できない理由
恥ずかしながら若い頃から「できない理由」を言い訳にしてきました。
中高生の頃、ビリヤードボール(ミカメ製45ミリ径と55ミリ径)をちょっと
練習して挫折すると、できない理由として「手が小さいから…」、「指が短い
から…」とすぐに口にしていましたね。
1979年の高校2年生の夏、若かりしマリックさん(当時30歳)のビリヤード
ボールの演技を目の当たりにしました。
決して大きな手ではないマリックさんの目の覚めるような八ッ玉の演技に
衝撃を受けて、手の大きさのせいにしていた自分を恥じました。(今でも
時々この映像を観ては、目を覚ましています)
プロ活動を始めると必ず陥る言い訳があります。
「こんなのができても営業向きではないから…」、「お金にならないから…」、
「客が理解するには難しすぎるから…」 etc
そんな弱い自分と向き合いながら、一つずつ解決してなんとかここまで
来た人生です。
投資が好きな私が最近よく感じるのは、日経平均株価が31年ぶりの高騰で
市場が盛り上がる中、ちょっと利益が出たと話題にすると、往々にして
「自分には元手がないから…」と投資のかけらも勉強していない人に限って
口にしがち。
元手があれば確実に利益が出るのなら、一定の資金さえ準備できれば損失
を計上する人は一人もいなくなるわけで…そんな甘い世界ではありません。
試しにその言い訳をする人に100万でも預けて自由にやらせたら、あっと
いう間に蒸発させてしまう可能性が大です。
この場合の言い訳の正解は「元手がないから…」ではなくて「全く勉強して
いないから…」あるいは「全く興味がないから…」でしょう。
物事に向き合う際に、なんとかできる方法を考えるよりも、まずできない
理由が次々と口から出てくる人と話した時の苛立ちといったら…ホントに
貴重な時間を返せという気分。(口からカードなら楽しいのですが…)
「何か始めようにも資金がないから…」、「良い環境の現場がないから…」、
「いつも酔客相手だから…」 etc
そして最近は何でもかんでも「コロナだから…」
コロナ禍以前からそれほど忙しくもない人に限って「自分はマジックしか
できないので…」と平然と宣いますが、マジック舐めてんのかって話ですよ。
理由を問うこともありませんが、どうせ「バイトの時間に起きれないから…」
「いい条件の仕事がないから…」、「マジック以外のスキルがないから…」と
息を吐くようにできない理由が出て来るに決まっているのです。
夜の世界で、楽して小遣い稼ぎをするという「ぬるま湯」に浸かり過ぎて、
指も脳もふやけてしまったのでしょう。
他には取り柄はないけどマジックだけは得意と気宇壮大に語るナルシスト
のマジックは…大抵できてませんから。
そのことに本人が気付いていないところがまたイタイのですが、「受け身」を
知らずに柔道の試合に出続けているうちに、痛覚が喪失したのかも知れま
せん。
マジック界はリハビリの場でもなければ、普通の仕事ができない社会不適
合者の駆け込み寺だと思われたら、いい迷惑です。
話は少し逸れますが、クラウドファンディングも玉石混合の状態。
一例を挙げれば、確固たるボランティア精神があるのなら自分達が一肌脱
げばいいだけなのに、コロナ禍で経済的に苦しいせいか、イベントをダシ
に他人の金を集めるのみならず、さらにオブラートに包んで美談に仕立て
上げて感謝までされようとする企みが透けて見えると、本当に興醒めです。
こんな悪手が何度も通用するとは思えませんが、これは「やる理由」が胡散
臭くて、とにかくみっともない!
どんなに優秀で好感度が高かろうが、勇気を持って「やってはいけない理由」
を進言し、諭してくれる常識人が周囲にいないことが致命傷なのでしょう。
…とりあえずこの話題はここまで。
そもそも、「できない人」に共通しているのは、メールの返信や電話の折り
返しが遅いこと…。
本人が持ちかけた重要な案件でも、平気で半日や一日遅れて連絡してきて
「すみません、バタバタしてました」が定型文になっています。
こちらは「忘れていたか仕事が遅いからバタバタしてんだろ。どうせ暇な
くせに」と内心ボヤいています。
「できる人」は忙しい中でも「後ほどこちらから連絡します」と即折り返し
をするものです。
これは一流ブランドで売り上げがトップクラスの担当者や車のディーラー
では顕著ですし、マジックの仕事上で知り合う優秀なスタッフにも共通
して言えることです。
そして彼らに無理を承知でお願い事をした時…最初からできない理由を
口にすることはなく、結果はどうあれ、なんとか実現・成就するように
奔走してくれます。
悪手のクラウドファンディングの例を挙げるまでもなく、人はあまりにも
暇になって不安を感じると、ろくでもないことが頭によぎる弱い生きもの
です。
ですから巷間云われる「仕事は、忙しい人に頼め」は正解なのです。
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