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2015年9月

時代に抗うマジック

コンプライアンスが強化されつつある現代社会…大企業でも、たった一つ
の不祥事が原因で信用が地に堕ちるこのご時世であれば、それもむべなる
かな。(フォルクスワーゲンどうなるの?)
 
マジックを演じる環境も、時代と共にコンプライアンスが厳しくなって、
会場サイドから「火気厳禁! 動物なんてもってのほか! 紙吹雪で会場を
散らかすべからず!」などと機先を制せられて思わずシュンとうつむき、
結局無難な売りネタで演技を構成…結果、金太郎飴のごとく似たり寄った
りの営業マジシャンが増えていく一因にもなっているわけです。
 
そう考えると、昔は緩かったというか、おおらかだったというか、一流
ホテルの宴会場でも火はボウボウ出すわ、鳩は飛ばすわ、特効でドッカン
ドッカン煙は出すわと、やりたい放題でそれなりの報酬を頂いていたわけ
ですから、オイシイ時代を生き抜いたなあとしみじみ感じます。
 
老婆心ながらアドバイスをすれば、これからプロ活動を始めるマジシャン
は、できるだけファイヤーマジックや動物を使うマジックは避けた方が
賢明でしょうね。
私自身がそうだっただけに、そのやりたい気持ちはよ〜く理解できるけど
始めるのは容易でも、ウケるだけにやめるのは困難だし(薬物と一緒)、
レパートリーの幅を広げた結果、わざわざ仕事の幅を狭めることもないと
思いますよ。
 
ファイヤーや動物のマジックが代名詞になるくらいの実績を作って、その
演目が前提でのオファーであれば何の問題も無いのですが、一番やっかい
なのは、その演目を強く望んでいるクライアントからの直接のオファーで
あっても、会場サイドのコンプライアンスでNGになったり…ハードルは
色々とあるわけですよ。
この点に関しては、時代に抗わない方が賢明だと思いますよ。
無理筋を通したところで、気持ちの良い演技はできませんからね。
 
どうしてもやりたい放題を貫き通したければ、自分専用の店や劇場を持つ
しかない時代になったり、近い将来にはマジックショップのカタログから
ファイヤーと動物マジックのカテゴリーはなくなるかも知れませんね。
最近のコンテストにおいても、予選の段階からファイヤーはNGの場合も
あるし、動物に関してはヨーロッパ、特にドイツを筆頭にペットショップ
の規制もかなり厳しくなっているくらいですから、動物を使うマジシャン
は肩身が狭くなる一方でしょうね。(フランスのバードマジシャンとして
有名なアルファは元気なのかな…久しぶりに会いたいなあ)
 
私の場合、時代に抗ってファイヤーとバードマジックを続けていますが、
どうしてもNGの時、それ抜きのステージは勝手が違い手抜きしたようで
物足りなく感じる時期もありましたが、出番直前に慌ててセットするスト
レスがないだけでも精神的にかなり楽になるのか、自然とトークが冴えた
り、既存のレパートリーがブラッシュアップするんですよね。
得意料理が作れない時は、冷蔵庫の残り物でも美味しい料理を作るように
なるという、災い転じて福となすとポジティブに考えるべきですね。
つまり、ファイヤーや動物を売りとするプロとして食べていくには、それ
に劣らない「プランB」は必須ということです。
 
30〜40年前、ファイヤーマジックで一世を風靡し、独壇場の魅力を漂わ
せていたジミー忍氏や、元祖動物マジックのジャック武田氏…現代ならば
真正面から時代に抗うことになるようなマジシャンは、残念ながら二度と
現れないでしょうね。(お二人共、その晩年の十八番芸に到達する前に、
かなりのスライハンドの名手でしたしね…それだけでも凄いプランBです)
 
あのようなパワフルな先人達を生で見て強い影響を受けた上で、おおらか
な時代にやりたい放題やれた私の世代は、本当に恵まれていると思います。
 
昔の映像を整理しながら思わず見入ってしまい、ノスタルジーに浸ってし
まった一日でした。
 

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良い習慣と悪い習慣

まずは近況から…。
 
Mr.マリック氏が福岡へ。またまた馴染みのステーキハウスで最高のお肉
を堪能、その後流れたバーには、偶然一人のアマチュアマジシャンのおじ
さんが…びっくりしたのもつかの間、せっかくだからマリックさんに見て
もらったら?との私のムチャぶりに応えてカウンター内に入り、オロオロ
になりながらもマリック氏の眼前でやりきりました…エライ!
良い思い出になったことでしょう。
店を出てマリック氏がボソッと…「あれ、何がやりたかったのかなあ?」
こけそうになりました。
 
先月後半のある日、東京へ発送するイリュージョンを運送屋に引き渡した
後、物置のスライドドアが経年劣化からか歪んで閉まらなくなり大慌て。
雨の中なんとか応急処置をして、先日は業者による解体と新品の設置。
予定外の出費でしたが、大切な道具を保管するためには背に腹は代えられ
ませんね。
 
帝国ホテルでのイリュージョンショーは無事終了。
ショーの前日、当日、翌日と多くのマジシャン達と会食や酒席を共にしま
したが、若手も中堅もみんなしっかりとした考えを持っているし、地に足
をつけて各々の道を歩んでいることに感心しきり。
愚痴るのは、先が見えたベテランだけかもね。
 
