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2022年5月

ASTON MARTIN DBX707 LAUNCH PARTY

2月に発表されたアストンマーティンSUVのフラッグシップとなるDBX707が
ついに日本上陸。

最新のPVは…コチラ

5月29日、ヒルトン福岡シーホークの大宴会場アルゴスにおいてお披露目の
パーティーが開催されたので、前日の28日から一泊二日でうちにマジック
の勉強に来ていた若きイリュージョニスト田中大貴を伴って参加しました。
招待されたVIP GUESTは約100名。
スモークと照明が織りなす幻想的な雰囲気の中でDBX707が姿を現わすと
皆さん一斉にスマホでの撮影会が始まりました。

さて今回登場したDBX707は、鮮やかなプラズマブルーの車体に23インチの
ホイールと3割近く拡大されたグリルのせいか、車体サイズは現行DBXと同じ
はずなのに若干大きく感じました。
それだけ押し出しが強いということなのでしょうが、実は価格も押し出し
が強くて、本体車両価格は3,119万円!
オプション込みの乗り出し価格は3,500〜4,000万円程度になるのでは。

最速、最強、最良のハンドリングを標榜するDBX707は、静止状態から
時速100kmに到達するまでの0-100km/hはたったの3.3秒、最高速度は
310kmと、現時点では間違いなくこのセグメントにおける王者でしょう。
今後の競合車との頂上決戦が見ものです…コチラ
夏には試乗車の準備ができるとのことなので、機会があれば自分のDBXと
乗り比べをしてみたいと思います。

それと、会場で振る舞われた鮮やかなブルーのカクテルは、今回の車体の
カラーに合わせたオリジナルカクテルなのだとか…。
先日フランクミュラーから届いた封書に貼ってあった切手が、定番モデル
のロングアイランドのデザインのオリジナル切手だったことにも驚いたの
ですが、やはりハイブランドはこういう細かい演出が粋だなと思ったし、
マジシャンとしても、改めてスキミング戦略におけるブランディングの
重要性を感じた次第です。

ところで大宴会場アルゴスは、約30年前のホテルの完成当時から幾度と
なくマジックを演じてきた故郷のような場所です。
あの当時、道具と一緒に搬入口からばかり会場入りしていたせいなのか、
招待客として正面玄関から入るのは多少の違和感を感じました。
搬入口から会場入りするとホッとして、正面玄関からだと違和感を感じる
なんて…もはや職業病ですね。

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プロ・アマの区別って?

毎年年末には「プロ野球戦力外通告」という番組が放送されて、そこでは
家族の人生をも巻き込んだ悲喜こもごものドラマが展開されます。

プロ野球選手のおよそ8割は主体的に引退を決めるのではなく、所属する
球団に解雇され、他に契約してくれるチームも見つからず、結果的に引退
を迫られています。
日本においてプロ野球選手を名乗るには、12球団のどこかと契約して所属
しなければなりません。
つまり「自称プロ野球選手」は存在しないわけです。
資格が必要な職業であれば、無資格で「自称◯◯」として対価を受け取って
業務を行えば、法に抵触する可能性があるし、悪質な場合には逮捕される
こともあります。

翻ってマジシャンの場合、どこかの事務所に所属する義務やライセンスも
必要ないからか、いつの間にかプロ活動を始めていつの間にか消えていく
人も多く(業界への参入と退出が容易)、かなりお手軽で他の業界のプロとは
覚悟と悲壮感が違う、つまりプロ意識のレベルが違い過ぎると言っても
過言ではないでしょう。

一般人の中には、プロマジシャンになるには幾多のハードルがあり、選ば
れし者だけが狭き門を通るに違いないと信じて疑わない人が少なくありま
せん。(いつでも誰でもなれるのに…ああ、心苦しい)
以下のような質問をされたマジシャンも多いことでしょう…
「やはり手が器用でないとプロにはなれないんでしょ?」
「誰かに弟子入りするんですか?」
「専門学校があるのですか?」
「免許が必要なんですか?」
「タネや仕掛けは自分で考えるのですか?」
「特許があるのですか?」
…プロを名乗るのにあたってそんなものが必要ないからこそ、飲食店界隈
や路上で自称プロが増え続けるのです。

若手の頃はそもそも的な質問や失礼な質問もありました…
「マジシャンて食えるの?」
「昨夜テレビでやってたマジックのタネわかる? あんたできる?」
…マジシャンあるあるではないでしょうか。

過去にもマジシャンが「プロ・アマ論」を語りながら、その時々の自分の
立ち位置に都合の良い定義をする傾向がありました。
「出演ギャラ以外にマジックと関係ない収入を得ていればセミプロだ!」と
断言しておきながら、仕事がなくなると節操もなくネタ販売やレクチャー
に奔走しても、「これはプロの仕事だからセーフ」…とかね。
アルバイトで食いつないでいるお笑い芸人が職業を問われた際に「お笑い
芸人やってます」という返答を違和感なく受け入れているのに、なぜに
マジシャンだけが「専業プロ」の定義に拘るのでしょうか?

