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2022年8月

転ばぬ先の杖

新型コロナウイルスの4回目の接種券が届いたことで、改めて還暦を迎えた
のだなあと実感。(接種券は60歳以上に届きます)

無症状であっても濃厚接触者であれば自宅待機となり、社会経済活動が麻痺
してしまう現状は理不尽だとは思います。
コロナ蔓延初期は社会全体がヒステリー気味で、罹患しようものなら非国民
扱いされることもありましたが、今となっては、いつ誰が罹患しても不思議
ではありません。

私自身はというと、まだ罹患はしていませんが、今年1月から8月末までの
8か月間で飛行機の搭乗回数71回、新幹線の乗車回数23回…これだけ動き
回っていれば、戦時下の荒涼とした地雷原で反復横跳びをしたりスキップ
しながら走り抜けているようなもの。
で、4回目の接種を済ませました。
感染そのものは防げないとしても、重症化は免れることができそうなので、
とりあえずは転ばぬ先の杖ということで…。

話題が逸れますが、移動が多くなると、日帰りかあるいは何泊するのかに
よって携行するキャリーバッグやトートバッグのサイズを変えたり、気分
を上げるためにデザインに凝ったりします。
そこで今回新たに購入したのが、フランクミュラーのTOTE BAG Medium
(選択したカラーはグレイ、友人はブラウン)…現在絶賛ヘビロテ中です。

閑話休題…

コロナが理由でマジックの仕事がキャンセルになったり、イベントの企画
自体が消えたり延期になることにはすっかり慣れてしまった感があります
が、年末に決まりかけていた大企業のパーティーの案件が消えた理由は、
なんとロシアによるウクライナ侵攻。
その企業はロシアからアルミニウム等を輸入しているのですが、国際社会
によるロシアへの経済制裁で輸入をストップせざる得なくなり、今後の
業績を考慮するとパーティーどころではなくなってしまったとのこと…
これはもう仕方ありませんね。
小規模なイベントや宴席は主催者のサジ加減というか裁量次第で決行され
ることもあるのですが、グローバルな企業ほど世界情勢に左右されるのだ
なあと、一人のマジシャンとして実感した次第。

リーマンショック、大震災、コロナ禍、戦争…その都度にエンタメは翻弄
され、悲哀を味わい、忸怩たる想いをしてきたからこそ、転ばぬ先の杖を
確保すべくマルチワーカーとして、ハイブリッドな生き方を選択して正解
だったというか…こんな時代だからこそ、それがしっかりと機能している
ことでホッとしているのが正直なところです。

自身をクルマに置き換えて、ガソリンでも電気でも水素でも走れるように
しておけば万全です。
保険に未加入でクルマを運転する人はいないでしょう…人生というクルマ
を運転しているとすれば、多くの特約を組み込んだ手厚い保険に加入する
ことが、転ばぬ先の杖として必須だと思います。
世界情勢が不安定になれば株価は下落しますが、有事の金(ゴールド)として
金価格は上昇するように、可能であれば、投資と同様に一部は逆張りを
しながら収入源のポートフォリオを組むべきです。

我々は災禍に遭う度に、あの時対策をしておけば…と後悔と反省はするの
ですが、喉元過ぎれば…を繰り返してしまいがち。
「起きて欲しくない」という願望が、いつの間にか「起きないだろう」という
楽観的な予測にすり替わってしまうことが一番恐ろしいことなのです。

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マジックと自己表現

以前「ファッションと自己表現」について書きましたが、今回は「マジックと自己
表現について書いてみましょう。

マジシャンは一般人と違って、それが職業であれ趣味であれ、総合力やセンス
の集大成として、最も自己表現を発露しやすい芸能を取り扱っているのだと
思います。
マジックの現象はもの凄いパワーを秘めています…それゆえハマった時には
絶賛されて、スベった時には地獄を見ます。
どんなにお金をかけて衣装に凝ったとしてもテーブルや道具が貧相だったり、
そもそも技術が未熟だったりすると、一気にバランスが崩れてしまいます。

裕福なアマチュアの押入れや倉庫には、衝動買いしたマジック道具が溢れて
います。
自身が何者なのか、そして向き不向きを理解していれば、それらのほとんど
は買わずに済んだのかもしれませんが、あらゆるものに手を出して、次々に
レパートリーを増やすことが自己表現だという考え方もあるし、純粋な道具
コレクターかもしれないし、何よりもこのような顧客がマジックショップの
経営を支えているわけだし…まあこれには正解がないのかもしれません。

「生まれ変わるならこの人になりたい」と思わせるほどの憧れのマジシャンが
いるとしたら、その憧れの人はきっと自らを俯瞰から見ることに長けていて
己が何者でどこが強みかをしっかりと理解し、それがどうすれば観客に伝わ
るかを徹底的に研究し尽くした上で、衣装、メイク、BGM、セリフ、手に
する素材を吟味して完成させたアクトで自己表現をしているはずだし、その
結果、間違いなく稼いでいるはずです。

そりゃあ、上辺だけをコピーしても敵うわけがないのです。
それはサイレントアクトだけではなく、爆笑を生み出すトークでも同様です。
他人のウケている演技に影響されると、本人には全く似つかわしくない毒舌
やブラックジョークを吐いて大火傷するのが関の山だし、そんなマジシャン
を現に何人も見てきました。

コピーする者は、憧れのマジシャンが何故そしてどうやってそこに辿り着い
たのかを理解していないどころか、自身が何者かも理解しないまま、他人の
演技や演出をリスペクトすることなく、あたかもレストランのメニューに
見立てて「今日は何を食べようかな、あれ美味しそうだな」程度にしか思って
いないのです。
そしてパクったギャグを連発しながらコピー道具を嬉々として演じます。

タチが悪いのは演出を盗むことです。
その優れた演出やセリフや使い方に憧れたからこそ、その道具をネットで
探してしまうのです。
その演技を見ていなかったら、興味も示さずに永遠に見過ごしていた道具
だったでしょうに。
そして先人が工夫したことも評価せず、その道具は元々そうやって使うもの
なのだと頭に刷り込まれているのです。

コピーと自己表現は決して繋がることはありません…なぜなら「自己」が欠落
しているからです。

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