問題作を鑑賞
映画「月」を鑑賞。
これは、2016年に相模原市の重度障害者施設「津久井やまゆり園」で発生した
大量殺傷事件をモチーフにした辺見庸の小説を映画化したものです。
この映画は苛烈ではあっても実直な表現で、見て見ぬふりをしてきたもの、
知っているのに知らないふりをしてきたもの、そして本音を糊塗して綺麗事
だけを口にしがちな私たちに、逃げることができない現実を突きつけます。
上映中、犯人の自説の展開に何を勝手なことを言っているのだと思いながら、
自分の中にも同様のどす黒い考え方が宿っていることを否応なく突きつけて
来るのです。
この映画の一つの見所は、主演の宮沢りえが犯人と口論をしながらも、いつ
の間にかもう一人の自分に喝破されていく場面にあると思います。
上映後は、ほとんどの観客が身動きもできないまま、本音と建前や理想と現実
のギャップに蹂躙されているかのような空気でした。
まさに誰もが目を逸らしてはならない世に問うべき問題作です。
勇気ある制作者と俳優陣を心からリスペクトします。
公式ホームページは…コチラ
実は最近忙しくて映画館で映画を観る機会がなく、やっと時間ができたので
面白そうな映画はあるかなと調べようとした矢先に、偶然にも後輩からこの
映画を推奨するメールが届いた次第…「制作者の覚悟キマってて、体重の乗った
パンチでした」と綴られていれば観に行かない選択肢はありません。
福岡市内の上映館を調べると、博多駅Tジョイと中洲大洋の2館のみ。
今回は迷わず中洲大洋を選びました…実は老朽化に伴い2024年3月末をもって
閉館し、取り壊しが決定していたからです。
この映画館は1946年に開館し、4スクリーンに計581席が備わり、市内の独立
映画館では最古の歴史を誇ります。
私は大学に入学した1983年から福岡に住み始めましたが、当時から幾度となく
通いました。
中洲で飲んだ後にオールナイト上映に行って寝落ちしたこともありましたね。
近年はキャナルシティや博多駅Tジョイ、あるいは東京や名古屋で映画を観る
機会が多かったのですが、十数年ぶりの中洲大洋でノスタルジーに浸りました。
今後も「ゴジラ−1.0」や「エクソシスト 信じる者」など、世代的にノスタルジー
を感じさせる映画が上映予定なので楽しみです。
そうそう、チケット窓口で免許証を提示するとシニア割(1200円)になりました。
ノスタルジーを感じるはずだ…。
| 固定リンク
最近のコメント