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2013年6月

プロ・アマ論 4

                                        
何が本業で何が副業なのか…それを一刀両断に区別することは、混沌と
した現代においては意味の無いことのような気がしています。
 
弁護士や医師がタレント活動をすることは珍しいことではなくなったし、
最近では予備校講師も売れっ子芸人に匹敵する活躍ぶりです。
副業禁止規定のある会社に務めている人や公務員を除けば、自己実現や
アイデンティティーのためにやりたいことを躊躇無くやれる時代になった
のでしょう。
最近では相手に応じて使い分けしているのか、複数の肩書きの名刺を持ち
歩く人も増えているようです。
 
資格が必要無い上に、ある意味究極のフリーランスであるマジシャンの
場合も、ここまでがアマの趣味でここからがプロの仕事であるといった
明確な線引きをするのは不可能になっています。
 
ですから今回はプロ・アマ論というよりも、マジックを「仕事」として
自覚している個々人の「意識」の切り口からの考察です。
 
プロにとってのマジックとは、イコール「仕事」ということなのでしょう
が、その中でもジョブ、タスク、ワーク…どれなのでしょう?
 
日本語では「仕事」と一言で片付けてしまいますが、英語の場合「仕事」
という時は一般的には「ジョブ」を使います。
例えば「仕事を探しに職安に行く」場合はジョブですよね。(ですから、
ハローワークよりもハロージョブの方が正しいのではないかと思っている
のですが…英語に堪能な方、ご教示頂ければ幸甚です)
 
そしてジョブより1ランク下の言葉、ただ働くだけの意味なら「タスク」
となるのでしょうか。
例えば「真面目に働かないとクビだぞ!」と言われて嫌々ながら働く…
これがタスク。
 
ワークは「ライフワーク」という言葉があるように、食べるために給料を
もらうのではなく、自分の生き甲斐や人生の目的などに反映させる言葉
ですね。
つまり一般的にはホビーと言われても、歴史の長いアマチュアマジシャン
にとってのマジックとはライフワークと言っても過言ではないでしょうし
プロマジシャンが稼ぎを度外視して愚直に取り組んでいる分野があれば、
それもライフワークと言えるのでしょう。
 
さて、プロマジシャンの仕事ぶりがタスクか、ジョブか、ワークなのかは
やはりその人の仕事に対する姿勢次第ではないでしょうか。
 
タスクは嫌々ながらマジックをやっているイメージだし、ジョブだと生活
臭が強いし、やはりワークが理想なのかも知れません。
 
ただ注意しなければならないのはワーカホリック…即ち「仕事中毒」ある
いは「仕事依存症」に陥ることです。
かつてデビット・カパーフィールドが、テレビ番組のインタビューで自身
がワーカホリックであることをカミングアウトしています。
(ワーカホリックになるほどの仕事があっての話ですね)
こうなると、私生活の多くに犠牲を払ってまで病的に仕事に打ち込んでし
まうようになるのですが、その要因としては仕事を失うことに対する不安
や焦り、恐れといったプレッシャーから来るもの、また責任感、プライド
や自尊心の強さが理由で生じるものがあるようです。
 
「好きなマジックを仕事にしてしまった」がためにワーカホリックに陥る
のも決して幸せとは言えないし、目的を達成した後に「燃え尽き症候群」
になってしまう等、精神的に病んでしまうとしたら本末転倒ですね。
 
クールな視線でマジックという仕事のビジネスモデルを見つめ直した上で
正攻法で、何より健全にマジシャンとしてのステータスを高めることがで
きたらいいなと感じます。
 
日本の鉄道は遅れが少ないことで国際的に有名ですが、考えるに…日本の
鉄道マンは、単に電車を走らせるジョブではなく、「絶対に遅れを出さな
い!」というワークの意気込みで仕事に精進しているからではないでしょ
うか…プロ・アマ問わず、本業はもちろん副業であっても、仕事として
マジックに向き合うならば、矜持を持ってそうありたいものです。

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