« 2015年5月 | トップページ | 2015年7月 »

2015年6月

本の紹介

・「服を買うなら、捨てなさい」 地曵いく子 著 (宝島社)
 
煩悩多くして物欲が強く(買い物依存症に近いかも)、断捨離してもすぐ
に服が増えてしまう私に対して警鐘を鳴らしてくれる有り難い本でした。
 
どうせ今年の上半期ベストセラー第一位の「フランス人は10着しか服を
持たない」のパクリ本だろうと思って読んでみたところ、ワードロープ論
に特化した専門書でしたね。
「フランス人…」の方は、どちらかというと「シンプルライフ」の推奨に
重心を置いていますしね。
 
この本には「これさえ買えばいい」という項目はありません。
その代わり、捨てる服、残す服、買っていい服、ダメな服を具体的に説明
しています。
 
つまり、自分のスタイルを考えて作るという方法ですね。
メインターゲットは40〜50代の女性のようですが、予想外に男性にも読
まれているそうです…衣装で悩んでいるマジシャンにもオススメです。
 
 
・「女医の花道」 おおたわ史絵 著 (朝日文庫)
 
テレビのコメンテーターとしても露出が多いおおたわ医師…実は東京女子
医大で私の妹と同期で、私の噂も聞いていたらしく、私の生き様について
ちょっとだけ触れています。
 
 
・「肩書き捨てたら地獄だった」 宇佐美典也 著 (中公新書ラクレ)
 
元経済産業省の官僚が書いた本で、安易に独立や起業を奨励する風潮に、
警鐘を鳴らす内容です。
前半は、著者が官僚という肩書きを失ってから、何とか生計を立てるよう
になるまでの体験談、後半は、普通の団塊ジュニア世代のサラリーマンは
どのように生き抜くべきかを論じています。
 
官僚時代は「宜しくお願いします」と頭を下げていた人達が、一転「お前
は本当にどうしようもない奴だな〜」と蔑むような目で見られたエピソード
などは、まさに「地獄」と呼ぶにふさわしいものであったようです。
 
なんだかんだ言っても、いまだに肩書き次第で人生が翻弄される社会なの
ですから、世間ウケする肩書きを欲しがる風潮が蔓延するのも納得です。
 
しかし、中身はともかく肩書きだけを手に入れるなら、色々な裏技がある
のも事実ですよ。
例えば、どうしても「一流大卒」という肩書きが欲しいだけなら、本人の
向き不向きに関係なく、比較的競争率と偏差値が低い学部を狙えば可能性
は高くなるわけですよ。
 
マジック業界の昔話ですが、どうしてもコンテスト入賞の肩書きが欲しか
ったのでしょう…本来自身がウリとしているはずなのに、競争率が高い
そのカテゴリーを避けて、競争率の低い(たった数人)カテゴリーにエン
トリーしてギリギリ入賞という裏技もありましたからね。
まあ、それでも入賞は入賞…色々な知恵があるものです。
そんなこんなで資格が要らないこの業界は、チャンピオンだらけになって
いく…平和です。
 
 

|

色の力

色の力による先入観というのがありますよね…例えば、トイレの表示で
青が男性用で赤が女性用とか。
これ、男性のマークを赤に、女性のマークを青に入れ替えたとしたら、
おそらく人型よりも色で判断して間違ってしまうでしょうね。
子供のランドセルについて見ると、最近では実にカラフルになって、性別
に関係無く、子供の好きな色を選ぶ傾向になっているようですが、一昔前
は、男の子は黒、女の子は赤というのが一般的でしたよね。
 
世間では、血液型ほどではありませんが、好きな色で性格を決めつけると
いう傾向ってありますよね…オレンジが好きな人は陽気で社交的だとか、
ブルーが好きな人は冷静沈着だとか。
(因みに、血液型で性格を決めつけるのをブラッドハラスメント、略して
ブラハラと言うらしいです)
 
