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2022年9月

NO MORE 時間泥棒 2

前回からの続きです…

「金持ちケンカせず」という言葉がありますが、私を含めてその意味を履き違え
ている人も多いと思います。
つまり、金持ちは欲しいものが何でも手に入るからイライラしないし、争う
必要がない…と解釈しがちなのではないでしょうか。
しかし実際には、そもそも「ケンカになるような人とはつき合っていない」
のです。
つまり、気が合って価値観が同じ人とだけつき合うようにして、人間関係の
ストレスをゼロに近づけるように心がけているわけです。
さらに、「人は人、自分は自分」と肚を据えているからケンカにもならないので
しょう。

ただし、そんなケンカをしない人であっても、つまらない人間に費やして
しまった「時間」だけは、相手の襟首をつかんで「返せ!」と怒鳴っても絶対に
返してもらえません。
貸したお金は戻ってくる可能性はありますが、時間だけは絶対に戻って来な
いのです。

今回は時間泥棒の中でも、私が最も忌み嫌うタイプを…

・ 「虎の威を借る狐」

マジシャンの世界では「師匠ホッピング」を繰り返すタイプに多いので、ある
意味では「虎ホッピング」とも言えるでしょう。(本人の座右の銘かも)
卑屈な笑顔で揉み手をしながら見え透いたお世辞で相手を持ち上げ、実に
まめに貢ぎ物を贈って、なんとか有益な見返りを得ようとします。
そして得るものを得たら露骨に次のステップに移ります。(大抵はホップ→
ステップ→肉離れという結末になります)
なんとか辿り着いた大物と親しいことをひけらかして、目的を成就させよう
とします。(腰巾着にしか見えていないことには気づきません)
威を借る…そんな虎が身近にいるだけでも羨ましいと思う必要はありません。
そもそも実力で虎に認められたわけではなく、必死でゴマすりをして紹介
してもらっただけで、虎の側も都合よく利用することはあっても、内心では
そんな人間をリスペクトはしていません。
いい歳をして虎の威を借りなければ活躍できないような狐は、結果的には
大成しないのです。
そこまで媚びへつらうエネルギーがあるなら、自分が虎になってどこかの
狐に威を貸してやろうという気概が生まれないのが不思議です。
揉み手のし過ぎで、指紋が消えた狐はNO MORE。

他にも時間泥棒をあげれば枚挙にいとまはありません…
・ 「チャレンジ精神がない人」…未来を語れないのでNO MORE
・ 「経歴詐称をする人」…全てに説得力がないのでNO MORE
・ 「ただの輩」…論外

人の振り見て我が振り直せと云われるように、もちろん自分も他人の貴重
な時間を削り取ることには細心の注意を払わなければならないのは言うま
でもありません。

閑話休題…

「時間」の正体を突き詰めると、有限である「命」と切っても切り離せない正に
不即不離の関係にあるのでしょう。
いや「命そのもの」と言っても過言ではありません。
そのことを改めて肝に銘じて、限られた資源である時間をどのように使うか
…朝目覚めた時に少しでも考えてみることで、充実した一日になるかもしれ
ません。

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NO MORE 時間泥棒 1

時間には色も形もなく、空気や水のように流れ行く感覚はあるものの、実体
はありません。
それだけに有限であることを忘れて、つい浪費をしてしまいがち。

こう書くと、おしゃべりは時間の無駄だとか、他人とのつき合いは時間を盗
まれたのも同然だとストイックに考えているのではないかと思われそうです
が、そうではありません。
一見無駄に見えても、のんびりと趣味の腕時計を眺めて寛ぐ時間、愛車と共
に自身を解放するドライブの時間…こういう時間は仕事に費やす時間以上に
貴重な価値を感じることもしばしばだし、気の置けない友人や話がかみ合う
マジシャン仲間と飲んでいると、あっという間に深夜になることも珍しくは
ありません。
こういう時間の使い方はストレス発散にもなるし、新たなアイデアが生まれ
てくることもあるので、「つい時間を忘れるほど」有意義な時間を過ごしたこと
に満足します。

