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2011年12月

年末です。

今年も残すところわずかになりました。

社会的には近年稀に見る激動の一年だったと思います。
個人的には自分の半生や未来に想いを馳せて、公私共に充実した年でした。

マジックも広く浅く引き受けるのではなく、オファーの中から本当にやり
がいのあるものだけに絞り込み、クオリティーの高いショーをめざした
つもりです。
マジシャンとして本当は演じたい演目を諦めて、食べるためだけに環境に
合わせていくのは、自己実現のためにこの世界に飛び込んだ時を思い起こ
せば、本末転倒のような気がします。(そもそも環境程度の理由で何ら
かの演目を止める時は、周囲から見て正直もったいないと思われるほどの
レベルの芸には達していない場合がほとんどです。)
しかし環境に配慮して、オーダーメイドのショーを構成するのもこの世界
の醍醐味かもしれません。
プロとしては、自己実現のためにこれだけは譲れないという強固な意志と
あらゆる場面に対応できる矜持が必要でしょう。

いずれにせよ来年以降も、営業慣れしたようなお決まりの手順でサラッと
流すのではなく、各々のステージがお客様の記憶に残り、自分自身でも
良い思い出として残るような仕事をしていきたいものです。

今年の仕事納めは28日で、ふじいあきら氏との久々のコラボレーション
なので楽しみです。
福岡に戻ってからは、マジシャン仲間達との忘年会で一年の労をねぎらい、
仕事始めの4日のショーが終われば一年半振りの里帰りの予定です。

24日放送の関西テレビ「ウラマヨ!」は、私の居住エリアでは放送されて
いないので今日現在の時点ではまだ観ておりません。
最も好きなイリュージョンを、ブラックマヨネーズのお二人に盛り上げて
いただいたので、DVDの到着が楽しみです。

ここでお知らせです。
諸々の事情や個人的な考え、さらにあまりにも多忙だったのも理由なので
すが、年賀状を送るのはやめました。(喪中ではありません)
せっかく送ったのにと思う方もいらっしゃるでしょうが、特に深い意味は
ございませんので、悪しからずご了承下さい。

では皆さん、良いお年をお迎え下さい。


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Dr.ZUMA TV出演のお知らせ

関西テレビ 「ウラマヨ!」

放送日時 : 2011年12月24日(土) 13:00〜13:56

※ ブラックマヨネーズのお二人…さすがのリアクションでした。

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鳥の話 23 (最終回)

一般的にマジックに用いる鳥の足を観察してみると、鳩の場合は前方に3本
、後方に1本の指があります。
インコ・オウム類は物をしっかり掴むためなのでしょうか、前方と後方に
それぞれ2本の指があります。

私のバードマジックレパートリーの一つで、スケッチブックに描いたオウム
の絵が本物に変化して飛び立つというのを時々演じるのですが、ある時オウ
ムの指を鳩のように前方に3本、後方に1本描いた(自分ではそんな意識は
なく、ついうっかりなのでしょう)ことがありました。
後日、その時の演技を見ていたという鳥マニアの方から、オウムの指は前後
にそれぞれ2本ですよと指摘されました。(マニアは見逃しませんね)

今回は鳥の指の先端…爪のケアの必要性について書きたいと思います。

人と同様に鳥の爪もいつの間にか結構伸びるもので、定期的に切る必要が
あります。
伸び過ぎると色んな物に引っかかって怪我をする恐れがあるからです。
鳩の場合はほとんど止まり木や餌箱の上で過ごしていますが、インコや
オウムは物を掴んだり鳥かご全体をジャングルジムのように動き回る習性
があるので、爪の定期的なケアは鳩以上に欠かせません。
定期的とは言ってもどのくらいおきに切ればいいのかという明確な指針は
ありませんが、日頃から手乗りとしてコミュニケーションをとっている習慣
があるならば乗せた指先に痛みを感じたら切り時だと判断してよいでしょう。
ただし大型鳥は握力が強いせいか、爪を切った後でも多少の痛みを感じるか
もしれません。
鳥かごの中で飼いっぱなしという鳥は、爪が伸びっぱなしになりがちなので
特に注意が必要です。

