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2017年2月

怒涛の2月

ゆっくり過ごすはずだった2月も、今年はプライベートも仕事も予定が
びっしりと入って少々うんざりしています。
もちろん自分の意思で入れた用事なら自業自得なのですが、とにかく意図
せず飛び込んで来る出来事が多いものですから…。(中洲のお姉様方にも
ごめんなさい。月末までは顔を出せそうにもありません)

2月5日は銀座のレストランで開催された、知人(医師)のお別れの会に
出席しました。
彼は2年前の夏に倒れて手術をしたものの、その後も体調は芳しくなく、
今年の正月2日に帰省先で逝去しました。
葬儀は地元で近親者のみで執り行われたために、親しかった友人達が銀座
に集まり、明るかった彼が喜ぶであろうと賑やかなお別れの会を開催した
次第です。
彼とは知り合って8年余りでしたが、生前の交際範囲の広さを物語る様に
海外からの参加者を含めて多くの友人が集いました。
本当に親しかった数人の別れの挨拶も実に清々しいもので、参加して良か
ったなと感じさせる会でした。
翻ってネガティブな話(今回の会とは無関係)ですが、ある人物のことを
普段から貶したり否定しておきながら、いざ逝去すると手の平を返すが如
くシレッと葬儀に駆けつけたり、故人との美談仕立ての思い出話を綴るな
どして、自らのポジション作りをするという業の深い輩を散見すると…
お天道様は知っているのに、おやおや何を今さらとしか思えませんな。
そんな輩の得意技は、きっとパドルムーヴなんだろうなあ。

そして偶然にも同じ2月5日、飼っていた老猫が旅立ちました。
私が東京から戻るのを待っていたらしく、帰宅して撫でてあげると安心し
たのか、まるで眠るように逝きました。
年は越せないだろうと予想していましたが、2月までよく頑張りました。
慌ただしくペット葬儀社に連絡して翌6日に葬儀、結局二日連続のお別れ
の会になってしまったわけですが、7日には私が金沢に発つ予定だったの
で、迷惑をかけないように私が福岡にいる間に…と気を遣ってくれたのか
もしれませんね。
葬儀が始まるとさすがに悲しみがこみ上げて来ましたが、葬儀社の代表が
お経を唱えている最中に本人の携帯が鳴り出し、慌てる後ろ姿が笑えて、
少しほっこりしましたねぇ。
実は11年前に旅立った猫のお骨も保管していたので、来月一緒に合同散骨
していただく予定です。
爪研ぎでボロボロになっていた壁紙は年末のリフォームで張り替えていた
ので、今回は傷だらけにされたソファを新調…色々な思い出の品物も大切
だけど、前進するためには断腸の思いで処分することも必要ですね。
若い猫もいるので、いつ新品のソファがやられるかヒヤヒヤの日々です。

2月12日、日本奇術協会80周年記念祝賀会にMr.マリックご夫妻、弟子達
と一緒に参加しました。
会場の椿山荘は、仕事やプライベートの宿泊でも何度か訪れたことがあり
ますが、ここの庭園は本当に美しいですね。(ただ宴会の料理の粗末さは
なんとかならんもんかね。暴動が起こってもおかしくないレベル)
12名のコンテスタントによるFISMアジアステージ選考会を拝見。
アシスタントを伴うペア芸は最後の和妻のみで、しっとり系のピン芸が多
いなあと感じましたが、まあこれがコンテストのトレンドなのでしょう。
祝賀会〜ガラショーでは、協会会長の渚晴彦氏、島田晴夫氏、マギー司郎氏、
Mr. マリック氏、プロフェッサーサコー氏、小野坂東氏…というマジック界の
レジェンドが一堂に会する光景は、一瞬CGなのではと錯覚するほど。
たまには見えない垣根を取り除いたこんな日があってもいいのかもしれま
せんね。

ところで今回の選考会でも、演技で火や動物を使う人はほとんどいません
でした。
世界のコンベンションを視野に構成すれば、取り入れない方が無難だし、
小回りが利きますから、その観点では正解だと思いますが、20代の頃、
調教した鳩を携えて海外遠征をしていた私個人としては寂しいですねぇ。

何度か過去のエントリーにも書きましたが、特に首都圏を中心に火気や
動物を使いづらい会場やスタジオが増えています。
最近、東京と大阪のマジックバーで、しっかりと調教されたクオリティの
高いダブアクトを見る機会があって各々と挨拶を交わしましたが、頑張っ
ている若手の彼らにはダブアクターとして演じ続けてもらいたいだけに、
今後もコンプライアンスが厳しくなって、せっかくのアクトが限られた
お店でしか見れなくなるとしたら残念ですね。

