とんがってる
私事ですが、4月3日の誕生日で半世紀を生きたことになります。
年寄り臭い事を言うようですが、歳を重ねたが故に丸くなったと自己分析
しているものの、この年齢までにはこれをやるとか実現するといった目標
が今のところ人生のタイムスケジュール通りに達成出来て、精神的に余裕
が出て来たのかもしれません。
とは言え、若い頃は人一倍とんがっていたマジシャンだったという自覚が
あるだけに、つまんなくなったとだけは言われたくないなあ…と思う今日
この頃です。(この場合のとんがってるとは、先輩から見た時に生意気な
若造といったニュアンスです。思い出すと研修医時代も大学病院内でそう
言われていたような…)
あんなにとんがっていた若いマジシャンでも、Mr.マリック氏やジョニー
広瀬氏のような大物が広い心で付き合ってくれたからこそ、今日の自分が
あるのだろうと思います。本当に有り難いことです。
さて、過去の私の話はさておき、現在最もとんがっているマジシャンは誰
なのでしょう?
私が思うに…北原禎人!
このマジシャンをどれだけの人が知っているでしょうか?
彼との出会いは今から8年前(ということは、あの時の彼は二十歳そこそこ
だったということ)、彼がレギュラー出演していた東京のある有名ホテルの
ラウンジでした。
眼前でコインやカードを演じてくれたのですが、驚く程完成度の高い技術は
もちろん、印象深かったのはそれまでのマジシャンからは感じたことがない
20以上も年長の私が畏怖するような、とんがった空気感でした。
奇異な感じでしたが、この若さで有名ホテルのラウンジでハイソサエティー
な客を相手にショーをこなしているのは紛れも無い事実だし、決して好感を
持ったわけでもなく、可愛くないんだけどまた会いたくなるような…そんな
男でした。
後に富士の樹海を舞台にした彼の特番が放送され、やはりフォーカスされた
なあと思った記憶があります。
その後、私がテレビ収録で上京した際に食事をしたり、ごくごく稀にメール
をやりとりしていたのですが、今春自分の本を出すとのメールが届きました。
タイトルは THE ESSENTIAL
さっそく読みましたが、己を若年者と認めた上での同世代に対する警鐘や、
彼ならではのメンタルマジックに対する哲学的な考察が満載です。
マジックはDVD等の映像で学ぶのが主流となった現代、あえてアナログで
彼の哲学的文章からそのとんがった考え方を読み取るのもマジックを学ぶ上
での一つの醍醐味だと思います。
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