アンチの本質 1
「アンチ」とは、「反〜」「対〜」「抗〜」を意味するヨーロッパ諸語の接頭辞
ですが、身近なところではアンチエイジング、つまり抗老化という意味で
使われたりします。
アンチエイジングはともかく、どちらかというと「アンチ」はネガティブな
イメージで使われていることは否めません。
大きな権力や勢力に対するレジスタンス的な使い方もされてきました。
例えば、プロ野球で巨人が圧倒的に強かった時代のアンチ巨人とか。
しかし同じ土俵で競うスポーツにおいては、贔屓のチームの応援の裏返し
という意味もあるので、比較的ポジティブな使い方とも言えるでしょう。
巷間耳にするアンチは、無責任で一方的な否定が多い気がします。
大体アンチの勢力が出現する時点で、その対象はメジャーである証拠だし、
それは有名税のようなもので、好きな芸能人と嫌いな芸能人のランキング
上位に同一人物が入っていることも珍しくありません。
そもそも万人に好かれようとする時点で無理があるし、アンチがいないと
熱狂的なファンもいないものです。
アンチにとっての対象が何を発信しているかが気になって、ついSNSを覗い
てしまうこともあるでしょう…つまり無視できない存在でもあるのです。
私のマジック人生の中で目撃した最も熾烈なアンチの嵐は、平成の幕開け
と同時に日本中を席巻したMr.マリック超魔術ブーム…久しぶりのスターの
誕生にマジック界がこぞって応援してくれるのかと思いきや、嫉妬の悪魔
に取り憑かれた連中がまさに「アンチマリック」となって、秘密を週刊誌に
暴露したり、あんなの俺にもできるとばかりに類似番組に出演したり…。
そのくせちゃっかりとブームにだけは乗っかってお金儲けに勤しんでいま
したねえ…なんだかんだ言っても「またブームが来ないかなあ」と他力本願
なマジシャンが多いと感じます。
またマジシャンの中にはタネや仕掛けに頼らずに、技術だけで演じること
に酔いしれる「アンチギミック」のスライハンドマジシャンも若手を中心に
見受けられます。
シェルコインはもちろんエキストラカードすら邪道だとするストイックな
美学に拘るタイプですね。
私も若かりし頃はクソマニアで、一組のカードと4枚のハーフダラーだけを
使うことに拘り、トリックデックやギミックコインを使う(頼る?)マジシャン
を見下していた時期もありました。
アマチュアであれば自己満足なので問題はありませんが、プロの立場では
一般客にそこを強調してもほとんど意味がないでしょう。
せいぜいカードとコインを客に調べさせて仕掛けがないことを納得させて、
どうだ!と胸を張られても、ちょっとねえ…。
ある程度の現象は網羅できても、優れたトリックデックやギミックコイン
が起こす強烈な現象は再現できないのです。
アンチギミックという拘りが収入にプラスに働くとは思えないし、プロと
して稼ぐためには、手段を選ばずにあるものは使わないと損なのです。
私が若手の頃、まさにアンチギミックやスライハンドの職人的な先輩方も
おられましたが、失礼を承知で言わせてもらえば、総じて暮らしぶりは
楽なようには見えませんでした。
アンチギミックやスライハンドマジシャンがどんどん稼いで、豪邸でも建
てて若手に夢を見せつけてくれれば説得力もあるのでしょうが…。
プロがまず掲げるべきは自らの「アンチ貧困」です…その先にマジシャン
大好物の「感動や笑顔」を語る余裕と説得力があるのだと思います。
次回2へ続く…
| 固定リンク
「マジック」カテゴリの記事
- 相応しい現場を選ぶ(2024.11.16)
- 都内でショー(2024.10.04)
- 舐められるんだよなあ(2024.08.30)
- 持ち家派? 賃貸派? 3(2024.06.01)
- 持ち家派? 賃貸派? 2(2024.05.23)
最近のコメント