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必要なもの? 欲しいもの? 2

前回からの続きです…

日常生活の上で、決して必要とは言えないブランド品や高級機械式時計や
高級車が、このコロナ禍でも販売好調なのは何故なのか…最近の日経新聞
の記事によると、海外旅行に出るのが難しくなり、富裕層らの消費意欲が
貴金属などの高級品に向いている…とありましたが、その事象はおそらく
「必要だから」などと言い訳をせずに、自分に正直に「欲しい」と言える人達
が、実はいかに多いかの証左なのでしょう。

時間を知るためにはスマホで確認すれば済む現代で、腕時計コレクターが
「時間を知るために腕時計は何本も必要なのだ」なんて言い訳をしたとすれば、
そんなのは自分自身に対しても絶対に通用しないのです。
本音は、ただただ「何本も欲しい」だけなのですから。

「車は単に移動手段の中の一つである」という人にとっては、それは必要か
否かというだけのものに過ぎません。
電車やバスの交通網が発達して、駐車場代も高い都会においては全く必要
がないものかもしれませんが、田舎に住む人にとっては必要不可欠なもの
でしょう。
便利な都会に住んでいながら、高級車を何台も所有する富裕層は、欲しい
車を集めて所有欲を満たしていることは明らかなのですから、日常生活に
絶対に必要だなんて見え透いた言い訳は、自分に対しても他人に対しても
しないはずです。(ただし腕時計や車に関しては、所有欲ではなく投資目的
で買う人も多く存在します)

私は27歳の時に現在の家を建てました。
それはどうしても一戸建てが欲しかったわけではなく、目標とするバード
アクトの完成を目指して、多くの鳥を飼って調教するには、集合住宅では
無理で、一戸建てが必要だと判断した結果だったのです。
この時だけは「必要なもの」が「欲しいもの」を凌駕した瞬間でした。
明確な目的と人生設計があったからこその「必要不可欠」なものだったとも
言えるでしょう。
都会の利便性や戸建ての維持管理費をトータルで考えた場合、あれだけの
動物を飼わなければ、戸建てなどには拘らず、気軽な都心のマンションに
住んでいたことでしょうね。

しかしその甲斐あって、今日に至るまで、長年に渡ってバードマジックを
演じ続けて充分過ぎる収入を得ることができたし、多くの道具の保管が
可能になりました。
また、集合住宅ではありがちな、隣人を気にすることなく夜中でもBGMを
流しながらの稽古もできました。(特に夜中のコインラダーは気が引けます)
結果、レパートリーは次々に増えていき、やりたかったマジックはほぼ
網羅することができました。
そして仕事が軌道に乗って、経済的にも時間的にも余裕ができた時点から
投資等の金融リテラシーを身に付ける勉強をしたり、既存資格のアップ
デートやブラッシュアップをしたりと、将来に遭遇するかもしれない荒波
に備えて複業の準備をしてきたつもりですが、現に、リーマンショックや
コロナ禍の荒波にも耐えうる防潮堤を築くことができたと思います。
アリとキリギリスという童話がありますが、アリというベースを人知れず
育てながら、スポットライトの中ではキリギリスのように振る舞えるのが
理想的なマジシャン像であると、今でも信じて疑いません。
こう書くと、またリア充自慢とか、若い頃から計算高く生きてきたように
思われがちですが…あの頃は、ただただ夢中だったのです。

その昔、本当は欲しいだけで「あまり使うことはないだろうな」と自覚して
いながら、「そのうちに絶対に必要になるから」と自らに言い訳をしながら
買い集めたマジック道具やイリュージョンがどれだけあったことか…。
しかし思い返すと、出番が頻繁にある稼ぎ頭だった「必要なイリュージョン」
よりも、出番も滅多になくて下手したら元も取れていない「欲しかっただけ
のイリュージョン」を演じる時の高揚感や満足感たるや…格別でした。

努力は夢中には勝てないし、必要なものは欲しいものに勝てないのです。






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