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マジックと愛車遍歴 3 (前編)

・ ホンダ レジェンド (1986〜1991)

レジェンドは現在でもホンダのフラッグシップカーですが、この初代モデルは
ホンダ初の3ナンバーの大型セダンとしてデビュー、ライバルはトヨタのクラ
ウンや日産のセドリックと位置付けられていたはずです。
当時は、ホンダのプレリュードやトヨタのソアラが絶対的なモテ車として人気
の車種だったのですが、特に車でモテようなどという下心は微塵もなく、自分
の中ではレジェンドというネーミングと、ややオッサン臭いけれど、威風堂々と
した佇まいに惚れた上に、充分なトランク容量も魅力的な車でした。
世の中の景気の良さは異常で、日本がバブルに突入する前夜の雰囲気でした。

1987年、マリックさんが主催した最後のコンベンションのコンテストで幸い
にもグランプリを獲得し、その受賞アクトをテレビで演じたせいか、営業の
現場でそれを求められるようになりました。
しかし、この鳩とファイヤーのコンテストアクトは、コンテスト本番とテレビ
出演以外では演じていません…なぜなら、特定の環境下でなければ演じられ
ないから。
コンテスタントなら理解してもらえると思いますが、コンテストアクトを営業
先で求められても、照明や角度等のステージ環境が整っていないと演じられな
いというジレンマに苛まれます。
仕事欲しさに受賞を売りにした時点で、それを求められるのは自明の理なので
自業自得なんですけどね。

営業の現場では30分程度を求められるのが普通なのですが、コンテストアクト
はせいぜい7分程度の構成です。
ですからコンテスト受賞者とは言っても、いざ現実の営業の場に立つと、時間
をもたせることが第一義になってしまうのか、マジックバーに入店したばかり
の素人同然の若手と変わらない演目ばかりになりがちなのです。

私も営業先で受賞アクトを求められて悩んだ立場ですから、クオリティーの
高い営業用のアクトを作って、受賞アクトを演じなくてもクライアントを納得
させることに腐心していました。(フィギアスケート選手が、毎回息が詰まる
ような競技用の演技をするのではなく、エキシビションや、お金が取れる豪華
なアイスショー用の演技を作るようなものです)

後には営業先の環境や条件に迅速に適応できるように、数々のアクトを作って
いきました…恵まれた環境で演じる鳩フルセットのアクト、一日に複数回演じ
るためのリセットが簡単なアクト、ボディロードを一切排除した動きやすい
アクト、屋外イベントでの風や角度に強いアクト、ショーの中盤で演じる紙幣
やコインのアクト…色々な素材や現象を組み合わせてアクトを作っている過程
が最も楽しく、ステージマジシャンとしての醍醐味を感じる時です。

既製のイリュージョンは、誰が演じても根本的な現象は同じなので、ライバル
が使っていないBGMを探したり、独自の演出を加える(実はこれが大事)など
して、他のマジシャンとの差別化を図るのに腐心します。
トークマジックは最もキャラクターをアピールできるので、自分が何者なのか
を俯瞰で観察して、自分に合うマジックを徹底的にやりこなして、テッパン芸
にしてしまえばこっちのものです。(言うは易く行うは難しですが…)

他人の営業をこっそり観に来て、ギャグから演出までを丸ごとコピーする輩も
いますが、全く本人のキャラに合っていないし、もしウケたとしても、そこに
達成感はあるのでしょうかね…ホント寂しい輩人生だと思います。
本人はオマージュだのインスパイアされただの言い訳をしても、それは紛れも
なくパクリですから!
それと「僕もステージアクトをやってます」という若手がいたので、内容を確認
すると、ボーリング球出して3本リングやってテーブルを浮かしてますとのこと…それはアクトではなくて、商品紹介ですから!

次回、後編に続く…

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