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2021年10月

007 ノー・タイム・トゥ・ダイ

ようやく観ました…シリーズ25作目、ダニエル・クレイグ版5作目にして遂に
ラスト作ですね。
今更ネタバレになるようなレビューを書くことはしませんが…とにかく長い
作品です。(2時間43分)
クレイグの有終の美を盛大に祝おうと、普通なら割愛できそうな場面に未練
を感じて、欲張り過ぎてしまったような気もします。
加齢と共に頻尿気味になる中高年は、上映直前にトイレへ行くことが必須。
私は用心のために、映画館ではいつも通路側の席を確保するように心がけて
おります。

さてストーリーは過去4作との連続性があるところが、それ以前の一話完結
の作品とは大きく異なります。
個人的にはストーリーよりも、これが最後かというクレイグボンドの喪失感
で、しばらくは脱力気味でした。
最初にボンド役に抜擢された時は、青い目のボンドは原作とは違うとの批判
があったり色男が当たり前のこれまでのボンド役と違って、感情のない冷徹
な軍人のような雰囲気に違和感がありましたが、回を重ねる度に役が堂に
入って、今や引退を惜しむ声は大きくなるばかり。
私もショーン・コネリーを超えるボンド役はいないと思っていたのに、今は
圧倒的にクレイグの支持者であります。
やはり立場が人を変える好例とも言えるのではないかと…頼りなさげだった
総理大臣が、いつの間にか大宰相の風格を漂わせることもありますからね。
まあとにかくダニエル・クレイグ版の中でも最も納得できるというか、彼と
寄り添える作品ですね。
そこには力強さや、想像できないほどのエモーショナルな結末が待っていま
した。

さて007といえば、ボンドカーのアストンマーティンによるカーチェイスが
見どころの一つです。
先日地上波で放送された「スペクター」では敵役ジャガーとのカーチェイスの
シーンが大幅にカットされていてがっかりしました。(番組のスポンサーである
自動車メーカーに忖度したのでしょうか)
今回は新旧合わせて4台のアストンマーティンが登場しました。
実際に販売されているのはフラッグシップであるDBSスーパーレッジェーラ
のみですが、やはり往年の名車DB5がマシンガンを派手に撃ちまくるシーン
はワクワクしますねえ。

また今回敵役で登場したランドローバー・ディフェンダーのカッコよさと
いったら…3台のディフェンダーが森の中からジャンプして現れるシーンには
痺れました。
これらの新型ディフェンダーは撮影用に10台用意されたそうなのですが、
ギリギリで完成したらしく、車体のシリアルナンバーは1〜10とのこと。
つまり一般販売を目的に作られた最初の10台は、映画用になったというわけ
ですね。
顔もちょいワルで、クロスカントリー車としての堅牢性も抜群なので、売れ
行きも好調のようです。

さてもう一つ、007で忘れてはならないのが腕時計です。
お馴染みのオメガで、今回は…シーマスターダイバー300M 007エディション
ジェームス・ボンドとのコラボ時計は毎回売り切れ必至なのですが、私は
オメガの時計を所有したことはありません。
世界を股にかける諜報員が着用するだけあって、オメガは無骨さや堅牢さの
イメージをウリにしており、どちらかというと煌びやか系が好みの私の琴線
には触れないんですよねえ。
しかしコスパも良くて嫌味を感じさせずに、実用性を優先するのであれば、
欠点のない時計でしょうね。

時計といえば、後輩マジシャンのトーマが思い切った時計を購入しました。
それは世界三大雲上ブランドの一つ…オーデマピゲ CODE 11.59

本人曰く、「清水の舞台から…ってのを体感しました」とのこと。
私は昨年の誕生日に、ロイヤルオーク・クロノグラフの限定モデルを運良く
入手しましたが、今やあらゆるモデルが購入実績がない新規客には入手困難
な状況なのに、彼はタイミングと運が良かったのでしょうね。
この半年間に、ロレックスのデイトナに続いて2本目の購入とは…頑張ってる
なあ。

ただ腕時計地獄の沼はマジック地獄の沼とよく似ていて、私独自の感覚では
「底が丸見えの底無し沼」なので、くれぐれもお気を確かに!
まさに…ノー・タイム・トゥ・ダイ!

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諦めるという美学

一般的に「諦める」ことはネガティブなことだと捉われがちです。
おそらく幼少期から「諦めるな」と鼓舞されて育てられた人ほど、そう感じる
のかも知れません。
私自身もどちらかというとそのように教育された方ですが、親の意に反して
多くのことを諦めてきました。

そもそも子供の頃は「夢を諦めるな」と励まされ、大人になってからは「いい歳
して、そんな夢諦めろ」と貶されるのですから、人のアドバイスなんて無責任
なものなのですよ。
まあ「夢」という曖昧模糊としたものが対象であるなら仕方がありませんが…。

私は諦めることは決して悪いことではないと確信しています。
「名誉ある撤退」と言い換えてもいいでしょう。
ただ諦める瞬間にちょっとした無念を噛み締める場合があるけれど…それは
単なる判断の結果に過ぎないのですから。
「大失敗」というのは、往々にして諦めなかったことが原因です。
ここで重要なのは「目標」を諦めるのではなく、目標に近づくための「手段」や
「方法」を諦めるという意味です。
「現実的な目標」のために「非現実的な夢」を諦めなければならないこともある
でしょう。
私自身、多くのものを諦めながら(削ぎ落としながら)、最終的には大きな果実を
手にしてきた自負心はあるし、「冷静になって諦める」という経験は、抽象的かつ
客観的な思考を育むことに繋がるはずです。

