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2020年12月

さらば2020年

もう言い尽くされていますが、今年は新型コロナウイルスに世界中が翻弄
された年でしたね。
御多分に洩れず、私もその激流に巻き込まれているわけですが、そんな中、
良い事もあれば、もちろん悪い事もありました。
悪い事の代表格は言うまでもなく、コロナ禍でマジックの仕事が中止や
延期となったこと…ごく身内の範囲でクロースアップを演じる機会はあった
ものの、本格的なステージショーは2月が最後でした。

オファーがなかったわけではありませんが、条件として様々なハードルが…
フェイスシールドを着けろ、客をステージに招くな、客から物を借りるな…
昔と比べたら、火気・動物厳禁等、ただでさえコンプライアンスが厳しく
なっていた上でのがんじがらめの制約では、やる気にならないどころか、
ビジネスとして考えても、ギャラの上乗せもなく、その障害物競争のよう
な仕事のためだけにオーダーメイドのように新たな手順を作るのは壮大な
時間の無駄として却下。(どんな条件でも受け入れて仕事をこなすのが本物
のプロだとする浪花節的な思考回路の方は、それはそれでどうぞ)
足元を見られてギャラを下げた挙句、刹那的な金銭のために、自身ですら
納得していない演技で評価されるというのは、結果的には大きなマイナス
のブーメランとして戻って来ることでしょう。
アフターコロナとなっても、一度でも下げたギャラやイメージは元には戻
らないでしょうね。

その他にも様々な事がありました…可愛がっていたペットとの永遠の別れ、
32年も通い続けて別宅のように馴染んでいた老舗クラブの閉店、それと
自身の健康…以前にも書きましたが、春頃から皮膚病の中でも難病とされ
る「痒疹」に罹患してしまったこと。
かなり改善しましたが、闘病はまだまだ続きそうです。

とまあ暗い話題はここまでとして、もちろん良い事もありました。
「転んでもただでは起きぬ」、「災い転じて福となす」の精神で、マジック以外
の全ての複業をフル回転させたところ、全ての事業が過去最高に近い収益
となりました。
来年も複業がこのペースで推移して、さらにストレス無くマジックができる
状況になれば、言うこと無しなんですけどねえ。

ある程度余裕ができたとしても、このコロナ禍では海外旅行ができるわけ
でもなし、夜のクラブ活動も自粛気味ではストレスも溜まる一方。
どうやってガス抜きをするかというと、俗物の私の場合はやっぱり物欲。
腕時計や靴、特に今年は服を大量に買いましたが、これには理由があって
これまではショーやクラブ活動の時に着る、いわゆる夜のテイストの服が
クローゼットの大半を占領していたのですが、今年からは昼間に動く機会
が増えたことで、昼のテイストの服を買い集めたのでした。
各ブティックの担当も私のライフスタイルが激変したことを理解したのか、
派手めの服はあまりオススメしなくなりましたね。
またクローゼットの断捨離をしないとパンパンです。
こんなことになるなら、リフォームの時にウォーキングクローゼットを作って
おくべきだったかなあと…。(近い将来にマジック道具も本気の断捨離を
する予定です)

他に良い事としては、動き回ったおかげで新たな人脈ができたり、何より
自身の可能性と伸びしろを実感できたことですね。
あとはJALグローバルクラブに入会できたこと、久しぶりにマリックさんと
来年に向けてのビジネスライクな話し合いができたこと…。

こうなってしまった世の中を嘆いても何の解決にもならないし、コロナが
なければここまで一瀉千里に突き進むこともなかったと思えば、個人的に
は良い事の方が若干上回った年ではないかと総括しています。

このまま今年も終わるのかなと思った矢先、久しぶりにぎっくり腰に襲われ
ました。
今年最後の東京出張の前夜、腰に違和感を抱えたまま、早朝に迎えに来た
タクシー→飛行機と乗り継いで、羽田空港に到着直後に激痛が走りました。
8年前にぎっくり腰を体験して以来、旅行用キャリーケースにはコルセット
と湿布は常備していたので直ぐに装着。
ホテルにチェックインして3日間は激痛に耐えながら所用を済ませましたが、
ベッドから起きる際には、産まれたての子鹿のようでしたよ。
そんなこんなでなんとか福岡に帰還して、今年最後のエントリーを書いて
います。

