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2011年5月

鳥の話 22

以前の考察で、鳩の調教については私なりの考え方や方法を詳しく
述べさせていただきました。

私の経験上、鳩を調教した時間とその結果は比例します。
ある意味苦労は報われます。
従って、あんなに調教したのに結果がダメだったなどと愚痴る人は
そんなに調教していないのです。

また、汚れていない美しい鳩を使っているマジシャンの鳥かごや
道具は当然のように清潔で美しく、おそらく自宅の部屋や車内も
同様のはずです。
翻って、糞だらけの鳥かごで鳩を飼っているマジシャンの部屋は
タバコの吸い殻だらけの空き缶までが放置されているものです。
まあ、呼吸器の弱い鳥類のいる部屋や移動の車中で喫煙すること
自体がバードマジックを演じる資格はないのですが…。

話がそれましたが、人間に馴れた鳩は誰が手にしても扱い易く、
マジシャン同士で鳩の貸し借りが常態化している事実からも最も
マジックに適した鳥であることは確かでしょう。

今回は、現在私が演じている大型インコ・オウムについて少しだけ
触れることにします。

一般的にインコ・オウムの調教というのは、言葉を覚えさせて喋ら
せたり、自転車漕ぎ等のサーカス芸をイメージしますが、マジック
における調教というのは出番までおとなしく隠れている、あるいは
観客の頭上を飛行してマジシャンの手元に戻る等を意味します。

そのように育て上げるためにはどうすればいいのでしょうか?
知能が高く感情表現豊かで、ある時は極めて凶暴な大型鳥をショー
で使いこなすために必要なもの…それはズバリ「信頼感」です。

これ重要です。
つまり「信頼感がなければ調教がスタートできない!」ということ。

では信頼感を築くために必要な最大の条件は…常に鳥の視界に入る
場所でできるだけ長く一緒に過ごしてあげることです。
私は研修医時代に無理をして飼ったことがありますが、早朝に出掛
けて夜遅く帰宅してコミュニケーションをとる程度では、なんとか
噛み付かれないように手に乗せる程度がやっという状態でした。

職業プロに転向して、日常生活はもちろん移動する時もずっと一緒
に過ごすようになって、徐々に信頼感が築かれていきました。

例えば、マジックを趣味としているサラリーマンがバードマジック
に憧れて大型鳥を飼ったとしましょう。
当然のように朝出勤して夜帰宅というライフスタイルの中で、その
鳥と最も長時間接しているのは専業主婦の奥さんということになる
でしょう。
そして奥さんをアシスタントにステージに立って、鳥を飛ばしたら
…鳥は間違いなく奥さんの手元に戻って行くことでしょう。

これまで多くの方々から質問を受けましたが、大型鳥を操る本格的
なアクトを完成させるには、「毎日長時間鳥と過ごすことが仕事と
して成立するプロ」にならないと難しいということです。

堅気が勢いで大型鳥を飼ってしまうことだけは避けた方が賢明です。

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プロ・アマ論

プロマジシャンとアマチュアマジシャンの定義は、それこそ昔から
話題になったり、時には一般の方から聞かれたりするものです。
なにしろ世間に向けて理解し易い「資格」というものが存在しない
ために、誰もが納得できる最大公約数的な「プロの定義」が明確に
ならないのだと思います。
自称プロが100人いたら100通りの解釈があるかもしれません。

厳密にマジックの演技のギャラだけで食べている人ならともかく、
マジックと関係の無い収入源がある人は?
マジックショップの経営者は?
マジッバーの経営者は?
…等々、疑問は尽きません。

マジックを含めた複数の道で成功したいという人生観(少なくとも
私はそうです)や、現実の生活状況等が複雑に絡み合っている中で、
誰かが断定してしまうと必ず波風が起こることでしょう。
各々が自分の立ち位置までがプロとしてセーフであるという線引き
の主張が出て来るはずです。

収入以外の部分に目を移せば、Mr.マリック氏の定義は「観客が喜ぶ
ために演じるのがプロ、自分が喜ぶために演じるのがアマチュア」

私自身が医師免許を保有して、さらに芸名に「ドクター」を冠する
ことで社会的な恩恵を享受していることは事実です。
それ故に、医師が趣味でマジックをしている「アマチュア」という
解釈をする方もいて、某テレビ局の楽屋で共演した某プロから「いい
ねえ、道楽でやってる人は」と嫌み?を言われたこともあります。
何かやっかみでもあったのかもしれませんが、もしそのプロがアマ
だという私よりもギャラが低かったとしたら立場は無いでしょうし、
開き直って、私がアマとして依頼を受けて道楽で無料出演を続ければ、
それはそれでプロに対しての嫌がらせだと非難されかねません。
私はマジシャンとして誇りを持って現場に立っていますし、堂々と
納得する ギャラを受け取ることは当然のことだと思っています。
そして道楽の一言では片付けられないパフォーマンスをしてきた自負
もあります。

