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2020年2月

お天道様は…

ここしばらく読了した本のレビューを書いていませんでしたが、今更書こうと
しても記憶が薄れてしまっています…それでも面白かった本を思い出すと、
「反日種族主義」、「言い訳」、「同窓会に行けない症候群」などなどありま
したが、最も印象深くてインパクトがあったのは、現在40万部以上売れている
「ケーキの切れない非行少年たち」 宮口幸治 著 (新潮社)

非行少年の多くは、その生い立ちや環境のせいで犯罪者になると思われがちで
すが、実は多くが発達障害者や知的障害者であるという事実。
彼らになぜそんなことをしたのか尋ねても、難し過ぎてその理由を答えられな
い子がかなりいるというのです。
「僕はやさしい人間です」と答える殺人少年もいるくらいですから、被害者も
浮かばれません。
更生のためには内省と自己洞察が必要不可欠ですが、そもそもそれをする能力
が欠落しているのですから「反省以前の問題」なのです。
できるだけ早いうち(小学2年生までだそうです)に親が気づいて、少年院での
教育や矯正ではなく、治療をしてあげるしかないのでしょうね。

この本を読み終えて、前々から感じていたことが確信に変わりました。
デリケートな問題ですから、決して「差別」ではなく、あくまでも「区別」として
誤解を恐れずに吐露すれば…「マジック界にも発達障害やパーソナリティー障害
を持つ者が一定の割合で存在している」(大きな声では言えませんが、小さな声
では響きませんので…)

変な奴だなあと思われても、他人に迷惑をかけないうちはまだいいんですよ。
注意すれば直るだろうと思っていたら、繰り返し似たような事象をやらかす、
すぐに反省や謝罪を口にするものの、何で怒られてるか実は理解していない、
凹んでも立ち直りが早くて、周囲が引くほどテンションが高い…等々。
以前、福岡での某マジシャンのレクチャーの最中に、遅刻した上入室するなり
ガサガサとファミチキを食べ始めた若者がいて、それを咎められると「これは
ファミチキではなく竜田揚げです!」…そこじゃねえよ。
(ちなみにこの若者はガソリンスタンドでバイトした際に、ガソリン車に軽油
を給油してしまう等のミスを頻繁に繰り返していたそうです)

10〜20代までは変な奴で済まされても、ある程度の年齢になるとひたすら
気持ち悪いと思われて、まともな社会人からは相手にされなくなるんですよ。
(賢者ほど笑顔で立ち去ります)
幸か不幸かマジシャンの場合は、不思議な現象を起こすというかなり厚めの
オブラートに包まれているせいか、初対面の観客には気付かれることは少ない
ものの(キャラとして演じていると勘違いしてくれる)、同業という立場で
ちょっと付き合ったり、一緒に働けばすぐに違和感を覚えるものです。

発達障害とまではいかなくても、境界線上のマジシャンは確実に存在します…
ギャンブルで借金まみれなのに「マジシャン達を輝かせるマジックバーを作り
たい」というお題目を掲げて、クラウドファンディングのコンテンツで資金
調達をしようとしたり(もちろんノーマネーでフィニッシュです)、一般客が
辟易しているのに、その空気を読めずにひたすらカードの技法を見せ続けたり
、客から一杯もらうかチップが出るまで厚かましく居座ったり、確信犯として
開き直っているのか、ヘラヘラ笑いながらコピーの道具を悦に入って演じる者
もいる始末。

ルース・ベネディクトは、著書「菊と刀」で、西欧は宗教的倫理観に基いて
自律的に善悪を判断する「罪の文化」であるのに対し、日本は内面的な倫理観
ではなく、他人の目が判断基準となる「恥の文化」だと指摘しています。
(信仰心によって自らを律するのと、他人にどう思われるかで自制心が働く
という違いですね)
確かに日本人は順法意識よりも社会批判を重んじる傾向がありますからね。

