わることはないので、フェラーリも数年後に
はEVを造る方向のようですが、内燃機関つまり新車として出回るエンジン車
は減少に向かう一方で、伝統的スポーツカーの希少価値は益々高まるのでは
ないでしょうか。

また近年は、入手困難な旧車の人気が沸騰していますが、私のマジックにおい
ても(特にクロースアップ)30年以上前に銀座のクラブで演じてきた演目ほど今の
観客にとっては新鮮味があるようで、最新のマジックよりも遥かに反応が良い
ことを体感していますし、当時のマジックを若手マジシャン達に演じてみると、
初めて見る現象なのか、全く追いついてこれないことも多々あります。

私はマジックビジネスに紐づけられることは貪欲に勉強する方なのですが、
最近気になっている分野があります。
それはWTP(willingness to pay)…「支払い意思額」という考え方。
これは製品やサービスに対して、消費者が喜んで支払う価格のことを表します。
つまり「いくらまでなら消費者はお金を出していいと思うか」を示す金額のこと
なのですが、フェラーリはそれがズバ抜けて高いのですよ。
圧倒的な支持者のみを対象にクルマ造りに専念しているのであって、「クルマは
走れば十分、バカ高いクルマなんて見栄っ張りが欲しがるだけで興味はない」と
いう価値観の違うルサンチマンこそ、フェラーリ側からすれば顧客として扱う
意味も価値もない存在なのです。(高級腕時計の世界も同じですね)

フェラーリのビジネス哲学を何かの本で読んだことがあります…それは枯渇感
を煽って価値を高めるために「欲しがる人の数を想定して、それよりも1台少な
く製造する」ということ。
分厚い利益の源泉は「ブランド力」という無形資産であって、こればかりは日本
の自動車メーカーに決定的に欠けてきた部分でしょうね。
日本のクルマはステータスやラグジュアリーよりも適正価格で故障が少ない
ことを売りにしてきたために、ブランディング構築がおろそかになっていた
のです。(可能性があるとしたらレクサスくらいでしょうか)
要はコスト削減で利益を追う企業と、巧みなブランディングをして高収益を
獲得する企業に分かれているのです。

翻ってマジック業界…「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」ではありませんが、複数
のイベント業者に籍を置かせてもらって、どの業者のホームページにも同じ
宣材写真が出てくるマジシャンは、その戦略の先に何か大きな展望があるの
でしょうか?(カーセンサーの中古車一覧にしか見えません)
まあ、それで収益効率が上がっているのであれば何も言うことはありません
…物言えば唇寒し秋の風。

「このマジシャンならいくらまでなら出せるか」というWTPを念頭に、マジシャン
も他業種のブランディングを学ぶべきなのです。

次回7へ続く…

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