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2012年10月

イベントのご案内

  エンターテイメントライブ「招き犬」

 
地元福岡を中心に活躍する若手エンターティナーによるネタ見せライブ                                            
会場:博多リバレインB1 博多リバレインホール (入場無料)
日時:2012年10月31日(水) 19:00開場 19:30開演
 
出演:MAGIC GO・Rintaro・ハリー・フィルダースチョイス
   ビーバップ田中・つよじ 他

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功名心

iPS細胞から心筋細胞を作製し、6例の移植手術をしたと虚偽の発表をした

森口尚史なる人物が世間を騒がせています。

本家の山中教授のノーベル賞受賞の祝賀ムードに水を差す残念な騒動です
が、このニュースの信憑性への疑念が強まるにつれ、12年前に考古学界
に衝撃を与えた「旧石器捏造事件」を思い出しました。
これは考古学の学説の根幹を崩すほどのまさに「騒動」ではなく「事件」
でした。
いずれもその根っこには、賞賛されたいという功名心があるのでしょう。
ただ旧石器捏造事件の場合は、緻密なネタ仕込みがスクープされるまでは
長年に渡って欺き続けられたわけですが、iPS細胞騒動の場合、証拠開示
や理論武装の準備が無いままに、短期間というよりも短時間でばれる嘘を
嬉々として発表する神経を疑問視した方も多いのではないでしょうか。
 
翻ってマジック界を省みた時、以前の考察「受賞する意味」でも述べまし
たが、ちょっとしたコンテストで受賞した際に「世界チャンピオン」だの
「世界第○位」と名乗ったり、経歴詐称をするマジシャンのなんと多いこ
とか…これも功名心のなせる業なのでしょうか。
 
先の森口氏も東大医学部教授と名乗って、6畳一間のアパートに住んで、
大家や近所の人達も訝しく感じていたとのこと…マジックの世界チャンピ
オンの仕事の質や暮らしぶりは現実にはどうなのでしょう。
いやしくも夢を見せるという商売ならば、オンであるショーの時以上に
オフの時にこそ夢を見せてもらいたいものです。
 
そもそも医学界や考古学界等のメジャーな学問の世界では、虚偽の発表を
すれば直ぐに矛盾を突かれて発覚し糾弾されますが、マジック界ではマジ
シャン自身がこの世界がマイナーであることを自覚し、さらにそのことを
逆手にとって嘘が発覚しないであろうと(ある意味ナメて)確信犯的に
大げさな肩書きを披露しているとしか思えません。
 
歌手が出たこともない紅白に出たとはよもや言わないでしょう。
 
俳優が獲ってもいないアカデミー賞を獲ったと言い張ったら、即刻入院
かもしれません。
 
最も情けないのは、海外のマジックコンベンションに客として参加したに
過ぎないのに、あたかも出演したかのようにプロフィールに記載するマジ
シャンが存在すること。
ではマジシャンの眉唾な肩書きや経歴は、なぜ世間で問題になったり糾弾
されたりしないのでしょう?
それは、たとえ本当に世界チャンピオンになっても、本当にマジシャン・
オブ・ザ・イヤーを獲っても、新聞を代表とするメジャーなマスコミから
はニュースバリューとしては認めてもらえず、世間からはその存在すら知
られていないマイナーなマジック業界誌でのみ賞賛される程度の社会的な
ステータスでしかないことの証。寂しいねぇ〜。
 
大げさな肩書きや経歴詐称をしてまで同業者に対する優位性を誇示する前
に、このマジック界を功名心を抱くほどの価値があるステータスの高い
世界にしていくのが、我々マジシャンの責務だと思います。

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実効支配

歴史は勝者がつくると云います。

起きた事象を自分に都合よく解釈して実効支配し、それがいつしか「正史」
となる…結果、真実は闇に葬られ、歴史から正しい教訓は得られなくなり
ます。
 
マジック業界において、先人が考案したトリックを何の疑問もなく演じる…
多くのマジシャンが日々当たり前のように行っていることですが、初めて
見る観客にとっては、その人のオリジナルだと勘違いしてしまうことも多々
あることでしょう。
考案者ではないのに、特定のマジックがあたかもあるマジシャンのオリジ
ナルだと信じられている例は、クロースアップからイリュージョンまで枚挙
に暇がありません。
厳しく追及されてもいないのに、わざわざ自己申告する必要もないし、長年
演じておなじみになってしまった以上、どこぞの国による領土の実効支配と
同じようなものですね。
 
昔からの友人、ふじいあきら氏の場合、「口からカード」は自分のオリジ
ナルではない旨を宣言した上で、元祖とされるビル・マローン氏とテレビで
共演したり、手品教室で習ったとのカミングアウトで仁義は切っています。
また演技の直後に絶妙なタイミングで「凄いでしょ!…これ考えた人」と
言って笑わせるのも、彼ならではの考えに基づくキャラクターに合わせた
演出なのでしょう。
 
「それテレビで見たことある!」と言われて喜ぶか悔しがるかは、演者の
プライドの差(この差は将来ギャラという形で現れることが多い)なので
しょうが、昔から演じていたのに「あっ、それ○○のパクリ!」と言われて
忸怩たる想いをしたり、「あなたがやってるマジックは自分で考えるんです
か?」と突然聞かれて戸惑ったことがあるマジシャンも多いはず。
どのように答えるかでその人間性が垣間見えるものですが、一握りの優れた
クリエイターのみが「私のオリジナルです!」と堂々と答えられるのでしょ
うね。
まあ、特に詰問されてもないのに、演じる度に「これは私が考えたわけでは
なく、昔からあるもので…」なんて釈明する必要はないと思いますが、誤解
を招く可能性がある場面(特にレクチャー等)では、しっかりとクレジット
を入れることがマジシャン以前に人としてのマナー。
このあたりに関しては、私が知る限り、ゆうきとも氏などはかなりの被害者
なのではないでしょうか。
 
またイリュージョンでも、プロなのにコピー商品と分かっていながら平気で
使う(あるいは販売する)輩が蔓延るなど、マジックの知的所有権において
は日本はまだ先進国とは言えない現状を鑑みるに、これはプロとしての精神
的な「声変わり」が終わっていないというか…クリエイターやインベンター
がリスペクトされずに報われない業界というのは、残念ながら大きな発展は
望めないでしょう。
 
最初から嘘をつくつもりはないのでしょうが、年齢という観点から見ると、
若い頃は先輩に世話になったり教えを請うのは決して恥ずかしいことでは
ないので、たとえその事実を他人に知られても何とも感じなかったのに、
いつしか自分のことを慕い尊敬してくれる後輩や弟子のような者が現れる頃
(30代半ば、国家に例えるならば発展途上国から先進国への移行期)から
態度や言動が変わり始める人間は散見されるようです。
後輩や弟子に対して求心力や威厳を保ちたいのか…これはパクリではなく、
元々自分が考案した(元々我が国の固有の領土と突然主張する国と同じ)、
果ては誰かの世話になったこと自体を無かったことに(歴史の歪曲と捏造)
等、「入院治療が必要」と、診断書を書きたくなるほどに虚言癖が悪化する
例も…。
 
昨今の国家間の歴史認識問題は言うまでもなく、この手の事象は一度定着
すると覆すのが難しいし、歪んだ解釈が跋扈して道を誤ることがないように
しっかりと検証し、ある時は毅然と反論していく必要があるのでしょうね。
しっかりしようよ! 日本政府!
あっ、コンテストでもどこぞの国に実効支配されたマジック界もしっかり
しなきゃね。

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