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達成感

人生を振り返って、最初に達成感を感じたのは、いつ頃で何に対してか
を覚えていますか?
私の場合は、小学校低学年の頃に自転車に乗れるようになった時です。
補助輪無しで乗れるようになった瞬間は、それこそ自由の翼を手に入れ
たごとく高揚し、夜更けまで乗り回して親を心配させたものです。

マジックに次第にはまっていくのは、この達成感の繰り返しによるものでは
ないでしょうか。
カードがきれいに広がるようになった、コインを自然にパームできた等々、
絶対にできるわけがないと思っていた技法が少しずつできるようになって
いく過程は実に楽しく、自信に繋がって達成感を得ることになります。
私自身の経験では、クロースアップからイリュージョンまでレパートリーを
広げた結果、それなりに様々な達成感を味わってきたわけですが、特に
長い期間をかけて調教した大型鳥が飛行して手元に戻った瞬間、その
達成感はまた別格のものでした。

自転車に乗れてしばらくすると、それは当たり前になって刺激がなくなり
ます。アマチュアでも長くマジックを続けている方々は、次々に何らかの
ハードルを設けて達成感を得続けているのでしょう。
コレクターの場合は、目的の道具や書籍を手に入れることで達成感を
得ているわけです。

翻ってプロの場合は生活していくことが最大の目的となり、達成感を得る
ための具体的なハードルを見失いがちです。
(仮押さえのスケジュールが決定になることが達成感であるならば…
それはあまりにも寂し過ぎる)

やはり人生の時間配分を計算しながら、自分なりのマジシャンとしての
ルールとハードルを設定してクリアしていかないと真の達成感は得られ
ないと思うのです。
自分の人生なのですから、他人からハードルが低いやつと思われようが
関係ありません。
スポーツ競技に例えれば、世界記録など目指さずに自己ベストを出せる
ように努力すれば充分でしょう。
たまにテレビでファッションチェックといって、街中を歩いている女性の服
を辛口で批評することがありますが、余計なお世話です。

偉そうなことを述べて恐縮ですが、何かに失敗して悔やむよりも、挑戦
しなかったことの方が悔いは大きいはずです。
もしも人類の寿命が200歳まであったとしたら、ストイックに自己管理が
できる人間でも時間の余裕に甘えて、行動は緩慢になることでしょう。
現在の平均寿命は、あまりのんびりする余裕はありませんが、何かを
突き詰めて達成するには必要にして充分な長さではないでしょうか。

新しい自転車を見つけて、自分の意志でそれを乗りこなすまで頑張れる
のは、人間に与えられた最大の喜びだと思います。

やりたいことが見つからずに自分探しの旅を続ける若者は不幸です。

お腹は空いてるんだけど、何が食べたいのかよく分からない…これも
ちょっと不幸です。

マジシャンは、マジックという大好物を見つけただけでも幸せなのかも
しれません。

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