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レパートリーは何種類?

マジックをやっている方ならば「何種類のマジックができるんですか?」
と質問されたことは、一度や二度ではないでしょう。

レパートリーは多ければ多いほど良いのでしょうか?

確かに身に付けた知識や技術は、どんなに増えても物理的には全く邪魔
にはならないでしょう。(イリュージョンは増え過ぎると大変ですよ)
しかし、結局はいつも演じるものは絞り込まれてくるものです。
3色ボールペンでも黒インクばかりが減ったり、クローゼットの中での
よく着る服も次第に決まっていくようなものでしょうか。

実際にマジックを演じる場面では、ステージとクロースアップの違いは
あれど、一度に何十種類も演じることは稀でしょう。
慌ただしいテーブルホッピングの場合は、ほんの数種類かもしれません。
そんな場面でせっかくのレパートリーの多さが裏目に出て、その場では
ふさわしくない出し物を演じてしまって、全くウケないことも有り得る
わけです。
工具箱の中に山ほどの工具が入っていても、いざドライバーが必要な時に
ハンマーを取り出すようでは、日曜大工もままなりません。
それならば、ウケる可能性が高い王道や定番の数種類を確実にマスター
しているマジシャンの方が評価は高い(ハズす確率が低い)はずです。


「お金を稼ぐのに教養はいらない。しかし、お金を使うには教養が必要だ」
                            
                         養老孟司


まさに「マジックのレパートリーを増やすのにセンスはいらない。しかし、
演目を選択するにはセンスが必要だ」…と言えるのではないでしょうか。


すでにお亡くなりになっている方々ですが、20年以上前の海外のマジック
コンベンションでの某奇術研究家と某プロマジシャンの印象的な会話です。

某奇術研究家 「私はカード一組で数百種類のカードマジックができます」

某プロマジシャン 「あのねぇ、カードはカードで一種類!」

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