翻って九州の場合、伝統的に火や鳩を使うマジシャンが多かったせいか、
その辺りはまだ幾分おおらかで、私も今のところは問題なく火も使うし、
大型鳥も飛ばしていますが、先を見越して手順の再構成をしています。
しかし、まだ比較的自由に演じられる風土や環境なのに、残念ながら代表
芸として全国に誇れるレベルの鳩出しができるダブアクターが、現在の
九州には一人も存在していないのが寂しい現実。
本気で調教することもなく、鳩出しをやれる現場がなくなればさっさと
諦めて、お金の匂いがすればまた始めるという商売っ気たっぷりの安直な
向き合い方をすれば、それはその演目を心から愛していないという証左。
作品として完成させることなど眼中になく、田舎の温泉場でも生活費を
稼げればそれでいいという営業ズレのなれの果てなのでしょう。
ダブアクト(他のアクトでも同じですが)として昇華させるには、営業で
使えるか金になるかなんてセコい下心は度外視して、真摯に向き合い寝食
を忘れて取り組むくらいでないとダメなんですよ。
若き コンテスタントの頃、みんなお金になるかなんて関係なく、アクトを
完成させるために、ひたすら鳩やカードやビリヤードボールの練習をして
いたはずです。
「鳩を出す人」と「ダブアクター」は別物なのです。

おっと、熱く語りすぎて少々辛辣な文脈になってしまったので、口直しの
意味で最後は美味しい食べ物の話題を…先日マジシャン仲間で食べた焼き
そばが最高に美味しかったので紹介します。(私は2週連続で食べました)
一人前としては、おそらく日本一高い焼きそばでしょう…ホテルニューオー
タニ東京SATSUKIの佐賀産和牛香味焼きそば(税別3,500円)
スパイシーなソースに温泉卵がからむと絶品で、値段の価値はありますよ!
こちらの鉄板も熱いので、ぜひご賞味あれ!

「B級グルメの焼きそばでも、素材と調理次第で一流店のメニューに並び
ます。自分も同じマジックができるのに…と日頃悩んでいるマジシャン
こそ、何が違うのかをこの焼きそばから学ぶべきです」 (Mr.マリック談)

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先延ばしの罠

1月は新年会が続いたものの、筋トレとルームウォーカーの効果なのか、
なんとか体重は現状維持。
1月最後の日曜日はマジシャン仲間達と焼肉パーティー。(日曜日なら
マジックバー関係者も参加しやすいですからね)
近況報告や今後の展望等、盛り上がる話題には事欠きませんでした。

早くも2月になってしまいましたが、新年を迎えた時、多くの人が今年
一年の抱負や目標を掲げたりすることでしょう。
そしてそれを公に宣言することによって自らを追い込んで成就させる人も
いれば、心の内に秘めたまま気宇壮大に邁進する人もいることでしょう。
私も本年最初のエントリーでは、今年は人生を謳歌するために適度に欲深
く健康に留意しながら頑張るつもりだと「ざっくり」書きましたが、何を
どう頑張るのかを吐露するのは照れもあったり、隠匿すべきこともあるの
で(3つの目標を立てましたが)、なかなか公にはできないもので…。

年頭には目標に向かって一瀉千里で突き進む決心をしても、そこは人間、
つい先延ばししがち。
ただ、この歳で無理な目標を掲げて繰り返し先延ばしという陥穽にはまる
と、若い頃には感じなかった残された時間の少なさから来る焦りと、己の
意志の弱さによる自己嫌悪とも相まって、何もかも諦めてしまうのではと
過剰に心配してしまうのですよ。
結局、先延ばしの罠を避けるには、将来の自分を過信しないことに尽きる
んですね。
何事も(マジックにおける課題も)将来の自分がきちんと解決してくれる
であろうと信頼していると、あにはからんや将来の自分も今の自分と大差
ないわけです。
むしろ先になるほど問題が肥大化かつ深刻化する上に、時間がなくなって
いるだけに本来の力を発揮することもできず、解決の道が閉ざされて手遅
れとなるのは自明の理。

以前のエントリーにも書きましたが、私の場合、マジックも車も本音では
「時代に抗う」ものが好みなのですが、近年のマジックを取り巻く環境は
テレビスタジオでは火気や動物がNGだったり、結婚式場等においてショー
で使用するBGMの著作権問題等、面倒なコンプライアンスが厳しくなる
一方のご時世にあっては、各々が諸問題に即した対策を先延ばしすること
なく準備することが焦眉の急であることは論を俟ちません。

