巨人の肩の上に立つ
私達は日々他人や環境の影響を受けながら生活、そして成長しています。
最も身近で影響を受ける機会は、やはり「読書」ではないでしょうか。
読書は様々な知見を与えてくれるし、人間としての深みを醸成する上で欠
かせない栄養素だと思います。
本のまとめ買いを目的に大きな書店に出かけることもありますが、最近は
福岡空港や羽田空港内の書店に立ち寄ることが多く、フライトまでの短い
時間でも良き本に出会うために散策しています。
新聞広告で見た本をネットで注文することもありますが、類似本ばかりが
リコメンドされるより、書店で思いがけない本と出会う方が楽しいですね。
ところで最近、こんな記事を見かけました。
本を読まない学生が増えている…全国大学生活協同組合連合会が1万1千人
に実施した学生生活実態調査によると、50.5%の学生が1日の読書時間を
0分と答えたというのです。
驚くべきは読書をしない理由の一つが「誰かに影響を受けたくないから」…
本当にそう思っているのか、尖ってるだけなのかは分かりませんが、損を
しているなあと思わざる得ません。
マジシャンにも当てはまると思うのですが、1人に影響を受けたのならば
コピーかもしれませんが、10人から影響を受けたなら、それはもうその人
自身に昇華されているはずですから。
ニュートンが書いた手紙の一節で有名になった「巨人の肩の上に立つ」との
言葉があるように、新しい発見ができるのは先人が積み重ねた発見がある
からなのですよ。
貴重な時間をスキップして肩に立たせてもらうことで、その景色を見ること
ができるのです。
誰の影響を受けたのか、誰のお世話になって誰からそれを習ったのか…
それらの史実を語ることもなく、さらには、誰かに弟子入りしていた事実
すらひた隠しにするマジシャン達は、ネタ元となったマジシャンの存在が
次第に疎ましくなり、弟子や後輩がネタ元と知り合って己の虚構が晒され
ることを極度に恐れます。
残念ながら、そんな姑息なマジシャンが少なくないのが現実です。
私自身はそれらを反面教師として、自宅に訪ねてきた後輩達には自分が
知る限りの史実を、ある時は文献や映像で証明しながら克明に伝える
ようにしています。
先月になりますが、私がリスペクトする「レジェンドマジシャン四天王」の
うちのお二人…ジョニー広瀬さん、プロフェッサーサコーさんと私の3人
で食事会を催しました。(顔ぶれが濃過ぎましたね)
かつてお二人が頻繁に出演されていた番組「花王名人劇場」の裏話を中心に、
史実の確認や昔話に花が咲きましたが、事実は小説よりも奇なり…幾つか
の疑問が氷解して点と点が繋がりました。
そして今でも意欲的に道具作りに勤しむサコーさんの新作ネタも頂戴しま
した。
様々な思い出話を拝聴しましたが、移動の車中でジョニーさんがボソッと
「35年前、マリック主催のコンテストで初めてZUMAのステージを観た時に、
こんな学生がおったんか…と正直驚いた」と言われた時は、たとえそれが
社交辞令だったとしても素直に嬉しかったですね。
中高生の頃から憧れて、繰り返しビデオを観てきた大先輩方と、こうして
食事会ができることは感慨深いものがあるし、若き日にこの方々の大きな
肩に立たせてもらったからこそ今の自分があるのだなあと思うと、感謝の
言葉しかありません。
久しぶりに気づかれないようにそろりと立ってみましたが、お二人の肩の
安定感は健在でした。
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