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2010年12月

ブランド

この間テレビでやってたあのマジック、あなたはできる?…マジシャンが
仕事の現場でよく問われることです。
この質問に対する答え方にも、各々のマジシャンの個性が垣間見えるもの
です。

以前あるバーでのこと…テレビで有名マジシャンが演じた現象(例えば
スプーン曲げやアンビシャスカード)をやれるかと酔客に絡まれてムキに
なったマジシャンが「あんなの簡単にできますよ」と演じ始めた場面に
遭遇したことがあります。

そのマジシャンが全く同じ現象を再現したところで、有名マジシャンほど
ウケないことは明白でした。この時の酔客の反応は「確かに生で観ると
不思議だなあ。でも、あなたにもできちゃうくらいだからテレビで観たあの
マジシャンも実はたいしたことないんだろうなあ」といった少々残酷な感じ
でした。

同じ現象ができたとしても、そこには大きな「感動」の差があります。
例えが大げさかもしれませんが、これはファッションと同様、その時の
マジシャンが「ブランド化」されてないことに尽きるのではないでしょうか。

そもそもファッションというのは、何も無いところから原材料の何倍もの
「付加価値」を生じさせるものです。シャネルでもヴィトンでもグッチでも
同じ素材で同じようなバッグをもっと安く作ることは可能でしょうが、その
ブランドのマークが示す「これは○○の商品である」という毅然とした
付加価値があるからこそ高い価格でも売れるし、世界中の人々の心を
惹き付けてやまないのでしょう。

ブランドの語源は「牛に押す焼き印」ですから、ブランドたるもの消えて
無くなることは許されないのです。

そして一流ブランドの付加価値が与えてくれるもの…それこそがまさに
「感動」です。

どこまでも本物に近いコピー商品を手にしたとしても、本物のブランド品と
同じ付加価値を付けることはできません。(これはちょっとしたマジック
グッズやイリュージョンにも当てはまることです)

本物を所有していることの感動や満足感(ブランド化されたマジシャンの
演技を観た感動や満足感)は、コピー商品(安直なコピーマジシャンの
演技)からは得られません。

極論すれば、ブランド化されたマジシャンと、そうでないマジシャンの
年齢を重ねた結果は、クラシックカーとして価値が増して重宝されるか、
処分するにも費用がかかるただの中古車として扱われるかの差に等しい
と思います。

余談ですが、北京の世界モーターショーで、中国の自動車メーカーが
世界中の名車をコピーして堂々と展示しているというニュースを見ましたが、
本物なら3000万円を超えるロールスロイスのコピーを1000万円で
販売するとのこと…。

1000万円のロールスロイスのコピーを買うくらいなら、1000万円の
本物のベンツの方がいいと思いませんか?

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