マジックバーのマスターってどんな立場なのでしょうか?
プロとしての営業出演には興味がなく、最初から飲食店をやることが夢
だったという人もいるでしょう…とはいえ、オファーがあれば店を閉めて
までオイシイ営業出演を優先する人も多いようですが…。
営業プロとしての仕事だけで生活が成り立つほどの出演オファーがない
ことを見越して飲食店を始めた事例(おそらくこれが最多でしょう)と、
飲食店を始めた自称アマが店でマジックを見せる事例…これらのどこに
違いがあるのでしょうか?
役所から営業許可証を交付された上で、確定申告等の書類上の職業も
社会的な認識も「飲食店経営者」ではないでしょうか?
対外的に標榜するプロかアマかは、結局は自己申告に過ぎないのですよ。

近年の私はあえてマルチワーカーを標榜していることもあって、もはや
プロだのアマだの、ましてやセミプロだのパートタイムプロだのと区別
するのは無意味ではないかとさえ思うようになりました。
お気軽に演じて自身が楽しむのがアマで、職業として真摯に向き合って
対価を得るのがプロという理想的な区別も現状では意味をなさないと
思います。
純粋にマジックを愛してやまない真摯なアマもいれば、マジック業界の
ステータスを貶めるだけのプライドのかけらもないプロもいますからね。

紅白出場クラスの歌手が、高級クラブのVIPルームのカラオケで、完全な
プライベートで熱唱しているのを何度も見かけたこともありますし…
もっとフレキシブルに考えて、一人の「マジシャンを名乗る者」が「対価を
得て演じる時はプロ」、「趣味で演じている時はアマ」でいいのかもしれま
せんよ。

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マジシャンのプライド 3

前回からの続きです…

「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」と云われるように、プライドを捨て
なければ成長できない場面も多々あります。

また人生にはプライドとメリットが火花を散らす場面もあるのです…

大晦日の紅白歌合戦では、毎年同じ歌ばかり繰り返し歌う大御所の歌手が
いたものですが、本人は一発屋だと思われないように新曲を歌いたい旨を
打診しても、楽曲はNHK側からリクエスト(指定)されるのだという話を聞
いたことがあります。(その歌手の最大のヒット曲の場合がほとんどです)
その話が事実であれば、「それを歌わなければ出演する価値はない」と宣告
されているに等しいわけです。
持ち時間も短い上に楽曲を指定されるなど、プライドを傷つけられて忸怩
たる思いをしてまで出演するのは、引き換えに大きなメリットがあるから
に他なりません。
昔は演歌歌手が紅白に出れば、それを看板に翌年は全国ツアーができると
言われていたものです。

私は通常の営業出演では、事前情報をできるだけ集めて、客層やステージ
環境や持ち時間によって最適なショーを構成しているせいか、いちいち演目
を指定されることは滅多にありません。(コンプライアンスの関係上、動物や
ファイヤーマジックをNGとされることはありましたが…)
ただし、テレビ出演においては手順の短縮や演出を指定されることがある
ので、それはできる限り受け入れてきました。
それもこれも出演することに大きなメリットがあるからこそです。

一方で、メリットもない上に見返りも期待せずに了承したボランティア
出演の好意を踏みにじられたり、手順構成に口を挟まれて自尊心を傷つけ
られても黙っていたら、プライドのかけらもないことを自ら標榜している
ようなもので、それ以降も同様の扱いを受けても仕方ありません。
例えるならば…長年のボランティアの好意によって甘やかされて贅沢に
なってしまった難民は有り難みを忘れ、パンでは満足せずに平然と肉を
要求するようになります。
人のアイデンティティーを否定し、善意を雑に扱うような不届きな相手
とは直ちに距離を置くべきでしょう。
乱暴な言い方ですが…舐められたら終わりです。

プライドを持つというのは、改めて自分の価値を自分で確認するために
必要不可欠なものだと思います。

自分のことを誰よりも理解して大切に想ってくれる人は…「プライドを堅持
した自分」なのです。

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マジシャンのプライド 2

前回からの続きです…

一流ホテルや劇場で演じてこそ映えるアクトを持っているとして、決して
ステータスが高いとは言い難い屋外のお祭りの舞台で、そのアクト指定の
オファーがあったとしたら、プライドのあるマジシャンとして受諾すべき
でしょうか?
角度や広さ等の物理的な問題やギャラなどの条件はクリアできているもの
として…そのような場所でやるのかやらないのかだけの問題としてです。
(シャンデリアの下か、盆提灯の下か…)

プライドが赦さず、一流の場所でしかやりたくない人は断るでしょうし、
逆にどんな場所でもやることがプライドだという人もいるでしょう。
またプライドなんて関係なく、ギャラさえ貰えばいつでも何処でもOKと
という現実的な人もいるでしょう。
明確な正解はないかもしれないし、どちらも正解かもしれません。
ただ私個人としては、チャニング・ポロックやシルバンが盆提灯の下に
立っている姿など想像したくはありません。

