ナイトメア・アリー
「悪魔の証明」とは新約聖書の一節、サタンがイエスを試した挿話から来て
いると云われますが「事実や事象が起きていないことを証明するのは不可能
に等しい」という意味で用いられています。
我々マジシャンに関係あることでは「超能力者はいない」と証明するため
には、それこそ世界中の自称超能力者とマジシャンが相対して、その現象
がトリックであることを暴露し続けていかなければなりません。
以前アメイジング・ランディというマジシャンが、超能力バスターとして
対決を続けていましたね。
メンタルマジックを演じているうちに、演出が高じて、超能力者然として
振る舞う人も決して珍しくはありません。(九州の片田舎の喫茶店が有名)
堂々とマジックですと宣言して演じればいいものを、それには飽き足らず、
本物の超能力者ではないかと勘違いされることに全能感を得て、引き返え
せなくなるのでしょうね。
この事象をそのまま映画化したのが「ナイトメア・アリー」です。
見世物小屋からスタートして透視術を演じていたマジシャンが、霊能者と
して振る舞うという「禁じ手」を使って富裕層を信じ込ませ、高額ギャラを
巻き上げて引き返せなくなる…。
「因果応報」あるいは「末路」というタイトルに変更しても違和感がないほど
のエグい映画なのですが、マジシャンならば必見だと思うので、上映中に
ぜひどうぞ。
観終わった後、何か既視感があったのですが…1986年製作のホラー映画
「ザ・フライ」を思い出しました。
まあ超能力の「悪魔の証明」ならエンタメの範疇で済むのですが、ウクライナ
国民の虐殺をロシア政府はフェイクニュースだと断じています。
事実は一つですが真実は人の数ほどあるわけで、「ウクライナをナチスから
解放する」という、ありもしないプーチンの真実が幅をきかす戦争はあま
りにも理不尽過ぎて、やりきれない思いでいっぱいになります。
コロナ、戦争、地震…生きている間には様々なことが起こりますが、日常
に多少の不平や不満があったとしても、日本に産まれただけで「勝ち組」の
ような気がします。
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