マジシャンとしての生き様を例にすれば、人によっては孤高の営業プロと
して圧倒的に稼ぐために、マジシャン仲間と徒党を組んだりマニアが集う
世界でちやほやされることを諦める(距離を置く)というのもあるでしょう。

マジックの手順を考える際に、最初は実現不可能な理想像を描いてスタート
すれば、その理想の手順に到達するためには、近道だと思った「ルート」や
「方法」を諦めなければならない場面に何度も遭遇するはずです。
その体験が無い人は、おそらく既製の売りネタを羅列しただけで、諦める
というのは商品が高くて手が出なかった時にしか感じないでしょう。

マジックの「手順」というものを履き違えてる人がいますが、ボーリング球
を出して、3本リングを演じて、テーブルを浮かすことは手順ではなくて
商品紹介ですから、諦めるという場面はほとんど無いはずです。
中国製のコピー道具が壊れたって?…自業自得だからさっさと諦めなさい!

若いうちに色々な手順を作って取捨選択をするセンスを磨き、何度も繰り
返し忸怩たる思いをすることが、将来の果実を手にする近道です。

マジックの手順を作ることは「諦め」の学びであると同時に、学びによって
辿り着いた諦めは、紛れも無い「美学」なのです。


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秋の夜長に…

とりあえずは緊急事態宣言が解除されたことで、私も日常を取り戻すべく、
そろりと少人数での会食は再開しています。
つい先日は六本木で、ごくプライベートなディナーの場でのクロースアップ
ショーを行いました。

2年前の今頃は、新作の秋冬物を着込んで颯爽と夜のクラブ活動に出かけて
いたことを思うと隔世の感があります。
春夏物の服は終わりを告げる季節…クローゼットを開いて全体を眺めると、
今シーズンも一部の服しか出し入れしていないことに気づきます。
コロナ禍では、夜の街に繰り出す機会やステージに立つことがなくなった
せいで、服そのものをあまり買わなかったし、特に派手めの服の活躍は皆無
の状態。
しかしこれだけ間が空くと、あれだけ平気だった大きな柄の服には抵抗感が
出てくるものですねえ。
数年前にLOVELESSで購入した白地に黒のハイビスカス柄のジャケットなど、
よくこれを着ようと思ったものだなと、我ながら驚いてしまいます。
気持ち的にも、大きな柄物や極端なカラーの物は「着負け」すると言うのか、
長引く自粛期間に心理的にも萎縮してしまったのかなと…ずっと精進料理
ばかり食べていたところに、いきなり脂っこい物を食べるような感覚です
かね。
収納の原則では、長くても2シーズン着なかったら潔く処分すべしと云われ
ています。
これまでは次々と後輩マジシャン達に譲っていたのですが、今回はコロナに
伴う特例措置として保留するべきか悩みます。

さて、割と近しくて理系の教養も備えた人が、コロナワクチンの陰謀論を唱
えて、ワクチン接種を否定する論陣を張ることにはちょっと驚いたと同時に
残念に感じたわけですが、くれぐれもご自愛くださいとしか言いようがあり
ませんね。
でもまあ、談論風発して行動にも筋を通しているのであればまだマシな方で、
矛盾だらけで都合の良い発信をしている人も散見されますからね…コロナは
ただの風邪で寝てれば治ると主張しておきながら、ちゃっかりワクチン接種
していたり(結局ビビってんじゃん)、コロナ禍でもマジックイベント開催は
OK主義なのに、オリパラ開催したのはけしからんとかね。(その根拠は?)

最近も高校の同窓生2人の訃報が届きました。
コロナに起因するものではなく、心不全と膵臓癌だったとか…ご冥福をお祈
りします。
世代的にはとっくに人生の折り返し地点を過ぎているので、やり残したこと
はないのか、欲望に正直に生きているか、できない理由を作って逃げていな
いか、他人に嫉妬するようなカッコ悪い生き方をしていないか…自身に問い
かける日々です。

明るい話題も少なくややもすると気分も萎える昨今、トートバッグに続いて
フランク・ミュラーからウォレットとコインケースが限定でリリースされた
ので、少しは物欲を満たして気分転換しようと早速ゲットしました。
ライフスタイルブランド「FARO」とのコラボで、アイコンであるビザン数字が
爽やかなブルーの牛皮全体に型押しされて、取り出す度に気分が上がります。

予定よりも早めにDBXが納車されました。
5年間の思い出を回想しながら、別れるキャデラックには自ら丁寧に最後の
洗車を施しました。
全くの偶然ですが、コロナの影響で世界公開がずっと延期になっていた映画
「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」の封切りと同時の納車に運命を感じます。
(どんな運命じゃ)
まだ封切られたばかりで混んでると思うので、落ち着いたらこの車に乗って
観に行くつもりです。
納車日は絶好のドライブ日和で、ショールームではシャンパン(もちろんノン
アルコール)を開けて、セレモニーをやって頂きました。
来月にはアストンマーティンオーナーが集ってのツーリングイベントが開催
されるので、参加する予定です。
久しぶりにカッコつけた服に身を包み、初の高速道路でボンドカーの本来の
ポテンシャルを体感するのが今から楽しみです。

秋の夜長は色んなことを企んでしまいます…。

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