若い頃、あるパーティーの二次会に顔だけでも出して欲しいと言われて
行ったところ、拍手で迎えられてマジックをやらざる得ない空気が作られ
ていたことがありました…罠です。
期待して拍手した人達には罪はないので、不愉快さを隠して少しだけ演じ
ましたが、若い頃だから耐えられたものの、ある程度の年齢やそれなりの
立場になって嵌められるとしたら、プライドの傷つき方も深くなります。
このようなシチュエーションでパフォーマンスをやるのもやらないのも、
「プライドが赦さないから」で通用するでしょう。
これも正解はないかもしれないし、どちらも正解かもしれません。

ところで、昔から私が「不正解」だと感じている事象があります。
一部のプロですが、プロとしてのプライドを放棄して、資金力のあるアマ
にべったりと甘えている(飼い慣らされている)事象。
そのアマを本心ではパフォーマーとしては少しもリスペクトしていないの
に、その財布目当てでちやほやしておだてるプロがいるからこそ、アマが
プロを束ねて主導権を握るような事象が起こるのです。
そのアマがお金持ちではなく資金提供しなくても付き合っているのか?…
金の切れ目が縁の切れ目のような付き合い方をするプロは昔から存在して
います。

「最近のアマはプロを舐めている」と愚痴をこぼすプロがいますが、自分達が
そのようなアマを作り上げてきたのです。
資産家のアマにネタを買ってもらったり、レクチャーに呼ばれて宴席で
接待されて有難がっていれば、舐められて当然です。

かつて地方の温泉場で開催されるコンベンションの宴会では、アマチュア
マジッククラブの会長連中がプロを呼び捨てにして、プロ達がペコペコ
しながらビールを注いで回る醜悪な光景が繰り広げられていたものです。
若い頃、このような光景を見た私は「こりゃダメだ、バカバカしい」と自室
に戻って部屋飲みをしていました。
大御所や先輩プロのそんな姿を見た若手が、アマに頭が上がらなくなる
のは当然の帰結でしょう。

全てはプロのプライドの無さが生み出す事象なのです。

次回3に続く…


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マジシャンのプライド 1

マジシャンにとっての「プライド」…それは個々のマジシャンの生き様の中
で醸成されていくものだと思います。
プライドは自身の格付けとも言えるでしょう。

俳優業界の格付けは、映画のエンドロールを見ればよく分かります。
主演、準主演、脇役、エキストラ、最後に大御所という順番が一般的です
ので、各俳優が持つプライドと順番は、ほぼ一致していることでしょう。
今は脇役の俳優でも、いつかは主役や大御所のポジションを目指すモチベ
ーションになるはずです。
現に昔の映画を観た際に、あの大物がこんなちょい役で出ていたのかと
気づくこともあります。(本人にとっては黒歴史かもしれませんが)

複数のマジシャンが出演するポスターやフライヤーを目にした時、写真や
名前の大きさや配置によって、そのマジシャンのポジションや主催者から
の扱われ方が窺い知れるし、誰が校閲をしたのか…主催のマジシャンによ
る差配であれば、その思惑が透けて見えることもあります。
若い頃はプライドなど持つべくもなく、出演する機会があるだけでも嬉し
くて、写真の大きさや出演順やギャラなどは気にならないでしょう。

それが善いか悪いかは別として、私は昔から序列や楽屋の位置や広さまで
気にする方でした。
営業出演の際の控室に固有名詞ではなく、十把一絡げのごとく「余興控室」と
書かれていると(自分の名前は余興じゃねえぞと)モヤモヤしていました。
そしてそれらの感情は、間違いなくマジシャンとしてのステータスをわず
かですが上げるためのモチベーションになっていたし、そのためには見栄
やハッタリも必要な場面があることも体験しました。

プライドの発露として「見栄を張る」ことと「ステータスを示す」ことの意味を
混同されることがあるので確認しておくと、見栄を張ることは「身の丈以上
のものを他人にアピールすること」で、ステータスを示すことは「本来の地位
を見せること」です。

様々な先輩方を反面教師として、プライドが高すぎるのも低すぎるのも
問題であることも学びました。
招待するために私が送ったエコノミーの航空券がお気に召さずに「なんで
ファーストクラスじゃないんだ!」と憤怒の電話をかけてきた大御所もい
れば、手渡された新幹線のグリーン車のチケットを密かに払い戻しして
自由席に変更し、差額をポケットに入れていたセコい先輩もいましたね。
そもそも論を言わせてもらえば、他人に金を使わせてアップグレードを
要求するのではなく「自腹でファーストクラスやグリーン車に乗る人」が本当
の勝ち組だと思うのですが…。

さらにみっともないエピソードとしては…
地方の講習会で頂戴したお土産を次の地方の講習会の主催者に、さも自分
がお土産として買って来たように手渡してバレてしまったマジシャン…。
悲惨な現場でパフォーマンスをしてきたことを武勇伝の如く若手の前で語
る底辺自慢をするマジシャン…。
調子に乗って師匠ホッピングを繰り返し、信用を失うマジシャン…。
若手でもないのに終電を逃すとタクシー代をせびるマジシャン…。

まあ色んな人がいるものですが、「ケチ」と「臆病」という病は一生治りません
からね。

次回2へ続く…


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