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2011年7月

受賞する意味 2

前回の考察では、コンテストというのは腕試しや思い出作り、あるいは
自身の客観的評価を得るために出演すべきもので、肩書き欲しさが高じ
て「世界チャンピオン」などと名乗り、その実は一般人が疑問に感じる
ような暮らしぶりでマジシャンのステータスを下げることがないように
していただきたいとの思いで記述しました。

先日の報道番組で、政治評論家の浅川博忠氏が我が国の総理大臣が毎年
代わる問題について次のように述べておられました。
「総理になってからの人と総理までの人がいる」
つまり、総理になって明確にやりたいことがある人の場合は長期政権に
なって、総理になるのが目的だった人の政権は何の実績も残せずに短期
で総辞職となる…とのこと。

これはマジシャンにもあてはまることで、1982年FISMチャンピオン
のランスバートンは、その時点ですでにラスベガスのホテルのレビュー
ショーの中で、ワンポイントの出演ですがレギュラーの仕事を持ってい
ました。ショーを休んでまでスイス・ローザンヌに行ってコンテストに
挑戦したのは腕試しの目的もあったのでしょうが、実は己を鼓舞して、
ラスベガスの頂点まで上り詰めるためのワンステップとして捉えていた
のでしょう。その後、自身の名を冠した大劇場で13年を超える長期の
ショーをやり遂げて、まさにアメリカンドリームを実現させたのは周知
の通りです。

コンテスト受賞後のビジョンを持っている人は、それなりにメジャーな
世界を目指すし、コンテストで受賞することが目的の人は、そこが人生
のピークとなって、その偉業?を讃えてくれる場所(コンベンション)
にずっと身を置き、後生大事にそのアクトを演じ続ける場合がほとんど
のような気がします。

コンテストで優勝して「世界的マジシャン」と名乗っても、それは単に
「小さなマジック村」の中でのことであって、カパーフィールドのそれ
とはまるで次元が違います。
「世界を飛び回る」と言っても、それはワールドツアーではなく、ほと
んどの場合は「コンベンション巡り」を意味しています。

何らかのコンテストで受賞歴を持つマジシャンは、プロフィールにその
ことを載せていますが、それが質が良くギャラの高い仕事やメジャーな
世界に直結しているかというと疑問です。(受賞歴を多く持っていても
セコい仕事ばかりの人もいるし、そもそもメジャーな人は受賞歴などひ
けらかしませんし…)
受賞歴は、プロフィールにちょっとした彩りを添える程度にしか役立た
ないということ…つまりイベントで司会者に紹介される際に、少しだけ
格好がつく程度のことではないでしょうか。

結局は本人の意識と戦略の問題であって、一般人に知られるメジャーに
なるためにはコンテストの受賞歴はほとんど関係ありません。
マリック氏もセロ氏もナポレオンズ氏も、過去に国際的な大会での受賞
歴をお持ちですが、そのことがメジャーになった理由でないことは明白
でしょう。メジャーになった後に、そのプロフィールの中に受賞歴を見
つけられた方がスマートですよね。

マジックコンテストで賞さえもらえば、後は悠々自適のプロ生活が待っ
ていると勘違いしている若いプロ志願者がいまだにいるのも事実なわけ
で、受賞する意味を履き違えたり価値を過信したりすると人生を狂わす
可能性もゼロではありません。

整いました!

マジックコンテストの受賞歴とかけて、足の裏に付いたごはん粒と解く。
その心は…とらないと気持ち悪いけど、とったところで食えないよ。


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