カリスマ
最初に…「カリスマには自分一人でなれるものではない」
10月末〜11月末の一ヶ月間に、それぞれ活躍するフィールドが異なる
4人のカリスマに、ここ福岡で美味しい食事と共に深い話を聞く機会に
恵まれました。
再生医療をリードする医師とは「注射のテクニック論」を、異色のフォ
トグラファーであるザカリー・ベラミ氏とは「プロ・アマ論とアジアの
マジシャン事情」を、私の師でもあるMr.マリック氏とは来年の「イベ
ントの企画」を、天才時計師フランク・ミュラー氏は「氏の時計製作の
想い」を。
(食事に関しては、マリック氏はエスカルゴが好物、ザカリー氏は納豆
がOKだということが判明)
それぞれの世界の頂点で活躍するカリスマと接すること以上に有意義な
ことはありません。
どんな分野でも自他共に認める成功者になるには、本人の才能と努力、
そして間違いなく「メンター」とも言える恩人が存在しているはずです。
以前マリック氏から聞いた言葉です。
メジャーには決して自分一人でなれるものではない。
人生は「らせん階段」のような構造だと信じて、このまま頑張り続けれ
ば自動的に上のステージに行けると勘違いしている人が多いが、人生の
本当の形は「円筒を重ねたウエディングケーキ」のようなもので、上の
誰かが手を差し伸べて引っ張り上げる手助けをしてくれない限り、どれ
だけ頑張っても同じステージをグルグル廻っているに過ぎない。
特に芸能界はこの傾向が強い。
カリスマと呼ばれるには縁のない私自身の体験ですが、確かに私のよう
なローカルマジシャンが全国区のテレビ番組に出演する最初の機会は、
マリック氏の推薦があったからこそですし、その後のマリック特番の裏
方を任されたおかげでプレッシャーの克服の仕方や細かなノウハウを学
ぶことができました。
そしてプロ活動をする上で、一般人が知る由もない「マジック界での実
績」や「オンリーワンのイリュージョンを持っていること」等を必死で
アピールするよりも、悲しいかな、地方であればあるほど「どのような
有名人の眼前で演じたのか」、「どんな有名番組に出演したのか」の方
が評価されやすく、より質の高い仕事に繋がるというのを思い知らされ
ました。
宣伝しなくても多くの有名人が訪れ、そのサインが沢山貼ってあるから
こそカリスマラーメン屋と言われ、一流スポーツ選手のトレーナーにな
ればカリスマトレーナーと言われるのであり、有名タレントの髪に触れ
ればカリスマ美容師と言われるのではないでしょうか。
(まあ、卵が先か鶏が先かという話もありますが…)
あくまでも私の主観ですが、マリック氏の場合もほぼ無名時代から著名
人が集う場所で演じ続けることによって、次第にその存在が認知された
し、一流エンターティナーを撮影するからこそザカリー氏の名声が高ま
るし、その腕時計に世界中のセレブが魅了されて腕に着けるからこそ、
現在のフランク氏があるのでしょう。
医師の場合も有名人の治療を手がければ、その知名度は一気に高まりま
す。(天皇陛下を執刀した順天堂大学の天野医師はその典型でしょう)
その成功には多分に運もあったかもしれませんが、カリスマと言われる
前に、自身の努力によって、それなりのレベルに達していなければなら
ないのは必要条件だったはずです。
自己満足の実績をひっさげて「世界的マジシャン」などと自らカリスマ
宣言すると、己の首を締めかねません。
一般客が素直に感じる疑問…「それほど凄い人なのに、なぜ今日まで私
が知らなかったの?」とか「なぜこんな場所でショーをやってるの?」
にどのように答えるのか…。
カリスマとは自分で宣言するものではなく、そのポジションまで引き上
げてくれる恩人が存在し、他人の客観的な評価が必要だからこそ「カリ
スマには自分一人でなれるものではない」のです。
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