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ファッションと自己表現 1

若い頃は金銭的な余裕も無く、当時の優先順位として、収入のほとんどは
マジックの道具やステージ衣装に費やしていました。
必然的に普段着には無頓着にならざる得ない状況でしたね。

生活に余裕が出てきた壮年〜中年期を迎える頃からの富裕層をターゲット
にしたスキミング戦略を練るにあたり、打ち合わせの場や会場入りする際
の普段着にも、いや普段着にこそ出費して、それなりの「身なり」をすること
の重要性に気づき始めました。

例えば、ステージ上で出現させる宝石や紙幣はダミーでも逃げきれますが、
プライベートで身に着けている宝飾品や腕時計がバッタ品だとバレたなら
ば、信用は一気に失墜します。

一般的に、服に限らず腕時計やバッグや靴、メイクを含めてファッション
は何らかの形でその人を表現する媒介になっています。
人を見かけで判断すべきではないとは言っても、世間では「身なり」である
程度値踏みされるのが現実です。
それなりに格付けされているホテルやレストランでは、案内される客室の
グレードや座席に位置に大きな影響を与えることもあります。

その中でも身体に寄り添ってほぼ一体となる服は、本人が意図するしない
に関係なく、その「人となり」を表現するものであると言っても過言ではない
でしょう。
ハンガーにかかっている時点では「服」でも着た途端に「身体の一部」に変化
します。
他人から無理やりに着せられたとしても、事情を知らない他人から見れば
その人のセンスの発露であると理解されます。
たとえ服装に無頓着だとしても、その無頓着なこと自体が自己表現となる
のです。

就活をしている学生を面接する企業側からすれば、エントリーシートから
の情報や本人から直接聞いたエピソード等の情報と合わせて、その学生の
外見が意味する、あるいは発信しているメッセージを読み取ろうとする
はずです。
学生が企業にアピールする情報は全て「私はこんな人です」という主張や
メッセージになります。
「いやいや自分では外見にそこまで深く意味を込めていません」と言った
ところで、相手は必ずそう取ります。
本当はそれが分かっているからこそ、金髪にして遊んでいた学生が就活
時期になると黒髪に戻してピアスも外すのです。
そして金太郎飴のごとく、リクルートスーツが売れまくるのです。

就職したい学生も仕事が欲しいマジシャンも同様で、どんな外見で勝負
するかは自由ですが、「その外見で、相手にどう思われたいか」を伝える
必要があります。
「伝えたいこと」が本人の思い通りに伝わる外見なら問題はないでしょう。
買い物をしていると店員に間違われて質問される人がいますが、本人が
意図せず店員に間違われるのは決して愉快なことではないでしょうが、
残念ながら他人からはそう見える「身なり」だったのです。

一部上場企業の社長が謝罪会見の場でギラギラのブランド時計を着けて
いたら、本心から謝罪しているようには見えないはずです。
近年では、度重なる交通違反や無免許運転で辞職した女性都議会議員が、
謝罪会見の場に真っ赤なニットを着て白いシャネルの腕時計を着けて
現れたこともバッシングされていました。
どんな場で何を身に纏うかで「人となり」を判断されるのです。

私の経験上、スキミング戦略を意図、あるいは重要視するマジシャンで
あるならば、身なりに注意を払うこと…フォーマルであれカジュアルで
あれ、まずは清潔感が絶対条件です。
見かけではなく、マジックさえ上手ければいつかは売れる、いつかは
稼げる…そう信じて生きるのはもちろん自由ですが、その自信満々の
マジックを最良の場所で見てもらう機会を得るためにも、「身なり」を
軽んじてはいけません。

次回2へ続く…


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