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2011年10月

プロ・アマ論 2

今回の考察は、プロの定義などという重いものではなく、最近読んだ
本の中に興味深い考え方を二つ見つけて紹介したかっただけですので、
気軽に読んで下さい。

一つは、身分と職業という考え方。
身分というのは、ある条件を満たすことによって得られるもので、王様
の子は3歳でも王様になれる…これが身分です。
身分さえ得てしまえば、あとは本人の能力とは関係なく、趣味のように
物事が進んで行く…。
これに対して、能力と意欲と知識と覚悟がなければ務まらないのが職業
です。
つまり「アマチュアの身分」のままでは「プロとしての職業」をしたり
顔で語ることはできないということです。

もう一つは、チャールズ・エリスというアメリカの投資コンサルタント
が唱えた「勝者のゲーム」と「敗者のゲーム」の考え方。
例えば、テニスにおけるプロとプロの試合では、スマッシュとかサービス
エースとかの勝者側の見事なプレーが決め手となることが多い…これが
勝者のゲーム。
素人対素人の試合では、どちらかが球をネットに引っ掛けたり、コート
から出てオーバーになる等の敗者側のミスで勝敗が決まる…これが敗者
のゲーム。

確かに思い返せば、私がコンベンションに参加していた時代(今はどう
なのか分かりませんが)は、コンテストにおいてプロが優勝する時には
みんなが納得するような圧倒的なぶっちぎりのことが多かったし、逆に
アマチュアコンテストにおいては、特に目立ったミスをしなかった人が
優勝するといった傾向が見受けられました。

そのパフォーマンスに対する報酬の有無、あるいは資格の有無でプロか
アマかを語るのではなく、このような切り口でプロ・アマ論を考えるのも
面白いなあと感じました。

一部、意味不明な哲学に基づく稚拙な考え方のプロ・アマ論も散見する
ことがありますが、それはそれでブログの読者を楽しませるという意味
では、プロとしての職責を果たしているのかもしれません。

また興味深いプロ・アマ論を見つけたら紹介したいと思います。

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出し惜しみ

すっかり朝夕は冷え込むようになりました。
あまりの気温差で、どうやら風邪を引いてしまったようです。

さて今回の考察は、私が過去にあるセコい考え方をしていたことを吐露
することによって、自分自身の戒めにしてきたと同時に、当然ながら
他のマジシャンの心境を推し量ることは不可能であることは理解した上
で、もしも過去の私と同じ考え方をしているマジシャンの方々がおられ
るとしたら、他山の石としていただきたいと思い、書き記すものです。

プロマジシャンとして活動を始めると、思いがけず大きなイベントや
パーティー出演(いわゆる自分にとってオイシイ仕事)が舞い込むこと
があります。
そしてその翌年にも同じイベントやパーティーにオファーがあったと
したら、それは前年のパフォーマンスが好評であったという証でもある
わけで、マジシャン冥利に尽きるものです。

職業プロマジシャンとしてのある程度のキャリアを積んで、それなりの
自信が自覚できるようになると次第に厚かましくなるもので、オイシイ
仕事が決まった際に「たぶん、来年もオファーがあるだろう…今回これ
だけ見せちゃうと来年の出し物に困るかもしれないから、これとこれは
今回はやらずに来年用にとっておこう。」などと「出し惜しみ」の考え
がググッと頭をもたげて来ます。(あくまでも私がそうだったという話
を吐露しているだけなので、そんなこと微塵も感じた事が無いほど余裕
がある方々は、へえ、そんなマジシャンもいるんだ…という程度に思っ
てやってくださいな。)

毎年のように同じイベントやパーティーに招かれることはあるかもしれ
ませんが、やはり1回目に出し惜しみという手抜きをすると、2回目は
無しと覚悟をしておいた方がよいでしょう。

出し惜しみをしないためには、ビジネスライクに割り切って次のように
考えたらどうでしょう。

1回目に全力を出し切れば、2回目のオファーが無くてもやり切った感
はあるし「あぁ、あれを演じておけばよかった。」という後悔もありま
せん。(大失敗をやらかしたとしたら別ですが…)

1回目が好評だった理由で再び呼ばれたパフォーマンス後「前回の方が
面白かったよ。」といういささか残念な感想を頂戴することがあるかも
しれません。
しかし1回目に出し惜しみをしていたとしたら、2回目が決まったで
しょうか?
営業のステージでもテレビ出演においても、1回目に全力で臨んだから
こそ、前回よりはパワーダウンしたという評価があれど2回目が決まっ
たと思うべきです。(ハリウッド映画でさえ、第1作目がヒットしなけ
れば続編が製作される可能性は少ないし、多くのシリーズものが巷間
云われるように、1作目を越える2作目は稀です。)

私は過去何度もMr.マリック氏の特番収録を、スタッフとしてお手伝い
したり、ある時はパフォーマーとして共演させていただきました。
その際の打ち合わせや台本を読ませてもらった時に、そのあまりの内容
の濃さに驚き、マリック氏に次のような提案をしたことがあります。

「今回は内容が濃過ぎませんか? もったいないから出し物の幾つかは
次回の特番にとっておきませんか?」

マリック氏の答えは次のようなものでした。

「出し惜しみはダメだよ。全てを出し尽くしてストックを空っぽにする
くらいの覚悟が無ければゴールデンタイムの特番の次回なんて決まらな
いよ。出し尽くせば次もなんとかなるものなんだよ。マイナーな人ほど
出し惜しみをするよなぁ。そんなマジシャンになったらダメだよ。」

実は、このマリック氏の金言こそ出し惜しみしたかったのですが…。


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