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2022年12月

さらば2022年

まずはこの一年、心身ともに健康で過ごせたことにホッとしています。

ショッキングなニュースが次々に飛び込んで来た激動の年でしたが、それを
横目に全力で走り抜けた結果、自分としてはまだ伸び代を感じる充実した年
でもありました。
この師走も東京、大阪、名古屋と慌ただしく動き回りましたが、大雪による
飛行機の欠航や新幹線の停電による立ち往生といった類の交通トラブルも、
一日違いで運良く切り抜けられました。
コロナの行動制限もなく全国旅行支援の効果もあって、空港の保安検査場は
長蛇の列ができておりますが、こんな時こそJALグローバルクラブ会員の恩恵
を感じます。
会員専用の保安検査場でスムーズに通過後、ラウンジで休憩できるので、
疲れも少なく到着後の仕事のパフォーマンスの質がかなり違います。

さて、大掃除とまではいかないまでも、ある程度は家の掃除を済ませたので
すが、問題は雪による愛車DBXの汚れです。(この師走は福岡も降りました)
気候さえ良ければ、適度な運動にもなるので自分で洗車をするのですが、
さすがにこの汚れ具合と寒さがやる気を挫きます。

そんな時に便利なのが…出張洗車。
実は前車キャデラックの頃から利用しているのですが、会員登録を完了後、
PCやスマホで日時やコースを予約するだけで、スタッフが自宅まで来てく
れて、ピカピカに仕上げてくれます。(今回はホイール洗浄を含めたコース)
支払いはクレジットカードでOKです。

最初は自宅の水道を使うのかと思っていたら、汚れを浮かせる特殊溶剤を積
んだ車で現れ、手洗いで水浸しになることもありませんので、今後は近くの
月極駐車場に停めているセカンドカーもお願いしようかなと思っています。
指定した駐車場に出向いてくれるので立ち会う必要もなく、進捗状況は写真
と一緒にスマホに送ってくれるので安心です。
また、洗車をしても翌日が雨だとガッカリなのですが、天気予報で洗車翌日
の雨天確率が50%以上の場合は延期も提案してもらえます。

今年の汚れは今年のうちに…家も愛車も綺麗になって、清々しい気分で新年
を迎えられそうです。

それでは皆さんも良いお年をお迎えください。

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今年一推しの本

どんな本に感銘を受けるのか…その時の読む側の置かれた立場や境遇や年齢
によって様々であろうし、書店を訪れた際も、共感したかったり悩みを解決
へ導いてくれそうなタイトルの本に手が伸びるのではないかと思います。

先日、「50代までにしておくべきこと」的な本を手にして、「あ、遅すぎた」と
気づいて棚に戻しました。(たぶん、やるべきことは済ませていると信じて
おります)
今年も多くの本を読了しましたが、現時点で今年一推しの本を紹介します。

・ 「限りある時間の使い方」 オリバー・バーグマン 著 (かんき出版)

私のブログを読んでくださっている方はお気づきのように、今年4月に還暦を
迎えた私は、残された時間を砂時計の砂に例えて、それがいかに貴重である
かを度々書いてきましたし、アストンマーティンDBXのPVにおいて、なぜ
このクルマを選んだのか…その理由の一つとしても語らせてもらいました。

この本のタイトルを見た時に、「おっ、タイムリーだな」とは思ったものの、
そんなこと他人に指南されなくてもとっくに理解しているし、自分なりに
ストイックな時間の使い方をしているという自負があったので、軽い気持ち
で読み進めていくと…「貴重な時間を無駄なく使っているのに、どこか満たさ
れていないのはなぜだろう」という、内に秘めた疑問が氷解しました。

まずこの本は「人生は4000週間しかない」というこれまでにはなかった単位
で、我々の寿命の短さをダイレクトに突きつけます。
また人間の意志の弱さ…例えば、毎月の収入から余った分だけ貯金しよう
とすることは困難で、一定額を先に貯金した残りで生活をしない限りお金
は貯まらないことを引き合いにして、これは時間に関しても同じで、先に
確保しないとどんどん他のことに時間を使ってしまうと指摘しています。

これはまさにその通りで、私自身、時間ができたらあのマジックの練習を
しようと思っている程度では重い腰は上がらないし、いつか観るつもりで
録画した映画の数々は、随分前からハードディスクに放置されています。
時間ができたら洗車しようと思っていたら、クルマは汚れたままです。
空いた時間にやるのではなく、まずはそれを最優先にしないと何も動かな
いし、達成できないのです。

昔はこの世に存在しなかった家電類…例えば洗濯機や掃除機は、それらが
なかった頃なら丸一日かかっていた面倒な家事を短時間で済ませてくれる
ので、その間はのんびりと過ごせるはずなのですが、現代人は休むどころ
か、それで得た新たな時間で何かを成し遂げようとして、結局は達成でき
ずにストレスを溜めています。
やりたいリストの項目が多ければ多いほど、「一日は24時間」という太古の
昔から変わらない原則の中では絶対に解決できません。

