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マジシャンのプライド 3

前回からの続きです…

「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」と云われるように、プライドを捨て
なければ成長できない場面も多々あります。

また人生にはプライドとメリットが火花を散らす場面もあるのです…

大晦日の紅白歌合戦では、毎年同じ歌ばかり繰り返し歌う大御所の歌手が
いたものですが、本人は一発屋だと思われないように新曲を歌いたい旨を
打診しても、楽曲はNHK側からリクエスト(指定)されるのだという話を聞
いたことがあります。(その歌手の最大のヒット曲の場合がほとんどです)
その話が事実であれば、「それを歌わなければ出演する価値はない」と宣告
されているに等しいわけです。
持ち時間も短い上に楽曲を指定されるなど、プライドを傷つけられて忸怩
たる思いをしてまで出演するのは、引き換えに大きなメリットがあるから
に他なりません。
昔は演歌歌手が紅白に出れば、それを看板に翌年は全国ツアーができると
言われていたものです。

私は通常の営業出演では、事前情報をできるだけ集めて、客層やステージ
環境や持ち時間によって最適なショーを構成しているせいか、いちいち演目
を指定されることは滅多にありません。(コンプライアンスの関係上、動物や
ファイヤーマジックをNGとされることはありましたが…)
ただし、テレビ出演においては手順の短縮や演出を指定されることがある
ので、それはできる限り受け入れてきました。
それもこれも出演することに大きなメリットがあるからこそです。

一方で、メリットもない上に見返りも期待せずに了承したボランティア
出演の好意を踏みにじられたり、手順構成に口を挟まれて自尊心を傷つけ
られても黙っていたら、プライドのかけらもないことを自ら標榜している
ようなもので、それ以降も同様の扱いを受けても仕方ありません。
例えるならば…長年のボランティアの好意によって甘やかされて贅沢に
なってしまった難民は有り難みを忘れ、パンでは満足せずに平然と肉を
要求するようになります。
人のアイデンティティーを否定し、善意を雑に扱うような不届きな相手
とは直ちに距離を置くべきでしょう。
乱暴な言い方ですが…舐められたら終わりです。

プライドを持つというのは、改めて自分の価値を自分で確認するために
必要不可欠なものだと思います。

自分のことを誰よりも理解して大切に想ってくれる人は…「プライドを堅持
した自分」なのです。

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