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間接自慢

「間接自慢」…最近、新聞で知りました。
最初は「関節自慢」と読み間違って、関節の柔らかさを自慢することかと
勘違いしてしまいました。
 
実際の意味は、SNS上にアップする写真に「ちょっとだけ自慢を写りこま
せる」ことのようです。
ある例では…若い女性がショッピングを楽しんだことをSNSにアップして
写真中央には数個の紙袋が写っている。
一見、なんでもない写真だが、隅を見ると撮影した本人のきれいにネイル
された足元が写っている…実は、このネイルを「自慢」したかったという
具合。
別の例では…ある若者がツイッター上に掲載したドライブ途中に車中から
撮った東京タワーの写真には「大好きな東京タワーがゆっくり見れてよか
った」というつぶやきが載っている。
しかし、本人が見てほしいポイントは東京タワーとは別にある。
タワーが主役ならもっと寄った写真を撮ればいい。
写真はなぜかちょっと引いていて、左ハンドルが写りこんでいる。
ハンドルの中央を見るとフェラーリの馬のマーク…つまり、フェラーリを
間接自慢していることを見抜かれて「主役はタワーではなくて、お馬さん
でしょう」というコメントが続々書き込まれた…。
 
これって、現在の人間関係がソーシャルメディアでつながり過ぎた「ソー
シャルメディア村社会」になってしまった証左でしょうね。
一言つぶやけば、あっという間に拡散してしまう怖さはあれど、あからさ
まな自慢をして目立ちたくはないが、ちょっと自慢をして優越感を保って
いたい…そんなジレンマから生まれたのが「間接自慢」なのでしょう。
つまり、ソーシャルメディア村社会から村八分になる覚悟まではないとい
うこと。
 
美容クリニックを受診する人の心理はまたちょっと複雑で…顔に手を加え
たことがバレたくはないけれど、せっかくきれいになったのに誰にも気付
かれなかったら、それはそれで寂しいとかね。
 
今年の2月、銀座でのエピソード…ある自称実業家が、たまたま某超有名
マジシャン(私が強引にお誘いしてしまった)と遭遇し、舞い上がって
一緒に写真を撮ってもらった直後、フェイスブックに、あたかも待ち合わ
ていたかのように「今夜はなかなか濃いメンバーで飲んでいます」と写真
をアップし、「凄いですね」というコメントを沢山もらって悦に浸るなん
てのは、調子に乗って「盛り過ぎ」だって。(私もヒデ氏も唖然でした)
 
普通はもっと可愛げがあるもので、出番前のステージ袖の一コマに「清水
買い」したイリュージョンやATAケースを写りこませたり、本来は人知れ
ずやるべきなのに、「今日は○○にボランティア出演でした」とわざわざ
SNSで報告…とかね。
マジシャンの場合、「バレないこと」が絶対命題かつ最も得意なはずの
職業なのに、「間接自慢」というか「間接虚勢」の隠し方のテクニックは
タネと違ってイマイチなんですよねぇ。
いっそ「直接自慢」した方がスカッとするはずなのに…こんな小さなマジ
ック村でも、村八分が怖くて嫌われたくないのでしょう。(いや、むしろ
小さい村だからこそ怖いのかな…あちこちに愛想良くしとかないと食べて
いけないしね)
 
しかし、非難を恐れて自慢だと認定されかねない事柄を一切アップできな
いとすれば、そもそもSNSなんて成り立たないと思うんですよ。
だって「自分の日常を知ってほしい」という理由でアップし、「あの人の
ことが気になる」という欲求でブログ等を覗いているわけですから、見た
り見られたりが前提であれば、そこに若干の「化粧」が施され、「自慢」
が挿入されるのは仕方がないでしょう。(盛り過ぎはダメよ)
本当は「直接自慢」したいのに、「嫌われたくない」、「イタい奴と思わ
れたくない」とビクビクしながらSNSを続けることは、精神衛生上良くな
いと思いますよ。
 
まあ、匿名で他人を貶すことでストレスを発散するような輩は、薬物中毒
さながらにターゲットを探し求めているし、嫌いな人であれば余計に気に
なるのか、やめときゃいいのにその人のブログ等をわざわざ覗いて、やる
事なす事全てにカチンときちゃうんだから。(いやはや、まるで日本が
やる事に、いちいち難癖つけてくる韓国みたい)
 
私はアナログ人間なので、一方通行の当お知らせ以外にはSNSを一切して
いないので、幸いこの類のことで悩まされることはありませんが(ご意見
は直接メールで来ますしね)、こんなご時世では、例えばツイッターに
「腕時計を買った」とアップするだけでもボコボコにされかねないわけで
すよ。
でも、人生の中で腕時計を買うのは比較的大きなトピックなわけで、それ
すらアップできなかったら、日記なんて読者がカチンとこないように気を
遣う退屈な内容ばかりになっちゃうでしょうに。
「ラーメン食べました」ならセーフで、ラーメン食べてる写真になにげに
腕時計が写りこんでいたら…即アウトってか?
 
ちょっと話が脱線しますが、とんねるずの番組で、芸人にいきなり自腹で
高級腕時計を買わせる企画をやっていますが、あれが面白くて毎回楽しみ
にしています。(毎週やってほしいくらい)
 
過日、一連の「間接自慢」の事象を友人の精神科医とお茶した際に話して
みたところ…それは「頑張っているのに報われていない」というコンプレ
ックス、そして何より人間の根源にある「承認欲求」に起因しているんで
すと。
 
ところで、スライハンド好きなマジシャンがよくやる「フラリッシュ」は
そこそこイケてる自分をなにげに認めてほしい間接自慢?
それともダイレクトに器用さを見せつける直接自慢?
 

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