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収益効率 1 [オファー]

今回から数回に渡って収益効率をテーマに書く予定ですが、内容は営業プロ
としてのスタンスなので詳述することを逡巡しました。
また「収益効率なんて考えずに芸を極めることがマジシャンの本分だ」とする
昭和の浪花節的な考え方の人もいるでしょうが、プロであれば稼ぎは多いに
越したことはありません。

ある経済学の本に「貧乏暇無し」などと言うのは、謙遜してお金に興味がない
ことをアピールしているようで、実は仕事の効率の悪さや無能さを糊塗して
いるだけなので、ビジネスパートナーとしての対象からは除外すべきである…
とありましたが、大いに同意するところです。

ここに書くことは一般社会の経済活動にも相通じる点もありますし、何より
マジシャンの社会的地位の向上を願いつつ書き記します。
では、まずオファーについて。

この秋以降、出演オファーも徐々に増えていますが、私はオファーを受けた
時点で「仮押さえ」の期限を設けさせていただいています。
理由としては、仮押さえをされている期間はその当日や前後に仕事を入れる
ことができない「機会喪失」が甚だしいからです。(多忙な方は同意できるはず)

最近でこそなくなりましたが、過去の例だと、オファーをした側は仮が消えた
時点ですぐに連絡すべきところを失念した場合、放置していた失態を糊塗
するために「急にイベント自体がなくなっちゃいまして…」など、その場しのぎ
の言い訳をする業者もいましたが、回想すれば当時の自分が舐められていた
だけなのでしょうね。

立場の弱いマジシャンほど「随分前に問い合わせがあった仮の仕事はあれから
どうなったのかなあ、こちらから連絡してみようかなあ」と思いつつも、自分
からせっついたことが原因で「他の案件が入ったのであれば、そちらを優先
して結構ですよ」などと返答されて仮バラシとなることを恐れて連絡できず、
相変わらず放置されて「舐められループ」が続くことになるのです。(マジシャン
あるあるではないでしょうか?)

世の中の慣習としては、商品の取り置きにしても仮予約には期限があるのが
常識なので、オファーがあった時点で仮押さえの期限を決めるべきであるし、
同じ日程で他のクライアントから別件のオファーがあった場合は、決定優先
とするか否かもはっきりと決めておくべきです。

また現在の私は、ステージショーのオファーは地元の福岡以外は極力お断り
して、代わりに信頼のおけるマジシャンを紹介しています。
遠方でのステージショーは、場合によっては前乗りしての準備やリハーサル
が必要だったり、夜の出演だとその日も泊まることになって、たった一回の
ステージのために二泊三日を費やす上に、機材の発送や受け取りに立ち会う
場合は、さらに丸一日が潰れることもあるのです。

人生も終盤に突入し、収益効率を第一義とするマルチワーカーの立場としては、
本番の日の前後や機材の発送や受け取りで他の仕事ができなくなることを考慮
すると引き受けづらい状況なので、遠方の現場はフットワークよく動けて収益
効率が高いクロースアップのみを引き受けています。(プライベートな空間で、
少人数を相手にひっそりとやっております)

今回書いた方針は、あくまでも現在の私の年齢や生き方をベースとした最小
公倍数的な方針なので、最大公約数的に誰にでも推奨できるものではありま
せんが、ここで言いたかったのは、いずれにしても収益効率を上げるためには、
現在の自分自身を俯瞰して価値観に合うオファーの受け方を模索するのが
肝要だということです。

次回2へ続く…

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