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2018年8月

満たされ方

一般的に、人間は社会的承認を得ることで満たされています。
ブランド品が好きな人達は、その品物を持って、他人と差別化されることで
満たされているのでしょう。
ですから、その品物を他人の視線が全く無い無人島に持って行けば、所有
している意味は薄れるわけですね。
結局ブランド物のバッグや腕時計等の嗜好品は、ほぼ自己満足に過ぎないの
ですが、誰にも迷惑をかけずに経済の循環に大きく貢献していることも事実。

マニアやオタクと呼ばれる人達は、ある分野で珍しいモノを入手したり経験
をしたりして幸福を感じると同時に、その分野を好きな仲間からの社会的
承認を得られます。(マジック愛好家の場合はこれに近いですよね)

私はペットとして鳥と猫を飼っていますが(鳥はマジックのビジネスパート
ナーでもあります)、ペットは自分が必要であることを強く認識させてくれる
存在だし、「人と違って動物は裏切らない」と言い切る人は、日々の世話をする
ことで満たされているのです。

また世の中には「他人から好かれる」という高望みではなく「嫌われない」こと
で満たされる人も多くいるわけです。
確かに嫌われることは苦しい、できれば誰からも嫌われずに生きていたい、
そして承認欲求を満たしたい…でも、全ての人から嫌われないように立ち回る
生き方は、不自由極まりない生き方であり、同時に不可能なことなのですよ。
(巷間云われるのは…誰からも嫌われない人は、真の友人もいない)
自由を行使したければ、そこには必ずコストが伴います。
誤解を恐れずに言えば、対人関係における自由のコストとは、他人から嫌われ
ることなのですから。

マジシャンの世界で散見される、横並びで同じマジックを演じていれば安心
して満たされるという事象。(とりあえずボーリングの玉出して、ペットボトル
にカード入れて、テーブル浮かせとけば一安心…的なね)
「出し抜いてやろう」という野心が欠落気味のマジシャンが陥る「あのマジック
できる?」と訊かれた時、「できなければ劣って見えて不安になるから」とか、
「エージェントやクライアントのオーダーだから」という理由で同じマジックを
演じる状態は、心理学の「同調圧力」に近いのかもしれません。
一方で「他人に合わせる」というのは「やらされ感」が伴い、強いストレスの原因
になるのですよ。
だからと言って、自我が未確立のジェネリックマジシャンに自由に演らせた
ところで、所詮は誰かの劣化コピーを演ってしまいがち…。
(人の行く裏に道あり花の山…なのにね)
あえて流行りのマジックを演じて、「それテレビで観たことある!」という謎の
賞賛に歓喜して悦に浸る難病に罹患するパターンが多いのもまた事実。

同じ事象に相対した時になぜ齟齬が生じるのかと言えば、結局は満たされるか
満たされないのかという「受け取り方の違い」に帰結されるのでしょう…つまり、
共有している状況をどう感じるのかということ…例えば、二人でレストランに
入った時、一人が「静かで落ち着いたお店でいいなあ」と思い、もう一人は「客が
少ないということは不味いのかなあ」と思うように、受け取り方のポイントが
真逆であれば、満たされ方がポジティブとネガティブに分かれることも仕方が
ないことでしょう。

1985年のマジックコンベンションFISMマドリッド大会における二人の日本人
コンテスタントの逸話(都市伝説?)ですが…あるコンテスタントは出番前に
興奮剤を服用し、別のコンテスタントは安定剤を服用したとか。
ホント、切羽詰まった時の精神の満たされ方って違いますよね。
(ちなみに入賞したのは興奮剤の方でした)

人生の満たされ方はまさに百人百様…煩悩多き私の場合は、「仕事も趣味もやり
たいことは全てやりつくして、自分を頼って訪ねて来た者は拒まず、かつ見返り
など期待せず、逆に去って行く者は追わず、危険な匂いのする者からは笑顔で
立ち去り、舗装されていない道を見つけたらそこを歩くことに喜びを見出し、
ほくそ笑む程度の自己満足に浸りながら淡々と生きること。
そして時々夜のクラブ活動ができれば…」…そんなとこですかね。

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