本書では、人生の時間は限られていること、さらにその中の限られた範囲
しかコントロールできないと論じると同時に、私たちそれぞれの人生観や
価値観とは何か…何に時間を費やすべきかを投げかけています。

今年は、私自身にも大きな影響を与えてくれた方々が鬼籍に入られたので、
特にその想いを強くしているところです。

最後に…157ページの、時間の使い方を改めて考えさせられた小話を…

メキシコの漁師が一日に2〜3時間しか働かず、太陽の下でワインを飲んだ
り友達と楽器を演奏したりして過ごしている。それを見て愕然としたアメリカ
のビジネスマンは漁師に勝手なアドバイスをする。「もっとたくさん働きなさい、
そうすれば利益で大きな漁船をたくさん買って、他人を雇って漁をさせ、
何百万ドルも稼いで、さっさと引退することができる」
それを聞いた漁師は「引退して何をするっていうんだ?」と尋ねる。
ビジネスマンは答えて言う。「太陽の下でワインを飲んだり、友達と楽器を
演奏したりできるじゃないか」

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DBX707試乗

12月10日&11日はアストンマーティンDBX707の試乗会…さっそく試乗して
きました。
夏のサーキットでの試乗会には残念ながら参加できませんでしたが、幸いな
ことに本日10日はオフ日だったので、やっと実現しました。
今回はサーキットとはいきませんでしたが、高速道路も走ってみました。

私は自動車評論家でもモータージャーナリストでもないので的確な表現は
できませんが、現行DBXに丸一年以上乗っているからこそ、乗り比べること
によってDBX707のポテンシャルを垣間見れたことは貴重な体験でした。

ちょっと専門的になりますが、パワーアップした点を羅列すると…

最高出力:550ps → 707ps
最大トルク:700Nm → 900Nm
最高速度:291km/h → 310km/h
0〜100km/hのタイム:4.5秒 → 3.3秒
またエンジンの性能アップに合わせて、湿式の多板クラッチ式の9速オート
マチック・トランスミッションやカーボンセラミックブレーキが採用されて
います。

まさに最強・最速を自認するスーパーSUVにふさわしいスペックですが、
パワーアップしたとは言っても、まるで5ナンバーか軽自動車を操っている
ような運転のし易さはDBXと同等なので、「さらに洗練されたマッチョ」と
いうところでしょうか。

街乗り程度ならば、とても707psものエンジンが搭載されていることなど
微塵も感じないし、カチッとした剛性感はあるものの、その扱いに気難し
さやスパルタンな印象は全くありません。
高速道路でカーブにさしかかると、ステアリングの正確で忠実な手応えで
サスペンションには絶対的な安心感を抱きました。

そして一瞬のチャンスでしたが、モードを「スポーツプラス」に切り替えて、
アクセルを強く踏み込むと、痺れるような咆哮と同時に力強さが一気に
増したと思いきや、恐ろしいほどの加速のポテンシャルを感じました。
もうこれは「SUVの姿を纏ったスーパースポーツカー」ですね。
最強・最速の片鱗を垣間見ました。

DBXとDBX707…ベース価格は約600万違いますが、この存在の違いを
どう例えればいいのだろうと考えていて、やっと思いつきました。

中トロと大トロです。

私の年齢だと、もう大トロは胃もたれするので一貫で満足かなと。
(実際は中トロでも多少胃もたれしますが)
次回のクルマの乗り換えの頃は、さっぱりした赤身くらいがちょうど良く
なっているかもしれませんね。

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ヴァルハラ登場!

アストンマーティン初のV8ミッドエンジン・ハイブリッドスーパーカーである
Valhalla(ヴァルハラ)が福岡上陸。
12月1日&2日はアストンマーティン福岡のショールーム、3日は福岡天神の
ソラリアゼファ広場で特別展示会が開催されたので、3日の夕刻に見てきま
した。
土曜日の夕刻とあって、多くの人が立ち止まって撮影していましたね。

夏には青山のショールームに展示されていたのですが、タイミングが合わな
かったので、今回は福岡で拝めることができてラッキーでした。
昨年大ヒットした映画「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」のワンシーンにも登場
して、静止状態ながらも異様な存在感を放っていたので、記憶に残っている
方も多いのではないでしょうか。

2021年3月に約60年ぶりにF1復帰を果たしたアストンマーティンですが(ちな
みに我が愛車DBXは、F1の公式メディカルカーとして採用されています)、
同じくハイパーカーValkrie(ヴァルキュリー)よりも公道走行向けにアレンジ
されているため、コクピットは広めに設計されて、利便性や乗降性が高めら
れていることから、ロードモデルとしての実用性が重視されていますね。

