時短生活と倍速消費
巷間、映画やドラマを早送りで観る、いわゆる時短視聴が物議を醸し出して
います。
かなり前に「我ら倍速世代」という記事を読んだ時に「へえ、そんな人達がいる
んだ」くらいの感覚だったのが、今や自分も録画した番組を倍速で観ることが
しばしば…最初は録画しておいたマラソン中継で、デッドヒートが繰り広げら
れる終盤までは倍速で割愛したのを記憶しています。
便利さを知った後は、情報番組や最近のマジック番組も…マジックに関しては
演目を確認するだけなら倍速で充分ですからね。
ただし、感動的な映画に代表されるエモーショナルな作品であれば、荘厳な
音楽やストーリー上で重要な「間」が割愛されて、作品の意図が正しく伝わら
ない恐れもあるし、およそ鑑賞とは程遠い、あらすじだけを紹介するファスト
映画のような違法行為が出てきたりする問題もあります。
倍速視聴は、制作者やアーティストへの冒涜ではないかという意見もあるよう
ですが、旬の作品という情報共有によって人間関係を維持しつつ、長い時間を
費やして内容がつまらなかった時の無駄を回避する、いわゆる時短生活を重視
傾向は止まらないと思います。
これは過剰情報社会という環境上の変化なので、「作品を鑑賞する」行為と情報
収集のための「コンテンツを消費する」ことを両立させるためには仕方がない
ことなのでしょうね。
映像だけではなく、市場に目を向ければ、10分でパスタを完成させる1台9役の
電気鍋や0秒チキンラーメンなど、倍速消費というタイムパフォーマンスの効率
化を目的とした商品が増え続けています。
マジックの世界では、時短修行で「なんちゃってプロ」が粗製乱造された挙句に、
荒波に放り出されて右往左往する傾向も散見されますが…。
何度も書いていますが、私自身も人生を砂時計の砂に例えて、限りある残りの
時間をいかに有意義に過ごすべきかと感傷に浸る時間も大切だとは思うの
ですが、今の時代はゆったりと感傷に浸る間もなく、生活の定型を崩しかね
ない大きなうねりと向き合うしかないのでしょうね。
時短生活でストレスを回避するつもりが、時短によって人間関係が希薄になる
ことがストレスの元凶になるとすれば本末転倒なわけですが、ストレスの最大
の原因は人間関係であることは論を俟たない以上、他人の時間を喰い潰すよう
なマイナス要因しかない人間とつき合うことは、健全な時短生活の潮流に最も
逆行することです。
次回は、距離を置くべき4つのタイプについて具体的に考察します。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 雑感 その24(2025.01.08)
- 2025年 始動(2025.01.01)
- さらば2024年(2024.12.28)
- 雑感 その23(2024.12.23)
- タイム イズ マネー(2024.12.16)
最近のコメント