本の紹介
・ 「頭がよくなる算数マジック&パズル」
庄司タカヒト著 はやふみ監修 (中公新書ラクレ)
先日、都内での仕事の際に、庄司氏本人からプレゼントして頂きました。
最近はリケジョが話題になっているようですが、私の場合、本来文系頭
なのに無理を承知で理系に進んだものですから、受験期の思い出は嫌な
ことばかりで、今でも数学と聞くだけで蕁麻疹が出るくらい、ましてや
物理に至っては吐き気やめまいに襲われるほどです。
そんな「算数マジック食わず嫌い」の私が恐る恐るこの本を読んでみる
と、意外や意外、非常に理解し易く、過去の数理トリックもかなりシン
プルに改良されており、即戦力のマジックやパズルが満載…もちろん、
蕁麻疹は出ませんでした。
即戦力と言われれば、覚えたてのマジックはすぐに披露したくなるもの
ですが、何の脈絡もなく唐突に演じると、特に算数マジックの場合は、
ややもすると「段取り通りにやれば誰でもできるんでしょ」と突っ込ま
れがち…そうならないように演者の雰囲気や演出が重要ですね。
せっかく準備したマジックなんだから今すぐ演じたいという衝動をグッ
と抑えて、話の流れの中でそれにふさわしい話題になったら、思い出し
たように演じるのが効果的だし、そういう話題にならなければあえて演
じない…これが潔いですよね。
さて、この本の総括ですが、その丁寧な解説やコラムを読めば納得でき
ますが、私のような算数マジックアレルギーの人には…苦い錠剤が糖衣
をまとったように甘く、また算数マジックは胃がもたれるという人には
…おかゆのように優しい…そんな本なのです。
・ 「銀座ミーティング」 高木久子 (駒草出版)
銀座の有名一流クラブ「ベルベ」の高木久子ママによるチームマネジメ
ントの解説本です。
私も十数年多くの銀座のクラブで演じてきたので、銀座というタイトル
に反応して書店でふと手に取りました。
最初は自叙伝か自己啓発本の類いかなと思いながら読み進めると、タイ
トル通り、営業の前後にママがホステスさん達にダメ出しや叱咤激励を
するミーティングの様子やママの人生論が口語調で綴られていました。
プロローグには「銀座の女は、常に美しく、気風よく、インテリジェン
スがあり、そしてエレガントであるべきと思う」とありますが、内容は
というと、せっかくのそのイメージをひっくり返すような強烈さです。
はっきり言えば、いかにして客を引っ張り、気分良く高い飲み代を払わ
せて売り上げを上げるかのノウハウが赤裸々(えげつないくらい)に
書かれており、客の立場で読むと、その生々しさにかなり引いてしまい
ました。
一部を抜粋すると…「男の見栄をくすぐりましょう」、「同伴もしない
でお店でお弁当を食べているのは恥だと思ってください」、「笑顔で接
するのが私達の仕事…お金儲けは我慢代です」といった具合。
昨年末に中洲のクラブでこの本のことを話題にしたら、すでに読んだと
いうホステスさんが二人いて、いずれも「私達には参考になるかもしれ
ないけど、これをお客さんに読まれることには抵抗がある、接客の全て
がこのような考えや動機によってなされていると思われたら仕事がしづ
らい」という感じのことを言ってましたね。
そりゃそうですよね、客は垣間見ることがない(知るべきではない)
楽屋裏のミーティングの内容なんだから。
これをマジック本に置き換えたら、いかに自分を「客想いの素晴らしい
マジシャン」に見せかけて、ギャラやチップを巻き上げるかが主な内容
となるのですから、一般書店で売られるとなると、マジシャンの人間像
のイメージダウンとなり、ある意味トリックの暴露本よりもダメージが
ありそうな気がします。
マジック業界ではトリックの解説本は星の数ほどあれど、この本の如く
赤裸々にパフォーマーとしての金儲けの仕方について指南したビジネス
本は、私の知る限り見たことがありません。
何故か?…まずは趣味の延長線上で商売にして「好きなことで食えれば
とりあえず幸せ」という程度のモチベーションのプロが多く、ビジネス
モデルを確立している人がほとんど存在していないこと、そして売れた
マジシャンも成功のいきさつや人生観がそれぞれ違うので、「マジック
の王道」は提示できても最大公約数的な「マジシャンとしての王道」を
上から目線で提示しづらいということでしょう。
それに世間から見たらどうなのか分かりませんが、そもそも「それほど
儲かる業態ではない」イメージだからでしょうね。
・ 「100万円超えの高級時計を買う男ってバカなの?」
マチヒロチ作画 広田雅将監修 (シムサム・メディア)
表紙の帯には「そうです、バカです、時計バカ。でもバカほど楽しい
人生はない」とありますが、この本(漫画)は日本一高級な時計専門
誌「クロノス」に連載中のもので、内容は極めて真面目なものです。
目次を読んだだけでも…「オーバーホールは高くない!!」、「エナ
メル文字盤はなぜ高い?」、「サファイヤクリスタルってどうやって
作るの?」、「トゥールビヨンって何がエライの?」等、マニアック
な内容で、機械式高級腕時計がなぜ高級なのか、具体的にその魅力を
解説しているのですが…やはり興味の無い人から見ればバカと思われ
ても仕方ありませんな。
それはそうと、まもなく危険な祭りがやって来ます。
そう、「世界の腕時計展」(通常春と秋の2回開催)…例年は4月の
開催なのに、今年は消費税アップ前の駆け込み購入を狙って3月開催
ってわけですね。
高額になればなるほど3%アップするだけで相当な差額ですしね。
このイベント、昨秋は3億円の売り上げだったようですから、今回は
それを上回る盛況となるでしょう…ホント景気いいんだなあ。
張り切って行って来ます…そうです、バカなのです!
| 固定リンク
最近のコメント