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収益効率 5 [パクリ 後半]

前回からの続きです…

アマチュア時代には憧れのプロの演技を模倣することは誰もが通る道であり、
それをパクリと非難するのなら、脛に傷の無いマジシャンは皆無ではないのか
と述べました。

問題はプロの場合です…プロ転向以降にも他人の模倣をしていると、少しでも
プライドがある人ならば「他人のふんどしで相撲を取る」こと自体に羞恥心を感
じて、独自の路線を歩み始めるものなのですが、羞恥心を感じる受容体が先天
的に欠如しているのか、成長とは無縁で単に憧れの人と同じことがやりたくて
プロ活動を始める人もいれば、周囲からどう思われようが、収益効率どころか
食べていくために、なりふり構わずにパクリまくる事例もあります。
客席にパクリ元となったマジシャンを見つけて焦るくらいなら可愛げもありま
すが、開き直ってまるで動じないメンタルの持ち主もいるほどです。

この事象は平成初期のマリックブームの頃は特に顕著で、一度は廃業したも
同然のようなマジシャンですら超魔術師を装うことで息を吹き返す「ゾンビ現象」
まで起こりました。(袖口を捲くってサングラスをかけるだけで、なんちゃって
マリックが出来上がるのですから、収益効率は高かったはずです)
しかし当時から「カニカマは本物のカニになれっこないのになあ」と感じていま
したが、現在に至るまでやはりカニカマのままです。
またアンチマリックを旗印に、ブームに紛れて暴露によって仕事を得る輩も
跳梁跋扈していましたが、どんな大義名分を掲げようが、成功者を貶めて毀損
するのも彼らにとっては収益効率を上げる一つの方法だったということです。

ところで昨今、医学界ではジェネリック医薬品の製造不正問題が話題になって
います。
2021年2月以降、中堅メーカーの小林化工、ついで日医工までもが業務停止
命令を受けました。
そして最大手の沢井製薬が胃炎・胃潰瘍向け医薬品の品質試験で不正があった
と発表しました。
国は医療費削減のために医療機関に対してジェネリック医薬品の処方を推奨
していたのに、一連の不祥事で薬不足に陥るとは皮肉なものです。

実は以前から臨床医の多くはジェネリック医薬品の効能に懐疑的でした。
降圧剤をジェネリックに変更した途端、血圧が安定しなくなったり、テトラ
サイクリン系の抗生剤のジェネリックでは傷の治りが遅かったりと、これら
の事例には枚挙に暇がありませんでした。
後発薬であるジェネリック医薬品は、先発薬と成分が同じでも添加物や製造
過程が異なるために十分な効果が得られなかったり、予期せぬ副作用が現れ
ることがあるのです。

この類のニュースを見る度に、ついマジック界の歴史と照らし合わせてしまい、
カーディニー、チャニングポロック、フレッドカプス…多くの先発マジシャンの
偉大さを思い知るわけです。
先発に影響を受けた後発(もちろん私もその一人です)は、いつまで経っても
ある意味ジェネリックマジシャンなのです。

先発ほどの十分な効果を得られないまでも、せめて副作用で迷惑をかけない
ように留意しなければなりませんね。

次回6へ続く…

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