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マジシャンのプライド 1

マジシャンにとっての「プライド」…それは個々のマジシャンの生き様の中
で醸成されていくものだと思います。
プライドは自身の格付けとも言えるでしょう。

俳優業界の格付けは、映画のエンドロールを見ればよく分かります。
主演、準主演、脇役、エキストラ、最後に大御所という順番が一般的です
ので、各俳優が持つプライドと順番は、ほぼ一致していることでしょう。
今は脇役の俳優でも、いつかは主役や大御所のポジションを目指すモチベ
ーションになるはずです。
現に昔の映画を観た際に、あの大物がこんなちょい役で出ていたのかと
気づくこともあります。(本人にとっては黒歴史かもしれませんが)

複数のマジシャンが出演するポスターやフライヤーを目にした時、写真や
名前の大きさや配置によって、そのマジシャンのポジションや主催者から
の扱われ方が窺い知れるし、誰が校閲をしたのか…主催のマジシャンによ
る差配であれば、その思惑が透けて見えることもあります。
若い頃はプライドなど持つべくもなく、出演する機会があるだけでも嬉し
くて、写真の大きさや出演順やギャラなどは気にならないでしょう。

それが善いか悪いかは別として、私は昔から序列や楽屋の位置や広さまで
気にする方でした。
営業出演の際の控室に固有名詞ではなく、十把一絡げのごとく「余興控室」と
書かれていると(自分の名前は余興じゃねえぞと)モヤモヤしていました。
そしてそれらの感情は、間違いなくマジシャンとしてのステータスをわず
かですが上げるためのモチベーションになっていたし、そのためには見栄
やハッタリも必要な場面があることも体験しました。

プライドの発露として「見栄を張る」ことと「ステータスを示す」ことの意味を
混同されることがあるので確認しておくと、見栄を張ることは「身の丈以上
のものを他人にアピールすること」で、ステータスを示すことは「本来の地位
を見せること」です。

様々な先輩方を反面教師として、プライドが高すぎるのも低すぎるのも
問題であることも学びました。
招待するために私が送ったエコノミーの航空券がお気に召さずに「なんで
ファーストクラスじゃないんだ!」と憤怒の電話をかけてきた大御所もい
れば、手渡された新幹線のグリーン車のチケットを密かに払い戻しして
自由席に変更し、差額をポケットに入れていたセコい先輩もいましたね。
そもそも論を言わせてもらえば、他人に金を使わせてアップグレードを
要求するのではなく「自腹でファーストクラスやグリーン車に乗る人」が本当
の勝ち組だと思うのですが…。

さらにみっともないエピソードとしては…
地方の講習会で頂戴したお土産を次の地方の講習会の主催者に、さも自分
がお土産として買って来たように手渡してバレてしまったマジシャン…。
悲惨な現場でパフォーマンスをしてきたことを武勇伝の如く若手の前で語
る底辺自慢をするマジシャン…。
調子に乗って師匠ホッピングを繰り返し、信用を失うマジシャン…。
若手でもないのに終電を逃すとタクシー代をせびるマジシャン…。

まあ色んな人がいるものですが、「ケチ」と「臆病」という病は一生治りません
からね。

次回2へ続く…


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