五輪エンブレム問題…あのままやり過ごすのかと思いきや、急転直下の白
紙撤回となりましたが、致し方ないでしょうね。
最近は我も我もとプロデザイナーから一般人まで新エンブレムを発表して
いますが、斬新で素敵なデザインから、お里が知れるというか、無責任で
品性下劣なおふざけデザインまで玉石混合状態…どうなることやら。
 
さて、ここからが本題…前回に続いて習慣について。
 
習慣にも、良い習慣と悪い習慣があるもので(あくまでも各個人にとって)
普段は比較的ストイックな食生活を心がけてはいるものの、この夏のあま
りの暑さで、ついアイス5個入りボックスを買い、食後のデザートとして
毎日1個ずつ食べていたら、なくなった6日目にも無意識に冷凍庫を開け
てしまうという行動が…毎日ラーメンというほど身体に悪いことではない
にしても、習慣化というのは油断ならないなと感じた次第。
 
健康に良い習慣…例えば、ジョギングとかウォーキングを始めた当初は、
ああ今日もやらなきゃという義務感に苦しむものですが、これを3ヶ月も
続ければ、脳内にベータエンドルフィンというホルモンが分泌されるよう
になって、やらずにはいられなくなるのです。
 
私もウォーキングと筋トレによって、ようやく20歳代前半の頃の体型を
取り戻して静かな自信になったし(昔の燕尾服を着てみたら余裕だった
ので、また鳩出しでもやるか…ウソ)、この習慣を続けていく限り、そう
簡単にはリバウンドはしないでしょう。
最近流行のトレーニングジムに2ヶ月で30数万も払うよりは、ある程度は
自力で結果にコミットして、自分にご褒美でも買った方が有意義だと思う
んですよね。
 
こんなことを書くと、それは単なる偶然だと主張する人もいるでしょうが
この5月、現在の体型に合わせて例のジム費用と同額のアルマーニのジャ
ケットを購入した直後、なぜか立て続けにVIPのパーティーに招かれて元
が取れ、本当に得した気分。
服にしろ腕時計にしろ、そういうちょっと背伸びをすることで「良い仕事
を引き寄せる習慣」が存在することは、過去の多くの経験から確信してい
ます。
思い返せば鳥や道具や衣装でも、仕事で必要な時には躊躇なく投資をして
リスクを取る習慣がなければ、思い描くショーも実現できないはず。
 
ケチと臆病は矯正できない…谷沢永一 著 「人間通」参照
 
大昔、秋葉原の紳士服店カインドウェアの在庫処分バーゲンで、激安の
ステージ衣装を詰め込む袋を配布されて並ぶのが習慣だったけど、今でも
やってるのかなあ…あれも懐かしい思い出です。
 
自身のトレーニングや地道な鳥の調教を続けていると、たま〜に「意志が
強いんですか?」と聞かれることがありますが、ぜーんぜんそんなことは
ありません。
習慣化しただけのことで、努力しているなんて微塵も感じません。
意志が弱いからこそ、自分に有益だと思ったことは、さっさと習慣化する
ことが習慣になっているだけです。
 
つまり、すぐに行動できる環境を作って習慣化してしまえば、何でも苦し
まずに続けられるということ…マジシャンなら、今一番練習している物
(カードやコインやボール等)を、いつでも手が届く所に置いている人も
多いはず。
それが習慣化していれば、過酷な練習も苦になるはずがないわけですよ。
私の場合も、倉庫の奥に置いてしまった道具はすぐに手に取れないために
いざリクエストされると億劫になるし、もし自宅から遠く離れた場所で鳥
を飼っていたとしたら、とても日々の調教なんてやらなかったでしょう。
 
ですから、やめたい習慣(人間関係もね)があれば、遠ざけたり面倒臭い
過程を一つ付け加えると効果的なようです。
例えば、読書等の有益なことに時間を使おうと思いながらも、ついテレビ
を点ける習慣がある人は、観終わる度にリモコンの電池を抜いて引き出し
にしまうようにすれば、テレビを観ること自体が億劫になって、効果絶大
らしいですよ。
 
一般的には、享楽的な習慣ほどやめられないもので、タバコをスパスパ、
ラーメンをズルズル、酒をガブガブ、愚痴をダラダラという生活を続けた
あげく、ふと鏡を見れば、そこには老後不安に苛まれるだらしのない体型
の醜悪な中年男が映っているはず…おお怖っ!
こういうタイプも決して意志が弱いのではなくて、多くの悪い習慣に操ら
れているわけですから、実は可哀想な人なのです。
(で、クラブのおねえちゃんとの同伴の習慣は?…う〜ん、良い悪いとは
関係無くやめるつもりはない!)
 
最後にちょっと脱線…ラーメンといえば、過日、テレビの豪邸拝見番組で
観たのですが、来来亭という全国チェーン店の豆田社長…大の腕時計好き
らしく、リシャールやロジェ等を所有し、総額は約1億円だとか。
あの時計はラーメン何杯分?と思わず計算してしまいましたが、時計の好
みも一致しているので、ラーメンの味も私好みかも…福岡にも店舗がある
ので、今度行ってみましょうかね。
美味しかったら、今後微力ながらも(体型に影響しない程度に)売り上げ
に貢献しますので、素敵な腕時計コレクションを充実させて下さい。
自分もラーメンに満足して、払ったラーメン代が高級腕時計に変化する…
良い習慣、いや理想的な循環じゃないですか!
 

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