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2018年5月

詐 称

人間の業には様々なものがありますが、一番カッコ悪いのは何か?
個人的な意見ですが…自身のコンプレックスを覆い隠すために「詐称」する
ことだと思います。

ここで誤解してはいけないのは、芸能人(マジシャンを含めて)が本番前に
入念にメイクしたり、煌びやかな勝負服を着たりするのは、自分をより良く
見せる意味合いも強いのですが、それはすっぴんを糊塗して詐称することで
はなく、テレビやステージで観客から見られることを生業とする者としての
「人前に立つ際の礼儀」(ドレスコード)に近いものだと思います。

業が深く最も情けないのが「学歴詐称」…2003年でしたか、元民主党の
若手代議士が学歴詐称で公職選挙法違反に問われ、議員辞職を余儀なく
されました。
近年でも、ハーフ顔のテレビコメンテーターが文春砲に学歴詐称を暴かれて、
キャスターとして決定していたニュース番組等、全ての職を失ったのは記憶に
新しいところです。
自分を大きく見せるとちょっと気分がいいし、誰にも迷惑をかけることもない
だろうと、普段は酒席で話していた嘘の学歴を、つい魔がさして公的文書にも
書いてしまう場合がほとんどだということですが、本人には大したメリットは
ないのに、とにかく詐称はインパクトがあるし、汚職報道や不倫報道よりも
記憶に残りやすく、生涯に渡って「恥」としてつきまとう、最もワリに合わない
嘘なのでしょう。

マジック界でも、詐称とまではいかなくても、眉唾モノの受賞歴や突っ込み
どころ満載のプロフィール、もう苦笑するしかない高収入の告白等…。
(実際の力量や暮らしぶりとの齟齬や乖離に対しては、どう折り合いをつけ
ているのかなと)
海外のコンベンションに客として参加したにすぎないのに、いかにも出演
したように勘違いさせようとする稚拙な経歴も散見します。
「演芸」の世界(特にマジシャン)の経歴は、社会通念上、「政治」や
「学術」ほどの厳格性を求められていないし、残念ながらほとんど興味を
持たれていないせいか、密かに盛っても世間から厳しく糾弾されることも
ないだろうし、当人もそのことをよく知っているからこそ、それに乗じて
大げさに称しているのでしょう。(世間からナメられていると同時に、当人も
業界をナメている証左)
まあ、ニュースバリューとしても、「女優の年齢サバ読み」や「アイドルの
スリーサイズや体重の詐称」以下でしょうからね。

ちょっと意味合いは違いますが、己のステップアップやポジション作りのみ
に拘泥し、虎の威を借る狐の本領発揮とばかりに、露骨に「師匠ホッピング」
を繰り返してプロフィールに箔をつけようとする輩も闊歩していますしね。

学歴であれ受賞歴であれ、いわゆる「経歴詐称」は、そもそも見栄っ張りで
ある上に嘘つき…ということ自体がみっともないし、何よりも「詐称しなきゃ
ならないほどのコンプレックスを、実はあの人が持っていたのだ」…という
グロテスクな内面が白日の下に晒されてしまうことが、物悲しくて恥ずかしい
のですよ。

鬼籍に入って久しくなりますが、作家の野坂昭如は早稲田大学卒業を「中退」
と詐称していました。
仲間がみんな中退なのに、自分だけ「卒業」ではカッコ悪いから…ですって。

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