少し脱線しますが、私はマジックをクロースアップやサロンやステージと
いった所謂「規模」で区別することには、昔から違和感を覚えている一人
です。(ただ説明の都合上、使うことはありますが)
例えば、あるマジシャンにちょっと規模の大きなイベントの出演を依頼し
た時、「いやあ、僕はクロースアップ専門なのでちょっと…」と断られたと
したら、依頼した側が「はぁ?」となっても無理はないのですよ。
一般人のイメージでは、クロースアップマジシャンもイリュージョニストも
メンタリストも区別なく、み〜んな「マジシャン」なのですから。

飛行機の中でCAが「急病の方がいらっしゃいます! お客様の中でお医者
様はいませんか!」と叫ぶ緊迫した場面がありますが、この場合の「医者」
も内科だの精神科だの眼科だのと関係ないわけです。(もし私が乗り合わ
せていたとしたら、「お医者様の中でお客様はいませんか!」と呼びかけ
られた時だけ躊躇なく手を挙げますけどね…あ、不謹慎でごめんなさい)
医者でも専門外の疾患については自信がないように、マジシャンの場合も
自分が売りにしている演目ができない上に、慣れていないものを演じなけ
ればならない状況は不安にもなるし、納得できないパフォーマンスでは
堂々とギャラを受け取りづらい気持ちになるのも無理はありません。

閑話休題。
そういうことで私自身の話に戻れば、時代や環境に左右されず、何よりも
自分のキャラクターに合うサロンマジック(あえて規模で表現すれば)を
さらに充実させることが今年の3つの目標の中の1つです。

1月半ばの新年会のショーは、あるレストランの広めの個室に長テーブル
が二列に置かれて40名が着席、演技スペースの背景は壁一面鏡張りで背後
は丸見え、照明音響設備は無しという決して演技し易い環境ではなかった
ものの、この規模や環境でのショーを前提にずっと研究と準備をしてきた
ので、その場にマッチしたごくシンプルな演目を問題なく演じることがで
きて、やっとそれなりの手応えを感じ始めています。
昔の自分なら善かれと思って(あるいは絶対に必要という理由で)、自前の
音響セットやスパイダーカーテン等を持ち込み、場違いで過剰気味な演技
をしていたかもしれませんね。
そうすると感謝されるどころか、客からも店側からも迷惑がられることも
あるものです。
出番の後の道具や機材は邪魔になるし、観客全員が会場を出るまで撤収も
できませんしね。

そんなこんなで様々な制限がある現場でも、過去演じてきた大味なステー
ジマジックの不思議のエキスを抽出してコンパクトに演じたり、たった
一人を相手に演じてきたクロースアップマジックを、なんとか観客全員が
理解して不思議が伝わるように本能的にアレンジできているのは、若い頃
から多くのマジックを演じてきたことが昇華されつつあるのかなと…。
冷蔵庫の残り物でも、ある程度見栄えの良い料理が作れたという感じです
かね。

自分の年齢、取り巻く環境や時勢を考えると、今後の主戦場は高級クラブ
のテーブルホッピングでもなければホテルや劇場でのイリュージョンでも
なく、あくまでもスキミング戦略に基づいたこのサイズの現場のサロンマジ
ックに否応なく収れんしていくであろうと予想しているし、またそうある
べきだと思っています。
そうであれば尚更、この歳で様々な課題を先延ばしにするわけにはいかな
いなと意を強くしている次第。

ある調査で報告された事象です…
3つの課題があって、1週間ごとに1課題を終えなくてはならない場合と
3週間後にまとめて3課題の成果を提出するという場合を比べると、明ら
かに前者の方が成果が上がることがわかっているようです。

レンタルDVDは期日までにきちんと返却するのに、時間がある時に観よう
とハードディスクに録り溜めた映画はなかなか観ないもの。(有料か無料か
の差もありますが)…ことほど左様に、人間は締め切りがなく時間がある
時ほど先延ばしの陥穽にはまりやすい傾向があることを、時々は自戒を込
めて思い出しながら日々過ごすことが重要でしょうね。

私はいまだに、練習を先延ばししてコンテスト当日を迎えてしまうという
学生時代の悪夢を見て目が覚めることがあります。

さて、今月は久しぶりに多くのマジシャンが集うイベントに顔を出す予定
です。


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