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マジックと愛車遍歴 6 (前編)

・ メルセデス ベンツ Vクラス (1999〜2009)

ルミナに未練を残しながらも、アウディ以来、7年ぶりにヤナセとの付き合い
が再開しました。
当時のアウディの担当者が喜んだのは言うまでもありません。
(この年から現在に至るまでヤナセとの付き合いが続くことになります)

仕事上の荷物の多さを考えると、もはやミニバン以外に選択肢はなく、福岡
輸入車ショーで見たシボレーアストロやクライスラーボイジャーも候補として
検討しましたが、今回は安定のベンツVクラスを選択しました。
車体はほぼ四角の形状で、後席は1席ずつ取り外しが可能なので、全ての席を
取り外して板張りにすると、広大な荷室が誕生します。
パワーはというと、荷室が空の状態で走れば何の不満もないのですが、図体が
デカい割には2.8リッターのエンジンなので、荷物満載で走る時は物足りなさ
を感じましたね。
ただ、あくまでもミニバンである以上、ブイブイいわせて走る車ではないので、
まあこんなものでしょう。
しかし、トラブルが多かったルミナの後で、それもヤナセから納車された新車
のベンツというだけで、絶対に穴を開けるわけにはいかない仕事で使う上では
常に安心感がありましたね。
晩年のルミナでは、ちゃんと時間通りに現場入りするという当たり前のことが
不安で、家を出る前のマインドセットにも悪影響を及ぼすほどでしたから。

この頃に演じていたイリュージョンは…
オリガミ、ウェイクリングソーイング、ポールレビテーション、ダンボール、
ラダーレビテーション、スリーソードサスペンション、シースルーギロチン、
ダイヤモンド、バードスルーミラー、ブルームサスペンション、ミラーボール、
ジャム、レボリューション、アキュパンクチャー、ウォークスルースティール、
バードキャノン、ボウソーイング、オープンスクリーン、アシスタントリベンジ、
バードトゥーガール、バードクレーン、トリセクション、カッティングエッジ、
ノーフィート、バズルブロック…

これらの中から常に2〜3台は運んでいたので、ベンツVクラスの広大な荷室は
重宝しました。
規模の大きなイベントで多くのイリュージョンを運ぶ時には、弟子のミニバン
と二台で移動したり、イベント会社がトラックを手配してくれました。

このベンツVクラスに乗った10年間が、マジシャンとして最も脂がのって動き
回った期間です。
様々な思い出が、まさに走馬灯のように駆け巡ります。
エピソードを語るとキリがないので、個人的に最も印象に残っていることを…

何度かアマチュアマジッククラブの発表会のゲスト出演をしましたが、2001年
でしたか、ちょっとした打ち合わせがてら、そのクラブの例会に顔を出した
ことがありました。
地方のマジッククラブは、どこも年配者の同好会といった風情なのですが、
たまたま若い大学生がいました。
話しかけたところ、緊張したのか寡黙なタイプでしたが、そのマジック熱は
伝わってきました。
それなら例会終わりに自宅へ招待してあげようとしたところ、彼は例会会場に
自転車で来ていたために躊躇していたので、彼の自転車をVクラスの荷室に積
んで自宅へ招待し、帰りは彼の下宿近くまで自転車と一緒に送り届けました。
その後、社会人となった彼とは、2回もイギリスのブラックプールのマジック
コンベンションに行ったり、今でも私のショーに裏方として駆けつけてくれた
り、マリックさんとも何度も会食を共にするなど、アマチュアながら別格と言え
るほど親しく付き合っています。
これもあの時、悠々と自転車を積めるVクラスに乗っていたからこそ始まった
付き合いなのだなあと回想しています。

こうして10年も活躍したベンツVクラスにも、さすがに不具合が出てきました。
そろそろ次の車の検討に入った時、ヤナセの担当ディーラーから、やや大型化
された新型Vクラスを勧められました。
普通なら新型に乗り換えるのが自然な流れとなるのでしょうが、この頃の私は
マジック人生において、大きな転機を迎えていたのです。

次回、後編へ続く…



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