よく考えみてください…「職業に貴賎無し」の思想の下では医師と
マジシャンは職業価値として全く同格のものです。

「医師が本職でマジックは趣味」と「マジックが本職で医師が趣味」

前者はストンと落ちるものの後者には違和感を持つ人が多いものです。
資格が必要な職業は資格を取得した時点でそれが永遠にその人の職業
としてのイメージづけ(レッテル張り)がされるわけです。
また一般社会で「趣味でマジックをするのは構わないが、趣味で医療
行為をすることは許されるものではない!」という規範意識もあるこ
とでしょう…ただこれをすんなり納得するプロマジシャンがいたら、
自らの職業に誇りを持っていないどころか卑下することになるのでは?
「私はお金を頂いてやっていますが、マジックは資格要らずだから趣味
でやりたい方はどうぞ私と同じことをどんどんおやんなさい」って言
っているようなもの。
誰もが参入できる業界であるからこそアマチュアに対して「やれるもん
ならやってみろ!」という気概と矜持を見せてこそがプロだと思うので
すが、まあこれほどプロがアマにペコペコしている業界もありませんか
ら、それも無理というものでしょう。
この世からアマチュアマジシャンが一人残らずいなくなったら、アマチ
ュアから搾取してきたプロのどれほどが生き残れるでしょうか?
ショップ主催のコンベンションやレクチャーなど、早い話が金を落とし
てくれるアマチュアのぶん取り合戦じゃありませんか。

ではショップ経営の場合、最初からショップをやっている老舗で店主が
一切営業出演をしていないケースは別として、勢い良く営業プロとして
活動をスタートしたものの、ほどなく困窮して借金までしてショップ
開業やネット通販に生業をシフトするケースも見受けられます。

有名タレントが「○○の店」というアンテナショップを出店することが
ありますが、多くの場合はそれをしなければ生活できないというわけで
はなく、そのタレントを取り巻くプロモーションの一環というのがほと
んどです。
翻ってマジシャンの場合、ギャラだけで食べているのが真のプロだとい
う厳しい線引きをすれば、マジックショップの売り上げが主収入となっ
ている時点で残念ながら「プロマジシャン○○の店」という定義は破綻
します。生活とは関係無く趣味や道楽で経営をしているなら別ですが…。

「ショップやバー経営もプロマジシャンとしての業務の範疇である」と
いう認識(少なくとも私はそう思います)が早く浸透すればいいので
しょうが、いかんせん営業プロとして行き詰まったから始めたという
理由が透けて見えることで、純粋な営業プロではなくなったというイメ
ージが生じるのでしょう。

プロだアマだと一刀両断に区別するのではなく、何らかの形でマジック
で収入を得ているか否か(それで生活できているかは別として)という
緩い区別しかないような気がします。

私は学生時代、福岡の老舗マジックバー「西岡」の初代マスターである
西岡昭男氏に素朴な質問をしたことがあります。

「マスターの立場はプロマジシャンですか?」

マスターの答えは次のようなものでした。
「いいえ、私はプロではありません。もしここでお酒を提供していなけ
ればお客様は来られないでしょう。つまりお酒が主でありマジックが従
ですから、私はマジックができる飲食店経営者だということです。マジ
ックのみでお金を払ってもらえるならばプロと名乗ってもいいのでしょ
うが…。」

反論もあるでしょうが、彼なりの実に見事なお答え。

多様な考え方がある中で、無理矢理にプロ・アマを定義付けして無用な
反感を買おうとは毛頭思っていませんが、定義はともかくはっきりして
いることはあります。

アマチュアなのにプロに見える人が少ないのは仕方がないとしても、
プロなのにアマチュアにしか見えない人のなんと多いことか…。

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腕時計

実は私は腕時計が趣味で、お気に入りをちょこちょこ集めているの
ですが、先日ネット検索していたら、いかにもマジシャンっぽい
腕時計を見つけました。

コルム バブル ロイヤルフラッシュ で検索してみて下さい。

若くて爽やかなマジシャンに似合いそうです。

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