しかし、好きな色によって性格を判断するなんて、少々無理があると思う
んですよ。
だって、その時の気分やTPOに合わせてコーディネートしているのに、
その日に着ている服や小物の色だけで画一的に性格を決めつけるって…。
(まあ、コーディネートセンスは問われるかもしれませんが)
 
でも、自身が意図を持って主張する色で、他人に対してイメージコント
ロール(威圧感を与えたり、誠実そうに見せたり)ができるのですから、
やはり色の力は凄いですよね。
 
また、年齢やトレンドに左右されて、好みの色が変遷する傾向があるのも
事実だと思います。
例えば、オッサンになるとベージュやブラウン系、極端ですがオバチャン
がピンクやヒョウ柄を選択しがちなのはその典型例でしょう。
 
私は数年前から、なぜかブルーとグレーが好きになって、クローゼットの
服や小物もその系統が増えています。
思い返せば、4年前にブルームーンカモフラージュグレーに一目惚れ
したのが始まりだったような…。(カモフラ柄は、近年のファッションの
トレンドですしね)
 
さて、宣伝ではありませんが、6月5日からフランク・ミュラー日本限定
の新作「カモフラージュブルー」が発売開始となりました。
さっそくブティックで実物を見せてもらいましたが、このミリタリーで
クールなブルーグラデーションはホント美しい。
先の2本を持っていなければ(足して2で割ったイメージだし)、間違い
なく触手が伸びていたはず…ああ、カッコいいなあ。
 
ところで、一般人から見たマジシャンのイメージカラーはブラックが強い
ようですが、その理由は黒魔術の怪しげな雰囲気や、近代の代表的な衣装
となった燕尾服、シルクハット等の印象が影響しているのでしょう。
 
個人的に前々から思っていたことですが、人体切断やギロチン等の拷問系
イリュージョンなのに華やかな色彩の道具を見ると、どうしても違和感が
あります。
やはり拷問系イリュージョンは、鉄や木目等の素材を基調とした冷徹な
デザインの方が、現象に説得力をもたらすはずです。(中国製なのかは
知りませんが、ケバくて安っぽい配色のギロチンだと、演者の意に反して
本当に切れてしまうのでは…と逆の意味で恐怖を感じることもあります)
 
また、マジシャン特にダブアクターの中には自身のテーマカラーに拘って
アクトで使用するシルクの色を統一している人もいます。
例えば、ランス・バートンはパープル、ミッチ・ウイリアムスはピンク、
ジェイソン・バーンはブルー&イエローでアクト全体を構成しています。
 
私はダブアクトに凝っていた若かりし一時期、ブラック&ホワイトという
モノトーンな色合いに拘っていたのですが、結婚披露宴等のおめでたい
イベントでは相応しくないという声を頂戴したこともありました。
(葬式カラーと勘違いされますしね)
特に、スウェーデンのエル・デュコの名作「ゼブラシルク」は好んで演じ
ていたものです。
結婚式等のおめでたいイベントでは紅白が常識となっていますが、この
紅白縦縞のデザインは、まだ仕事を選べない若い頃に、苦労して出演して
いた炎天下の夏祭りのステージを彷彿とさせるので、トラウマというか、
私的にはダサくてネガティブなイメージしかないのです。
ゼブラシルクのコピー商品で、某ショップの紅白縞シルクのバージョンが
ありますが、シリアスなアクトの中に投入するのは、ちょっと抵抗があり
ますねぇ…。(コピー商品はダサイという典型例ですね)
 
紅白縞シルクといえば、あの方でしょう…そう、マギー司郎師匠!
もう、あの使い方が決定版ですよね。
これこそが、まさに「マジシャン本人が持つ色の力」の凄さなのですよ。
 
よく見かける「クロースアップからイリュージョンまで〜」というプロ
フィール…ありがち過ぎて、もはや無色透明。

|

« 2015年5月 | トップページ | 2015年7月 »