そうであれば、日常的に他人の目を意識して緊張感を保てる「お天道様は見て
いる」体制こそが最も効果的なガバナンスだと思うのですが、大切なものが
欠落している連中にはお天道様の目なんて、屁のツッパリにもなりません。
(逆に、お天道様にコピーを見せて自慢するかも)
努力をしない人間は努力をしている人の気持ちが絶対に理解できないという
まさに「不治の病」。

新刊書:「コピーと切れない非行マジシャンたち」…出ても売れんだろうなあ。

 

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私見…複業

1月末、親知らずを抜いた日、想像よりも痛みが無かったので(麻酔が効いて

いますから)、調子こいて晩酌したところ…さすがに腫れました。

2月初旬のショーまでには痛みも引き始めて安心したのもつかの間、腰痛が

再発…それでもショーの最中はアドレナリンが出まくっていたのか、痛みを

感じることはありませんでしたね。

久しぶりにステージとクロースアップのダブルヘッダーでしたが、照明・音響

を始め、最高の環境を用意して頂いたせいか心地よい疲労感で、ホテルの部屋

で飲んだビールは格別でした。

 

さて、世の中は新型コロナウイルスの蔓延でてんやわんやの状態ですね。

今月は東京と名古屋の往復が続くので、飛行機の中や人混みの中ではマスクの

着用を心がけています。

サプライチェーンを始め、世界の経済的な影響は多岐に渡りそうですが、豪華

客船ダイヤモンドプリンセスの一件で、クルーズツアーのダメージは計り知れ

ません…ひいてはクルーズショーを主戦場とする世界中のマジシャン達にも

影響が及ぶことは間違いないでしょう。

この混沌とした世の中を生き抜くためにはどうすればいいのか…悩みどころです。

 

2018年6月のこのコーナーで、私は3回連載で「複業のススメ」というコラムを

書きました。(詳細はバックナンバーからお読み下さい)

現に世間では働き方改革が注目され、副業を解禁する企業の話題が多く報じら

れるようになってきました。

副業は得られる収入と、スキルなどの能力の高さに応じて4つに分類されます。

会社に知らせずにやる…「伏業」

本業の収入を補う…「副業」

NPOのような社会的事業に従事する…「幅業」

複数の異なる仕事を持つ…「複業」

私が最も推奨するのが若いうちからの「複業」です。

一般的な企業では役職定年を適用して、役員に登用されない社員は大幅に給与

が減るのに、50歳を過ぎての転職は難しく、慌てて準備を始めても高い収入は

期待できません。

 

昔は生活に窮したマジシャンは、できるだけ人目を避けて飲食店の厨房で働い

たり、タクシーの運転手に転職したものです。(実際に何人も知っています)

最近のトレンドは移動唐揚げ屋とか綿菓子売りなんだとか…マジか!?

若い頃はマジックの営業でブイブイいわせて、我が世の春がずっと続くという

勘違いをして陥穽にはまるものですが、いざ切羽詰まってから始められるのは

資格やスキルを使ったホワイトカラー的なものではなく、誰もが短期間で参入

できる単価の安いブルーカラーの肉体労働でしかないのです。

 

最近の若手マジシャンはいきなり営業活動を始めるのではなく、まずは複数の

マジックバーのレギュラー枠に入ったり、最初からマジックバーを開業してから

本格的にプロ活動を始めることが多いとも聞きます。

それはそれで如何なものかという意見もあるでしょうが、高い自己評価を基に

勢いでプロになってしまい、最終的にブルーカラーのバイトをするしかない今

の40〜50代のマジシャンよりは、20代の方がリスク管理ができているのかも

しれませんね。

 

かくいう私も世間では定年間近の初老で、勤め人と違って退職金もありません。

年金受給年齢も近いのですが、「ねんきん定期便」で知る受給額の少なさには

愕然とするばかり…健康で身体が動く期間も決して長くはないと思うので、今年

からの数年間は老後資金のため、物欲を満たすため、そして同伴出勤とクラブ

活動を続けるためにも、マジックを含めた「複業」を駆使して、一瀉千里で突き

進む覚悟です。

 

はい、今回はそういうことで。

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