ところで映画館では、「NO MORE 映画泥棒」がお馴染みですが、現在の私の
モットーは「NO MORE 時間泥棒」として、以下のようなタイプとは距離を置く
ように心がけています。

・ 「羨ましがる人」

誰かが成功したり良い思いをすると、「〇〇ちゃんはいいよなあ〜、運がいいん
だよなあ〜」とか「もともと実家が金持ちなんだろうなあ〜」などと素直に喜び
を共有できないタイプ…つまり「嫉妬深い人」とも言えるでしょう。
世の中には不条理なことが多いので、気持ちは理解できないこともないので
すが、羨ましがったところでどうしようもないのに…。
このタイプと飲むと、一晩中暗い愚痴につき合わされるのでNO MORE。

・ 「甘え過ぎる人」

目上や立場が上の人と臆せずにつき合える性格の人は尊重しています。
実際にそんな後輩もいるし、若かりし自分もそんなタイプでした。
甘え上手であれば、「上の人々」から可愛がられたり認められたりすることで、
自力では垣間見ることもできない世界を知ることや、なかなか教えてもらえ
ない仕事上のノウハウも吸収できることは大きなメリットです。
しかし時の経過と共に、目に見えて図々しく甘えるようになり、いつしか
特別扱いされることが当然のような言動や振る舞いをする者も出てきます。
このタイプは自己愛が強く、さらに自己評価も異常に高くて手に負えない
のでNO MORE。

・ 「八方美人」

誰からの声かけでもホイホイとフットワークよく出向くタイプ…つき合い
が良いだけに便利で大事にしなければと思われがちですが、早い話がただ
の八方美人で、知り合いが多いことだけが取り柄で、他人のエピソード
トークを中心に情報屋としての会話に終始し、肝心の本人のポリシーや
哲学などは微塵も感じられない空虚なタイプです。
「あえて敵を作らず誰とでも愛想よくつき合う人は、本当の味方もいない」と
巷間云われますが、それを地で行くような人はNO MORE。

と、今回はここまでにしておきましょう。
次回が最も要注意なタイプです。

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時短生活と倍速消費

巷間、映画やドラマを早送りで観る、いわゆる時短視聴が物議を醸し出して
います。

かなり前に「我ら倍速世代」という記事を読んだ時に「へえ、そんな人達がいる
んだ」くらいの感覚だったのが、今や自分も録画した番組を倍速で観ることが
しばしば…最初は録画しておいたマラソン中継で、デッドヒートが繰り広げら
れる終盤までは倍速で割愛したのを記憶しています。
便利さを知った後は、情報番組や最近のマジック番組も…マジックに関しては
演目を確認するだけなら倍速で充分ですからね。

ただし、感動的な映画に代表されるエモーショナルな作品であれば、荘厳な
音楽やストーリー上で重要な「間」が割愛されて、作品の意図が正しく伝わら
ない恐れもあるし、およそ鑑賞とは程遠い、あらすじだけを紹介するファスト
映画のような違法行為が出てきたりする問題もあります。

倍速視聴は、制作者やアーティストへの冒涜ではないかという意見もあるよう
ですが、旬の作品という情報共有によって人間関係を維持しつつ、長い時間を
費やして内容がつまらなかった時の無駄を回避する、いわゆる時短生活を重視
傾向は止まらないと思います。
これは過剰情報社会という環境上の変化なので、「作品を鑑賞する」行為と情報
収集のための「コンテンツを消費する」ことを両立させるためには仕方がない
ことなのでしょうね。

映像だけではなく、市場に目を向ければ、10分でパスタを完成させる1台9役の
電気鍋や0秒チキンラーメンなど、倍速消費というタイムパフォーマンスの効率
化を目的とした商品が増え続けています。
マジックの世界では、時短修行で「なんちゃってプロ」が粗製乱造された挙句に、
荒波に放り出されて右往左往する傾向も散見されますが…。

