マジックと愛車遍歴 7 (前編)
・ クライスラー 300C ツーリング (2009〜2016)
さて、ベンツVクラスから乗り換えた車とは…
案内されたヤナセのショールームには、車長5m、車幅2m弱の巨大な躯体で
悪い顔をした真っ黒の厳つい車が鎮座していました。
はいはい、ハリウッド映画で観たことがある顔です…必ず悪役が乗っていた
車です。
威風堂々としながらも、乗る人間はこちらが選ぶぜというくらいの強い視線
でガンを飛ばしてきます。
いいじゃないですか、乗ってみましょう…即決でした。
納車後すぐにガラスコーティングを施すと、いやらしいほどに黒光りして、
さらに「ちょい悪ラグジュアリー」な車になりました。
クライスラーといえば所詮アメ車でしょ、という偏見を持つ方もいると思い
ます…正直、私もそうでした。
見た目に惚れただけで、以前のルミナのように、乗り味や足回りにはそれほ
どの期待はしていませんでした。
ところがこの車は、ほぼドイツ車並みの操舵感を味わわせてくれました。
ドイツ車とアメリカ車を交互に乗り継いできたので、そのテイストの違いは
よく解ります。
実はこの300Cツーリングは、クライスラー史上の傑作と云われています。
なぜなら、この頃のクライスラーはメルセデスと提携しており、ダイムラー
クライスラーという合弁会社が、ヨーロッパのオーストリアの工場で生産
した車で、シャーシの基本構造はメルセデスの主力車であるベンツEクラス
と共有されていたのです。(その後、提携は解除されたので貴重な車です)
どうりでドイツ車のようなカチッとした足回りのはずです。
そして、クライスラーお得意の5.7リッターHEMIエンジンを搭載している
ので、とんでもないパワーを発揮します。
つまり、基本構造は安心のドイツ車で、エンジンと見た目は私好みのアメ
リカ車という理想的な組み合わせだったのです。
ただし、燃費は最悪で、ハイオクの街乗りでリッター3km程度です。
さらに排気量に伴う自動車税も高いし、とにかく維持費を気にしていたら
乗ってはいけない車です。
そこそこの荷物は積めるので、マジックの仕事でも重宝はしたし、打ち合
わせ場所のファミレスの駐車場に入ると、窓際に座る客がガン見するなど、
とにかく目立つ車でした。
走行中、前の車のルームミラーにこの顔が映るとすぐに道を譲ってくれるし
(普通に走っているだけで煽っているように見えるとしたら、昨今の社会
問題に鑑みると要注意ですね)、割り込まれた記憶はほとんどありません。
そんな意味でも、デカい割には運転しやすい車でした。
得意絶頂で乗り回して3か月経ったある日、この車と私を悲劇が襲います。
2009年7月の当お知らせで詳細を書いておりますので、ご一読ください。
「良い事と悪い事」
さて、この2代目にもピカピカのコーティングを施したものの、先代と全く
同じでは気が済まないので、個人輸入したパルテノングリルを装着すると、
これがまた、先代以上の威圧感を醸し出しました。
筋の悪いロールスロイスというか、なんちゃってマフィアというか…。
この車は、宣材写真にも登場させました…コチラ
2代目の納車から7年が経ったある日、ヤナセの担当者から一本の電話が…
「大切なお話がありますので、ご自宅に伺ってもよろしいでしょうか?」
忙しいので、用件は電話で事足りることではないのかと問うと…
「対面でお話しなければならないので、なんとか時間を作って下さい」
これは只事ではないなと思い、来てもらうことにしました。
当時は、タカタ製エアバッグの不具合問題がニュースになっていたことも
あって、さては何かリコールが発生して修理が必要になることの謝罪かな
と予想していましたが、まるで違っていました…
「ヤナセがクライスラーの取り扱いを停止することになりました。暫くは
メンテナンスの対応はできますが、近い将来のフルサービスや車検は受け
られなくなります。ベンツに代わる車として、私どもの方からこの車をお
勧めし、それも2台も購入して頂いたのに申し訳ありません。ついては、
これを機に買い替えを検討していただけないでしょうか?」
はいはい、迷うことなく検討が始まりました。
次回、後編へ続く…
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