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新しい生活様式 (後半)

緊急事態宣言が全国で解除されて、コロナと生きる「新しい日常」が始まり
ました。
それに伴う新しい生活様式…マスクやソーシャルディスタンスは当然のこと
として、レジでのビニールの暖簾や飲食店のパーテーションは、そのうちに
慣れるのでしょうが、やはり抵抗はありますね。(ラーメンの一蘭は改装費が
ほとんど必要なかったのでは…)
テレビでのリモート出演はすっかり観慣れた感があります。
多くの企業ではテレワークを実施していますが、意外とこれで済むならこの
ままでいいのではという機運も高まっているのだとか…社員全員が都心の
オフィスに通勤する必要がなくなれば、高額な広いオフィスを解約する動き
が加速するのも当然の帰結でしょう。
個人の飲食店はもちろん、大企業にとっても家賃を含めた固定費はかなりの
負担となっていますからね。

とにかく多くの事象がそうするつもりはなかったのに、そうせざる得ないと
いう状態に追い込まれて、その結果、やってみたらできたとか、実はこの方
が良かったとかの事象が派生しているのでしょう。
壊滅的な状況の観光、飲食、エンタメはもちろん、全国の病院の8割が赤字
になるほどの事態ですから、コロナ禍の影響を受けていない職種はほとんど
無いという現状の下、それぞれの業界で様々な工夫をして、ニューノーマル
(新常態)を構築していくしかないのでしょう。

ただニューノーマルの下で横並びで暗黙のルールを守っても、今度はその
止めどきが単独では難しいものです。
苦肉の策で工夫せざる得なかったマジックショーの景色はどのようなもの
なのか…ちょっと想像してみただけでも興醒めしそうな環境なのでは?
カウンターにはビニールの暖簾、マジシャンも客もマスク姿やシールド姿、
客が触れる道具や手を消毒してからマジックを始めるも、表情も読めなけ
れば台詞も聞き取りづらい等々…神経質な客であれば、スポンジボールや
コインを握ることを拒絶するかもしれません。
このように感染を気にしながら不要不急のマジックを楽しむことができる
のでしょうか?

演者の立場からしても、例えば手や道具を消毒してからの動物マジック?
…有り得ん!有り得ん!もうそこまでして演る必要があるかって感じですよ。
今朝のニュースで観ましたが、営業再開したライブハウスでは、ステージと
客席の間にビニールのカーテンが張られていました…まさに興醒めです。
今後、ホテルの宴会場で「密常態」の企業の立食パーティーでの営業とか
あるんですかね?
近い将来、「昔はこんな営業現場があったんだよなあ」と当時の映像を観な
がら、しみじみと晩酌をしている自分の姿は想像できますよ。

ではこれからのマジックはオンラインだとばかりに、続々とマジシャンが
参入しているようですが、これも通常営業が本格的に再開するまでの「繋ぎ」
という側面が強く、これから先の生活を支える基盤にしようと期待しても、
先行者利益を享受する一部のマジシャン以外には困難な気がします。

日頃から「お客様に夢を見せるために、お客様を笑顔にするために」と宣う
マジシャンが、このコロナ禍で「仕事が無い」と焦り嘆く理由は、「お客様に
夢を見せられない、お客様を笑顔にできない」からでしょうか?…
いいえ、おそらく「自分の生活が不安だから」でしょう。
そうであるならば、仕事欲しさの本音を糊塗したまま、健全な建前をモチベ
ーションとしてアピールするのは金輪際控えた方が自身の為だと思います。
追い詰められた時に本音を吐露できないのはストレスが溜まるだけです。
煩悩多くして欲深い私なんて「せっかくこの世に生を受けたからには、自分
を楽しませるために自分は生きているのだ…」という思想を平常運転で堅持
していますし、コロナ後は、より一層その思想が先鋭化して、煽り運転…
いやいやスピードアップしていくことは間違いないでしょう。

私自身にとってのSTAY HOMEは、新しい生活様式どころか「新しい人生」に
ついて真摯に向き合って熟考することができた、ある意味では有意義な時間
でした。
これまで、「何歳までにこれを達成する、これを済ませておく」という人生の
タイムスケジュール通りにほぼ正確に歩んで来ましたが、コロナ禍の影響で
計画を2年前倒しで進めています。
そうせざる得なかったわけですが、いずれにせよ2年後にはそうするつもり
だったので、余生のためにはこれでいいのだと確信しています。

「ピンチはチャンス」と鼓舞する人もいれば、「どうせ他にも収入源があるんで
しょ」などと言う慇懃無礼かつ軽佻浮薄な輩もいるものですが、それも過去に
どれだけのものを積み重ねて、いざというときに発動させる準備をしてきた
のかによりますから、自身のポテンシャルの全てを総動員して本気で生きて
行くというのは、一朝一夕にできるものではないのですよ。
まあ、私の場合は年齢的にも完全な人生逃げ切り型ですから、無責任なこと
を言うつもりはありませんが、マジックを含めた今後のエンタメ業界は大変
だと思います。

「まさか自分が生きている間に世の中がこんな事態になるなんて」と嘆いた
ところで、人生100年とされる長寿時代であれば、100年に一度の災難に遭う
ことは不思議ではないのです。
ここは腹を括って、新しい生活様式の中で新しい人生を模索するしかない
でしょう。
自らにも言い聞かせていることですが…「あったかもしれない人生」を追わない
ことです。

さて、緊急事態宣言解除は決して「安全宣言」ではありません。
日常が戻り始めた矢先に第2波に襲われて再び自粛にでもなったら、とどめ
を刺されかねませんので、くれぐれも「緩み」のない生活が肝要ですね。
緩みがあるとカツラもバレるのです。

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