何度も書いていますが、私自身も人生を砂時計の砂に例えて、限りある残りの
時間をいかに有意義に過ごすべきかと感傷に浸る時間も大切だとは思うの
ですが、今の時代はゆったりと感傷に浸る間もなく、生活の定型を崩しかね
ない大きなうねりと向き合うしかないのでしょうね。

時短生活でストレスを回避するつもりが、時短によって人間関係が希薄になる
ことがストレスの元凶になるとすれば本末転倒なわけですが、ストレスの最大
の原因は人間関係であることは論を俟たない以上、他人の時間を喰い潰すよう
なマイナス要因しかない人間とつき合うことは、健全な時短生活の潮流に最も
逆行することです。

次回は、距離を置くべき4つのタイプについて具体的に考察します。

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損得勘定の縮図

ここでは政治的なこと、特に政治信条などは書くつもりはないので、昨今の
世界情勢の客観的な考察を…。

米国のペロシ下院議長を始め、相次ぐ高官の台湾訪問が続いて米中の緊張
が高まっていますね。
米国が台湾支援を急ぐのは、ロシアのウクライナ侵攻によって、対中警戒が
一段と増していることが一因なのは明らかでしょう。

その間隙をついて「中立」の国家群の台頭が目立ちます。
つまり米中のどちらにもくみせず、国益に応じて(損得勘定で)組む相手を
変える国家群です。
世界は米欧日などの「西側陣営」と「中ロ陣営」の2極に「中立陣営」を加えた
3極体制に移ったということでしょう。
中立の主な顔ぶれはトルコやインド、南アフリカ、サウジアラビア、ブラジル等
近年国力を伸ばしてきた新興国が多いのですが、その行動基準は民主主義
の価値よりも自国にとって損か得かだけのように見えます。

特にトルコのエルドアン大統領の魑魅魍魎ぶりは突出していますよねえ…
「クルド人テロリストを匿っている」との理由でスウェーデンとフィンランドの
NATO加盟に難癖をつけるわ、自身はNATOのメンバーなのに対ロ制裁に加わ
らないわ、プーチン大統領と経済協力で合意したかと思えば裏ではウクライナ
に軍用ドローンを売るわ、国連と協力して黒海封鎖問題の解決に一役買うわ…
まるで自分が1つの「極」であるかのような振る舞いです。

インドのモディ首相もしたたかですねえ…
インドは中国軍の覇権的な行動を批判して「クアッド」の枠組みで米日豪と
結束しながらも、対ロ制裁には応じずに、ロシアとは友好関係を保とうと
しています。
制裁で輸出先を失ったロシアから安価に資源を輸入できることに加え、国境
で中国と紛争を抱えているために、ここでロシアまで敵に回すわけにはいか
ないからのようです。

中立国は西側と中ロを両天秤にかけて、双方から実利を引き出そうとしている
わけですが、西側としては各国の損得勘定を冷静に読み解いて、なんとしても
世界の秩序維持への支持を得なければならないと思うのですが、難しい状況
ですね。

スケールをうんと小さくすれば、我々の身近な人間関係も似たようなもので、
損得勘定の縮図であることに気づきます…
あいつの考え方や人間性は好きになれないけど、たまに得することもあるし、
このままの距離感でつき合っていこうかなあ…とか、どちらとも等距離を保ち
たいのに、「あいつと俺のどっちにつくんだ?」と二者択一を迫られたら困る
なあ…とか、あの情報を得るまでは揉み手でもしてヨイショを続けるか…とか。

本人は上手く立ち回って実利を得ることにご満悦かもしれませんが、せめて
トルコやインド並みのポリティカルパワーを持った上での振る舞いでないと、
陥穽にはまって、蝙蝠や風見鶏のような人間は、いずれ誰からも相手にされ
なくなるというのは容易に想像がつきます。

国際社会といえども業の深い人間の集合体であることを考えれば、損得勘定
で動いてしまうのは一つの真理なのでしょうね。

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