スペックとしては、2基の電気モーターが搭載された新しいV8エンジンが
生み出す最高速度は350km/hで、0〜100km/hの加速はわずか2.5秒で
達成します。
「速度制限があるのに、そんな性能は必要ないだろう」…などという野暮な
ツッコミすら置き去りにしそうです。(そのツッコむ方の自家用車でも最高
速度として180km/hや220km/h程度はスピードメーターに表示されて
いるはず…その速度だって出せないのなら必要ないのは一緒でしょうに)

実車を見た第一印象…そのエクステリアは、一目で「速い!」と感じさせるエア
ロダイナミクス重視の筋肉質な造形で、最小の重量で最大の剛性を実現する
カーボンファイバーで纏われたボディはアストンマーティングリーンのカラー
とも相まって、神々しいオーラを醸し出しておりました。
内部もボディと一体で形成されているので、運転席は固定されたカーボンの
基礎にクッションを装着して、リクライニング等の調節ができないために、
アクセルとブレーキのペダル類が前後に可動するシステムです。

いつか試乗できたとしたら、高揚感はハンパないでしょうね。
999台の限定生産で、価格は1億超…はたして日本では何台が受注されて、
実際に公道で見かけることはあるのでしょうか…それも楽しみです。

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スキミング戦略 8

最終回です…

これまで7回(番外編を含めると8回)に渡ってマジックビジネスにおける
スキミング戦略について書いてきました。

スキミング戦略を成就させる上で第一義とすべきものは何か…それは何度も
強調していますが、差別化をはっきりと標榜することに他なりません。
差別ではありません…「差別化」です。
世の中では当然のように差別化はまかり通っています。

飛行機に乗れば、ファーストクラス、ビジネスクラス、エコノミークラスと
分けられているのが普通ですが、高額な料金を支払ったファーストクラスの
乗客が、「他のクラスの乗客よりも目的地に早く着く」わけではありません。
あくまでも優先搭乗や機内サービスの差別化であって、それぞれが支払った
対価によって、座席のグレードとサービス内容に差があることは周知されて
納得済みですから、そこに不平不満等のトラブルは発生しません。

翻ってマジシャンの場合、それなりの報酬を要求して「どんなマジックを見せ
てくれるのですか?」と問われた時に、はっきりとした差別化のために、腕に
自信のある人がつい強調したくなる「誰よりも巧く」は実は通用し辛いのです。
(そもそも質問と答えが噛み合っていませんし…)
なぜならタネがわからない以上、一定レベルを超えた巧さの価値は一般人
には理解し難いために、報酬には反映し辛くなるからです。(ですから、巧さ
を認められたいマジシャンは、同業者が賞賛してくれるコンテストに活路
を見出すわけです)
「誰よりも巧くやる」ではなく「誰もやっていないことをやる」あるいは「誰も
見たことがないものを見せる」と自信を持って売り込めるか否か、つまり
相場観に流されないことが重要な分水領となります。

富裕層の顧客を獲得するという意味では、ブランディングの頂点とも言える
高級車のディーラーや高級腕時計販売のエキスパートに近い感覚も必要かと
思います。
単に「移動手段としての車」や「時間を知るための時計」という本来の機能だけ
を満たして事足りるのであれば、価格帯でもこれだけの差がある業界が成立
するわけがないのです。
「走るだけなのに、時間を知るだけなのに…なぜそんなに高額なのか?」と
懐疑的な人は、そもそもショールームやブティックを訪れません。
先に述べたように、飛行機において、到着時間は同じなのに料金は何倍も違
う座席のグレードの差別化が納得できない人は、ファーストクラスには座り
ません。
「特別な時間と体験を提供するマジシャン」であればこそスキミング戦略を採る
ことは、私は当然であると思っているし、もし実践するつもりがあるならば、
これらの業界の差別化がなぜ連綿と続いて圧倒的な支持をする顧客が絶えな
いのか…その理由を他人に説明して、ルサンチマンを論破できるレベルまで
理解するべきだと思います。

一定レベルのマジックの知識とスキルでマジシャンとしての武装をしている
ことは当然として、その上で身なりの清潔感、社会人としてのマナーと常識
(失礼ながら市井のマジシャンの中には、これが欠けた変な人を散見します)、
さらにある程度の語学力を身に付けておくことに越したことはないし、政治
経済の動向、一流ブランドやファッションのトレンドに幅広く精通した上で
さらに「聞き上手」であれば申し分ないでしょう。

最悪なのは、話題に事欠いて得意なマジックの話に強引に戻したり、客との
会話で無聊をかこって、無意識にカードやコインをいじり始めるタイプです。
マジック(武器)は主役ではなく、それを使わなくても豊富な話題と物怖じし
ないコミュニケーション能力(素手)で勝負できる「人間力」の方が重要です。

「只者ではない雰囲気を纏った常識人」であることが理想像かもしれません。

そこに気が付いたマジシャンにとっては、このフィールドはブルーオーシャン
に違いありません。

スキミング戦略…完





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