最悪とされる2020年でも6対4で良い事が勝ち越したかなと思っていたら、
このぎっくり腰で残念ながらトントンにされた気分。
たぶん来年も幾多の苦難が待ち受けているでしょうが、年末にはできたら
8対2、最低でも7対3で良い事が勝ち越した年だったなあと振り返りたい
ものです。

それでは皆さん、良いお年を。




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老 害

老害とは、「自説を曲げずに価値観を押し付け、怒りっぽくて話が長い年長者」
というのが一般的なイメージではないでしょうか。
いつでしたか、20代のマジシャンが30代のマジシャンのことを老害とディス
っているのを聞いて唖然としたことがあります。
これは何歳からが老人と定義するのかといった切り口では説明できること
ではなく、10年スパンの世代間闘争、あるいは嫉妬やギャップ等の要素も
綯交ぜになっているのではないかと推察します。
あるいは世代とは関係なく、嫌いな人間の発言は、ど正論であっても意地
でも受け入れたくないから否定するという、感情に起因する場合もあるで
しょうね。

自戒を込めて回顧すれば、上の世代は場数を踏んできたというアドバンテ
ージと自負があるせいか、下の世代がやることをまず否定することから入
りがち。
例えとしてはマジシャンでも料理人でも小説家や芸術家でもいいのですが、
下の世代が「これどうでしょうか?」と作品を見せてお伺いを立てたが最後、
飛んで火に入る夏の虫なのです。
上の世代は内心「完璧だ」と思っても、己の権威の発露なのか、自分色に
染めないと気が済まないのか、はたまた単なる嫌がらせなのか…とりあえず
否定して、どうでもいい部分を変更させたりするものなのです。
延々とケチをつけて最終的に収拾がつかなくなると、自己嫌悪に陥ったのか
「もう最初のでいいよ!」と軽い逆ギレでもして、結局元に戻って大事な時間
が溶かされることも…。

ただですね、「これは本当に何とかしてあげないと」という親心からの否定
やアドバイスもあるので、そこはしっかりと吟味、取捨選択をしていかな
いと、無駄を簡単にスキップできたはずなのに、人生遠回りすることにも
なりかねません。

マジック界では、演者が求めてもいないのにそれを否定し、お節介なアド
バイスでもしようものなら即、老害認定されるでしょう。(明確な師弟関係
があれば別です)
逆に厄介なのが、こちらが批評するつもりもないのに感想を求められる時。
演技の感想を求めてくる人は、褒められることが大前提で心の準備をして
いる場合がほとんどですから、まともに貶すと恨みを買うだけで、ろくな
ことはないし、かといって自分の意思に反して歯が浮くように褒め称える
のも忸怩たるものがあるし…ですから私は批評することはほとんどありま
せん。
「熱演だね」とか「あんなにセットが面倒くさいのをよくやるよね、大変
でしょう」…程度ですね。(但しどんな苦言でも受け入れる信頼関係が構築
されている後輩には、遠慮なく本音を話します)
最近のことですが、タネ丸見えの悲惨な「鳩出し」を見せられた後、「フィード
バックをください!」と求められた時は呆れ返りましたね。(内心は…今見た
こと全てを眼球から洗い流したいからアイボン買ってきて)

自身を振り返ると、30代半ば頃から当時の若手(ふじいあきら、ゆうきとも、
庄司敬仁…その下の世代だと内田貴光、RYOTA…)の台頭には正直焦りがあり
ました。
光陰矢の如し…彼らも今や立派なアラフィフで老害の資格十分です。(ゴメン)
彼らの卓越したテクニックや技法やアイデアやアプローチを見る度に、当時
銀座であれだけ荒稼ぎしていたのに、自分がやっていることが陳腐に感じて、
これも知っとかなきゃ、あれも出来るようにならなきゃと焦るのですよ。
でも付け焼刃で焦って習得した演目など、銀座の現場では通用しないこと
が多かったですね。

さらに令和時代の若手は、物心ついた時からインターネットはあるし、アナ
ログ人間の私は情報量に関しては全く敵うべくもないのですから、近年は
達観して時代の流れに引きずられることもなくなりましたが…あ、こういう
愚痴のようなくだりが下手をすると「俺たちの時代にはそんな便利なものは
なかったんだ。それでも俺たちは頑張って…」てな具合に価値観を押し付ける
武勇伝に変換されて老害認定されてしまうのですよ。

老害とは…「枯渇することのない承認欲求と既得権を失う不安感」に起因して
いると私は解釈しています。

しかし最も危険で迷惑な老害は、「危なっかしい運転をしながらも免許返納
しない暴走老人」で決まりでしょう。

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