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見限る勇気 1

またもや誕生日を迎えてしまいました。
昨年、後輩マジシャン達が盛大に還暦祝いのサプライズパーティーを催して
くれてから、あっという間に一年が経ったわけです。
昨夜0時を過ぎた頃から次々に届くお祝いのメッセージに感謝しています。
(持つべきは信頼できる友と後輩ですね…あと、クラブのおネエ様方も)
今年は誕生日当日に健康診断の予約が取れたので、受診して来ました。
血液検査の結果は後日受け取ることになりますが、血圧、胸写、心電図、
尿検査、聴視覚検査等は全て正常でした。

私達は産声をあげた瞬間から死への道程を歩み続けるわけで、フライトに
例えれば、老いというマイレージを貯め続けるようなもので、それには誰も
抗えません。
それでも個人的には、少なくとも同世代よりは健康的で若々しく小綺麗な
ジジイを目指しているところであります。

しかしまあ歳を重ねる度に、近い将来にマジシャンとして諦めなければなら
ないこと、棄てなければならないもの…等々を考えてしまいます。
新しいことを取り入れてもいますが、もう時代と年齢とコンプライアンスに
そぐわないものは省いていかないと、レパートリーを維持するだけでも負担
が大きくなるだけですから…レストランのメニューからひっそりと消える
料理のようなものですかね。
社交辞令なのか「まだまだやれるでしょ」と励まされることもありますが、何事
も5年後10年後を見据えて、早め早めに動いてきたことが大正解だった人生
なので、自身の判断には迷いはありません。

他人の振り見て…の一例として、往年のスター達が全盛期のヒット曲を歌う
BSの番組を観ましたが、彼らの全盛期を知っているだけに、声のかすれや
緩慢になった動き等「抗えない老い」が気になって、せっかくの歌が頭に入って
来ないことがショックでしたねえ。

プロ野球選手のように戦力外通告を受けたり、限界を悟った瞬間に自分から
スパッと辞めることができればいいのでしょうが、エンタメは味がなくなった
のにいつまでも吐き出せないガムのようにダラダラと続けてしまいがち。
本人だけはまだ味を感じているのでしょう。

「無理なくできる」ならともかく、「今でもなんとかできる」というレベルに
なってしまったとしたら、趣味ではなく仕事としての評価である以上は、
ギャラを頂戴するには値しないと自覚するしかありません。
その時は「自分を優しく見限ってあげる勇気」も必要だと思います。

思い出と戦っても勝ち目はないのですから、老いは受け入れるしかありま
せん。
今の自分に焦点が合わず、遠い過去が綺麗に見えるのは…「心の老眼」です。

2へ続く…

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