マジシャンという立場からの理由としては、爪のケアをしていないと演技
に多大な支障をきたすことがあるからです。
鳩出しの演技で、爪にシルクが引っかかったりあるいは絶対に見えてはな
らないハーネスまでもがぶら下がって慌てるマジシャンを見てきました。
ほとんどのケースが爪のケアさえしていれば防げたミスのはずです。
専門的になりますが、爪が伸びているとベアハンドプロダクションの際にも
衣装が大きく動くなどスマートな出現の支障となります。

爪の切り方や長さについては書店に並んでいる専門誌に記載されているので
詳述はしませんが、爪の途中までは血管が走っているので深爪は禁物です。

近年のクロースアップを中心としたマジックブームに伴い、副産物のように
ブームになったのがマジシャンの手(特に爪)のケアではないでしょうか。
解像度が大幅に向上した大型テレビが普及し、マジシャン達の手が容赦なく
アップで映される現代においては良い習慣でしょう。(この習慣の元祖は間違
いなくマリック氏だと思います)
一般の方々からも時々「テレビを観てて思ったんですけど、マジシャンの手
ってきれいで爪がピカピカですよね」という声を耳にします。

私もテレビ出演やクロースアップショーの前は一応のマナーとして手や爪の
ケアをするように心掛けていますが、いかんせんバードマジシャンの宿命で
生傷が絶えません。
日々の調教に加えてバードマジックのステージが続いた後は、それはそれは
酷いものです。先日も練習中にコンゴウインコにおもいっきり噛み付かれて
大出血してしまいました。

銀座のクラブに出演していた頃、私の手の生傷を見た酔客から「ねぇマジシ
ャン、猫飼ってるでしょ?」と何度尋ねられたことか…確かに猫も飼ってる
んだけどなあ、でも違うんだよなあ…と思いつつも真相を話して会話が長引
くのを避けるために、生傷を猫のせいにしたのは言うまでもありません。

大型鳥を使うパフォーマンスは、鳥を購入するのも世話するのも調教する
のもハーネスや仕掛けを考えるのも移動するのも全て大変ですが、それら
の苦労を差し引いても、観客がどよめく醍醐味を味わえればそれで報われる
と思えるマジシャンだけが踏み込む資格があるフィールドなのです…完。


(あとがき)

2009年から2011年にかけて23回に渡って書きおろした「鳥の話」です
が、今回のPDF化にあたり、時系列の明確化や最新の知見の必要性を感じ
て若干の加筆修正をしました。

23回で完結した直後、バードマジックに興味がある一部のマジシャン達
からは連載を続けて欲しいとの要望(特に調教の秘密について)もありま
した。鳩に関しては鳩出し自体がポピュラーなマジックであることとダブ
アクターの人口を考慮すれば需要があると判断して詳しく解説したわけで
すが、まだまだ珍しい大型鳥の場合、その調教の秘密や仕掛けを開陳した
ところで今の日本ではたして何人の役に立つことなのかと考えた時、単な
る暴露に過ぎないのではないかと判断しました。
ましてや会員制でもなく不特定多数の人が訪れるこのコーナーにおいて
詳述するべきことなのか…そして何より私がまだ現役のバードアクトパフ
ォーマーであるからには、これ以上の開陳は自分の首を絞めることにもな
りかねないこともご理解ください。

ただし以前から本当に真摯な質問に対しては、個人的に答えられる範囲
で誠実に対応しておりますので、ご意見ご感想ご要望は下記アドレスま
でお願いします。

drzuma@mac.com

自分自身では備忘録、いや大げさに言えば生き様を含めた自叙伝を書いて
いるようでやりがいのある連載でした。
文化祭…大学受験…コンテスト…Mr.マリック…国家試験… 研修医…調教
…バードアクト…銀座…人生の転機を彩った様々なキーワードが今でも頭
の中で走馬灯のように駆け巡ります。

最初に書いたように、単にバードマジシャンのために役立つと同時に、
マジシャンでなくても面白い読み物とするように心掛けたつもりですが
いかがでしたでしょうか?
ご愛読ありがとうございました。

Dr.ZUMA

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