先進か伝統か
アップルの腕時計端末「アップルウォッチ」が世界各地で人気となって
いるようです。
中国では、約240万円の最上位モデルが予約開始後数時間で在庫切れに
なったとか…さすがにインドと並ぶ金(ゴールド)好きな国民性が顕著
に出た現象ですね。
数年で時代遅れになりかねない先進の端末に、そこまで出費できるのは
「見栄」と「金の資産価値」に重きを置いているのでしょうか。
有名ブランドがひしめくスイス勢は、世界の腕時計市場の「天王山」で
あるその中国市場でアップルウォッチを迎え撃ち、各々のブランド力で
対抗するようです。
「スイスのメーカーは頭をかかえている」…このアップルのトップデザ
イナー、ジョニー・アイブ氏の発言に、スイスのタグ・ホイヤーの最高
経営責任者ジャンクロード・ビバー氏が「アップルウォッチは所詮子供
向けだ!」と反論しました。
で、スイス勢はアップルに対抗して、今後矢継ぎ早にスマホと連動する
製品を開発するんだとか…。
あーあ、相手の得意な土俵に乗ったらダメだって。
伝統的な機械式腕時計は、現代の市場においては利便性や正確性を求め
られるものではなく(私自身、正確な時間を確認する時はスマホを見ます
しね)あくまでも嗜好品であり、名刺代わりだったりステータスの誇示、
そして何よりセンスの発露なんですから、そこに拘り抜いた男達の腕で
毅然と時を刻み続ければいいんですよ。
腕時計愛好家が求めるのは、語り伝える価値のある、何十年にも渡って
時を刻む時計を作るために注がれた伝統的な職人技のストーリーがある
から。
さらに言えば腕時計愛好家が一流職人の腕時計を買うのは、職人がその
時計を完成させるまでに払った努力の歳月だけを買うのではなく、偉大
な時計師になるまでに払った自己犠牲の積み重ねを尊重して買っている
のでしょう。(だからこそマジックの道具でも、コピー商品を作ったり
それに手を出すプロは認められないのです)
スイスの腕時計産業は、70年代のセイコーによるクオーツショックに
よって、崩壊寸前にまで追いつめられながらも、地道に機械式を作り続
けたからこそ日本市場を含めた現在の隆盛があるのですから、ブレずに
伝統を守ってほしいものです。
生活スタイルを根底から変えて、新たな商機を生む可能性を秘めたウエ
アラブルですが、活動量計として広がることはあっても腕時計型でなけ
ればならない「これぞという用途」が見つかっていないのが実情なので
はないでしょうか。
「時間確認にはスマホがあるから、腕時計なんて必要ない!」と言って
いた人達が、「これぞという用途」が無いことを認めながらもアップル
ウォッチを購入しているとしたら、それはもうアップルから発売される
商品は全て購入するという熱烈なアップルファン、狂信的スティーブ・
ジョブズファンだからという理由しか思い当たりません。
多分、腹巻き型が発売されても購入するでしょう。
大量生産されたデバイスからは、機械式腕時計を具現化する「職人技」や
コレクターズアイテムには必須の「オーラ」を感じることはほとんどあり
ませんから、ガチガチの腕時計愛好家でアップルウォッチを購入する人は
あまり多くないのでは…。
世界三大高級時計の一つである「パテックフィリップ」のティエリー・
スターン社長が、日経新聞のインタビューでアップルウォッチについて
次のような見解を述べています。
「手首に何も着けない若い世代を取り戻してくれる。15、16歳の頃から
アップルウォッチを身に着ければ、いずれもっと大人向けの時計を求める
ようになるだろう。中級品には痛手かもしれないが、高級品とは競合する
ことはない。脅威ではなく追い風だ」…(中級品とはタグ・ホイヤー?
う〜ん、さすが高級老舗の余裕)
マジックでも先進のギミックは確かに刺激的で一時的に流行るけど、伝統
的普遍性があるものは、時代を超えてスタンダードとして残っていくもの
ですからね。
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